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その日、スタジオ近くのカフェで、ないこと初兎が並んで帰る姿を、たまたま見かけたのは——
「……あれ、しょーちゃんと、ないくん?」
りうらだった。
「ん?ほんとだ……なんで二人で?収録終わったのに?」
Ifも隣で目を細める。
遠くの歩道で、並んで歩く二人。その距離感が、なんか……妙に、近い。
「様子、見に行く?」
「いや、見に行くっていうか、……聞こえる距離で歩いてみるだけ」
(完全にストーキング)
こっそりついていく二人。
そして、聞いてしまう。
「ないちゃんって、ずるいよね」
「“それだけじゃなかったら”、どうする?」
「っ……そ、そういうの、反則……」
沈黙。
そして——
「……やっぱ、ないちゃん、いちばんずるいよ」
「…………」
「…………」
数秒後、二人の脳が爆発した。
「な、な、なに、今の!?え、えっ、しょーちゃん、あれ……え、そっち、なの……!?」
「まって無理無理無理無理無理聞いてない俺そんなルート知らない初兎が、ないこに、えっ、惚れてる……!?」
「いやちがっ、ちがうかもしれないし!?ほら、兄っぽい好きとか!信頼の表現とか!……とか!?」
「でも“いちばんずるい”は絶対に“好き”のそれなんだよなあああ!!!!!」
頭抱えてうずくまる二人。
そんな中、ないこがふと足を止めて振り返る。
「……ん?なんか今、気配しなかった?」
初兎が首をかしげる。
「え?気のせいじゃない?」
「……だといいけど」
((……まさか、バレてないよな?))
ないこは少しだけ、口元で笑った。
一方そのころ、近くの植え込みに身を潜めた二人は——
「俺たち、これからどうすりゃいいんだよ……」
「負け、確定演出……?」
しばらく、立ち上がれそうになかった。