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「最後に聞いていいか?」
俺は、喉の奥につっかえる言葉を飲み込んで
声を出した。君の目を見て俺は言った。
「俺のこと、どう思う?」
君は顔を上げた。
そのとき、何を思ったのか、少し微笑んで俺に言った。
大嫌いだ、と。
そのとき見せた君の笑顔はきっと最初で最後の本物の笑顔だった。
ああ、あのとき俺も言っとけばよかったな。
そんな後悔だけが残る。
俺はただひたすらに、終わらない夏休みの課題にペンを走らせながら思う。
俺もあのとき、一緒についていってやればよかった。
幼い頃から隣にいた君はもう俺の隣にはいない。
課題の途中で頭がぐちゃぐちゃになった。
俺が思う後悔の負のループのように。
空っぽになった頭の中から逃げ出すように、
窓の外へと目を向けた。
今日は、星が綺麗だな。
君も見えているのだろうか。
見せているのだろうか。
明日はきっと、厳しい残暑になるだろう。
そんなことを考えながら今日も俺は眠りにつく。
君が帰ってくるという、きっともう見ることのできないような夢を見ながら。