テラーノベル
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「そういえばさ。これからダグラス君は何をするつもり?」
しばらく中心街の郊外を歩き、ふとサキはダグラスに尋ねた。
「…そうだ。実は同期の一人がとある物を渡してほしいと。」
「何か届けるのね。」
彼女はやさしい顔つきになった。
「で…その同期の人って、何か用事があって手紙とか…渡せないのかしら?」
ダグラスは、暗い顔になる。
「どうしたの、ダグラス君…?何か、言えないことでもあるの?」
「…」
ダグラスはうつむき、黙りこむ。サキは彼の顔を覗き込み、
「ねぇ、聞いちゃだめな事だった?」
「…行かせてくれ。」
冷たい返事だった。ダグラスはサキから離れていく。
「…聞いてる?さっきはごめん………」
「別に傷ついてなんかいない。」
「…っ」
サキは言葉に詰まった。唇をかむ。
「ハリスンさん……」
リチードはサキの手を握った。
「確か、この家に受取人がいるのか。」
ダグラスがたどり着いたのは、小さなアパートだった。ダグラスは深呼吸をし、その人がいるドアをノックした。しかし、すぐに返事はしなかった。
「いないのか…?」
もう一度、ドアを叩く。しばらく待っていると、ドアが開いた。
「えぇと…どちらで?」
「ダグラス・アズウィンドだ。」
「だぐ…?」
眼鏡をかけた男性は、ガーゼだらけのダグラスを見つめる。
「ニクソンの同期だ。」
「ニクソン……あの、COMAに入隊したって、ちょっと前に彼が言っていたなぁ。」
男性はほっと、一息つく。
「そ、それで?」
「ニクソンからこれを受け取った。」
ダグラスはポケットから便箋を取り出した。
「読んでもらいたいそうだ。」
戸惑わず、男性に渡した。
「…で、話が変わっちゃうけど。最近、ニクソンの調子はどうなんだい?」
「…!」
「ずっと気になっていたんだよなぁ。ニクソンがCOMAに入隊してから以降、めったに顔を見せなくなっちまったから…」
「彼は…彼は、つい最近亡くなった。」
「亡くなった、んですか………―?」
男性は目を丸める。そして、沈黙が長い間続いた。
「あぁ。」
「あの、ニクソンが?」
男性の目がうるんだ。
「………ニクソン、もっと活躍したかっただろうによ。」
そして、便箋を開き、手紙を読んだ。
『親友:バルトロメオへ』
悪い、オレ実は死んじまった。
でもこうなるっていうのは、入隊してから覚悟してた。
兵士だから、な。
こんなことがあったからって、お前には苦しんでもらいたくない。
死んでいくっていうのは当たり前なんだと思っている。
変な事言ってんじゃねぇのか、って思わないでもらいたい。
オレは”これ”を受け入れてたから、な。
ちなみになんだが、オレは死ぬ直前に大きな活躍をした。
これをお前に伝えたいが、オレからは直接伝えられない。
バルトロメオ。
この手紙を渡してくれた同期から聞いてもらいたい。
いい事言ってくれるはずだからな。
最後に。
今までありがとうよ。
お前の励ましで、オレはCOMAの隊員になれた。
オレの人生はお前によって作られたと同じさ。
お前のおかげで、短かったかもしれないが、楽しかった。
p.s.
オレの両親・兄には黙っておいてくれ。
こいつらの悲しむ顔、とっても嫌いだから。
ニクソン
バルトロメオは涙をこぼした。そして、ダグラスに
「…ニクソンは、最期、どうしていましたか?」
と尋ねた。ダグラスはすぐに、
「ニクソンは星外生命体の本拠点に、恐怖にくじけず突入した。他二人の隊員と共に…」
「それで…?」
「その際、その場所は火事がひどかった。そんな中、彼らは制圧に成功した。ニクソンは…」
「本拠点内で炎に巻き込まれた。」
「…そんな事があったんですね。やっぱり、ニクソンは勇敢だよ。」
バルトロメオは泣きながら笑顔になった。
「お忙しい中、ニクソンについて伝えてくれてありがとうございます。」
そして、ドアを閉めた。
「…」
ダグラスは空を見上げる。とっくに日は傾きかけていた。
コメント
1件
第18話、読み終えました…。ニクソンの手紙、本当に胸にくるものがありましたね。「兵士だから、な。」という覚悟と、それでもバルトロメオに「ありがとう」と伝えたかった気持ちが、ひしひしと伝わってきました。最後にダグラスが空を見上げるシーン、彼の静かな哀しみがにじんでいて、とても印象に残りました。泣きながら笑ったバルトロメオの姿が、今も目に焼き付いています。素敵なエピソードをありがとうございました。
シュメール
80
蝶姫
467
#odmn
うあ
608
#オリジナル
芽花林檎
218