テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#デスゲーム
ぱほわ
180
#死亡遊戯で飯を食う
ユイ
121
#CR
8/|/aB(旧アイビー)
1,641
コメント
1件
熱いエピソードでした!紅茶を飲みながら死刑囚が次々と死ぬのを観賞するシルヴィアお嬢様の非情さと、その一方でヘレナの病状に胸を痛める繊細さのギャップがすごく好きです。そして「心拍数を上げなければ狙われない」と冷静に判断した獅子村のしたたかさ、399歳のマギサ爺ちゃんの飄々とした佇まい——もう全員にキャラが立ってて見応えありました。最後の黒髪の少年、あれはかなりの伏線ですよね。次話が待ち遠しいです!
「それではお姉さま、我々は優雅に紅茶でも嗜みながら逃げ惑う死刑囚達の姿を鑑賞しましょう。杉田!!今すぐ紅茶を用意しなさい!!」
「へいへい。全くシルヴィア様は人使いが荒いんだからもう。」
ぶつくさ文句を言いながら杉田が紅茶を用意する。シルヴィアとヘレナは逃げ惑う死刑囚達が次々と軍用アンドロイドに殺されていくのをモニター越しに眺める。死刑囚達の脳漿が飛び散り、内蔵が弾け、命が終わっていく。シルヴィアは目をきらきらと輝かせる。
「お姉さま!!見てください!!死刑囚達が次々死んでいきます!!」
「そうだねシルヴィアちゃん。ただ、逃げ惑う死刑囚達の中に変わった行動を取ってる人もいるね。」
「え、どこですかどこですか!?」
「ほら、あそこの白髪交じりの赤髪のおじさん。他の人達は走って逃げてるのにあの人は欠伸をしてまだ会場から動いてない。」
「本当だ。なんでぇ?ちょっと様子を見てみましょうか……。」
ゲームマスターシルヴィアが白髪交じりの赤髪の男にカメラを寄せる。
男は顔中銃創だらけで金色のぎらついた瞳をしている。
「おぬし、逃げなくてよいのかのぉ?」
白い天然パーマのちっちゃな男の子が白髪まじりの赤髪の男に問う。
「ルールはよく聞いとくもんだぜぇ?鬼は心拍数の高い奴から優先的に攻撃するんだ。走って心拍数あげちゃ元も子もねぇだろ?そういうあんたは動かねぇのかいご老人?」
赤髪の男が男の子の手を見ながら尋ねる。
小さな男の子の手はまるで年老いた老人のように皺だらけだった。
「……ワシはこれでも399年生きておる。じゃから膝とか腰とかが痛くてかなわんのじゃ。どれ、予選が終わるまでどこかに隠れて仮眠でも取るとするかのぉ。」
白い天然パーマの男の子はてちてちと歩いて去っていく。
「……食えねぇ爺さんだぜ。さてと、予選の内にヤバそうな奴を嵌めて早めに殺しとくかぁ。」
白髪交じりの赤髪の男が不敵な笑みを浮かべた。
死刑囚の様子を、ヘレナは冷静に観察する。
「…….すごいね、あのおじさん。心拍数をあげたら狙われるなら心拍数をあげなければいい。
口で言うのは簡単だけどこのいつ死ぬか分からない極限の状況下でそれを実行するなんて。一体何者なんだろう?」
「ちょっと待ってくださいねお姉さま!!えーっとえーっとぉ……ありました!!獅子村狂次朗、スラム街に生まれ違法カジノの胴元にまで成り上がった男のようです。これは相当の場数を踏んでますね。」
「そうだねシルヴィアちゃん。もう一人の小さな男の子は何者かな?」
ヘレナとシルヴィアは肩を寄せ合いリストを見る。
「あの子はマギサ•フロゥ。年齢は……399歳!?あのちっこい子がですか!?」
シルヴィアがリストの写真と洋館の一部屋でうとうとするマギサ•フロゥを見比べる。
「マギサ•フロゥはロタニア王国の医学を飛躍的に進歩させた医学会の巨匠ですよ。」
杉田がシルヴィアとヘレナに紅茶と角砂糖とティースプーンを渡す。
「そんなすごい人がなんで死刑囚なんかになっちゃったんですかねぇ?」
たっぷり角砂糖を入れながらシルヴィアは優雅に紅茶を飲む。
「杉田先生、すいませんが紅茶を飲ませてくださいませんか?指の感覚があまりなくて……。」
ヘレナが上目遣いで杉田を見る。
カップを持つ細い指が震えている。
杉田がティースプーンで紅茶を一匙掬いヘレナの口元に運ぶ。
「……おいしい。ありがとうございます。」
「当然ですよ、俺はあなたの担当医なので。」
もはや自分でも紅茶を飲めない程病状の悪化したヘレナを見つめ、シルヴィアの胸が痛む。
「あっ、大変。」
「どうしたんですかお姉さま!?」
「軍用アンドロイドが……。」
ヘレナの言葉にシルヴィアが大慌てで洋館のトイレのモニターを拡大する。
そこでは黒髪の少年が軍用アンドロイドを殺害している映像が映されている。
「なんですってぇぇぇ!?」
軍用アンドロイドはとても貴重なので絶対に壊さないでくださいねと財務大臣に口を酸っぱく忠告されていたシルヴィアは泡を吹いて倒れた。