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猫を飼いたいという妻、青島令子(あおじまれいこ)の願いを夫、青島海史(あおじまかいじ)妻が猫を飼いたいという願いにいい顔はしなかった。海史は犬派なのだ。しかし、「いいよ」と言った。犬猫殺処分のことは知っていたし、少しでも命が救えるならと了承した。2日かけて用意したあと夫妻は令子が気に入った猫を迎えに友達の家へ行った。
その猫は真っ黒い毛並みをした小さな黒猫だった。金の目をちらちらさせてこちらを見上げてきた。その猫には「うなぎ」という名がつけられていた。令子も海史も『そっくりだ』と思った。実は犬派の海史は幼い頃、猫は一匹だけいたころがあった。小柄な黒猫で同じく目は黄色。
同じくして令子も黒猫は一匹だけ飼っていた。とても小さな黒猫で目は黄色だったのだ。
ただ、うなぎはどうしても無愛想だった。譲渡会でも無愛想を貫き通し、幼い子猫なのに誰からも声はかからなかった。
だから引き取ったのだが、海史は犬派で幼いころ、一匹だけ黒猫を飼っていたとは言え、幼いころ。ちっとも興味を示しません。令子は少しでも興味を出すために、「命名権をあげる。だからよく見てつけてやって」と引き込み、うなぎをよく見させることにしたのだ。するとすぐさま、「うね」と答えた。令子は驚いた。もしかしたら、わずかに興味があるのではないのかと感じたのだ。最初の日は緊張して固まり、ご飯も水もあまり食べなかった。
しかし、しばらくすると環境になれ、無愛想だったうねが令子と海史に甘えるようになった。海史の足にうねがスリスリすると海史は驚いたようだった。なれない手つきでそれでも優しく撫でた。
その晩、令子は聞いてみた。「どうだった?」と。海史は答えた。「猫ってああいう生き物なんだな。すごいかわいかった。犬も好きだけど猫もかわいい」と。
うねは触らせ放題の甘え上手な黒猫になった。海史の猫愛は妻の令子にまけずに膨らんでいった。
ただ、子猫のころ構いすぎたからか、最近、うねは海史にはあまり構わなくなった。海史は少々傷ついた顔をしていた。「かっちゃんったらもうほんとにデレデレねえ」と令子は笑います。
うねは後からやってきた捨て子猫の先生となるのです。