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築留工業の「絶対王政」は、ついに完成の域に達しました。怜也の日常から「苦労」という二文字は完全に消滅し、代わりに彼を包み込むのは、三人のトップクラスの美少女と魔性の母・絵美による、献身的という言葉では生ぬるい**「全自動奉仕生活」**でした。
王の安息日:アニメと堕落
ある日の午後。怜也の自室(今や絵美の出資で最高級の音響設備と特大モニターが完備された「聖域」)では、怜也が寝転びながら、最新のアニメを鑑賞していました。
画面の中では、色とりどりの髪をした可愛い女の子たちが「先輩、大好き!」と微笑みかけています。
「……ふぅ。やっぱり二次元はいいな。裏切らないし、無駄な主張もしない。リアルな女みたいに『私を見て』なんていう、鬱陶しい執着がないからな」
怜也がポテトチップスを口に運ぼうとすると、横からスッと滑らかな手が伸び、チップスを口元まで運びました。第1位の心美です。
「怜也、手が汚れるわ。私が食べさせてあげる。……あなたはその綺麗な瞳で、そのくだらない絵を眺めていればいいのよ」
「……あぁ。心美、次はコーラ。あと、ちょっと肩が凝ってるんだよ」
怜也が顎で指示を出すと、背後から第2位の由奈が、熟練の整体師のような手つきで肩を揉み始めました。
「怜也、今日のバイト代、私の分も含めて全部あんたの口座に入れといたから。放課後は私が実習の代行に行ってくる。あんたはここで、夜までゆっくりしてていいよ」
搾取される「道具」たちの日常
怜也がアニメに没頭している間、彼女たちは怜也という「神」を維持するための「労働力」として馬車馬のように働かされていました。
第3位の茜は、怜也のゲーム課金代を稼ぐために、放課後、複数のバイトを掛け持ちしています。
「怜也きゅんが、あーしの稼いだお金でガチャを回して、最強になってくれる……。これってマジで『究極の推し活』じゃーん! ちょー幸せなんだけどー!」
以前のギャルらしい輝きは消え、過労で少し目の下にクマを作りながらも、彼女は怜也の「財布」であることに至上の喜びを感じていました。
そして、絵美は「物流」としての役割を完遂していました。
「怜也くん、新しい限定版のフィギュア、私のコネで全部揃えておいたわよ。……今夜は私の家に来てくれる? あなたがサボるための最高級の寝具、新調したの」
彼女たちは、怜也に「愛」を求めているのではありませんでした。
怜也に**「利用され、搾取されること」**こそが、彼女たちにとっての存在意義(アイデンティティ)となっていたのです。
「可愛い女の子」への二重基準
怜也はモニターに映る美少女たちを眺めながら、自分に傅くリアルな美女たちを見下し、鼻で笑います。
「お前らさ、このアニメのヒロインたちを見習いなよ。彼女たちは僕を疲れさせないし、ただ笑って癒やしてくれる。……お前らは、僕が指示しないと何もできない『欠陥品』なんだからさ。もっと効率よく働いて、僕に快適なアニメ鑑賞タイムを供給してくれよ」
「ええ……。ごめんなさい、怜也。もっと、あなたの透明な世界を邪魔しない、完璧な『道具』になるわ(心美)」
「あんたの邪魔になる感情は、私が全部殺しておくから(由奈)」
怜也は、由奈の太ももを足蹴にしながら、次のアニメの再生ボタンを押しました。
彼にとって、茜も由奈も心美も絵美も、もはや**「アニメを見るための電力やソファと同じインフラ」**に過ぎませんでした。
自分は一歩も動かず、一円も稼がず、感情すら動かさない。
ただ、画面の中の「可愛い女の子」にだけ意識を向け、リアルな「かわいい女の子」たちを道具として使い潰す。
「(……あぁ、楽だな。これが僕の求めていた、究極のサボり人生だ。女子に怯えていたあの頃の僕に教えてやりたいよ。……『女なんて、使い勝手のいい家電みたいなものだ』ってね)」
怜也の冷酷な独り言は、アニメの明るい主題歌にかき消されていきました。
愛も、魂も、人間としての矜持も失った「ガラクタの王」は、自分を崇拝する四人の狂気的な奉仕に守られながら、どこまでも続く怠惰の深淵へと沈んでいくのでした。