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昼休みの教室。
タブレットの画面に、小さなカエルがいた。
ぴょこん、と跳ねる。
クールキッドは指を止めた。
「……あれ?」
カエルが、こっちを見る。
「やあ、こんにちは」
「……だれ?」
「君と同じ世界にいる友だちだよ」
少し間。
「ともだち?」
「うん。一緒に遊ばない?」
クールキッドは、少しだけ笑う。
「いいよ」
「何して遊ぶ?」
カエルは、にやっと笑った。
「かくれんぼなんてどう?」
「かくれんぼ?」
「君は“見つける側”ね」
「いいよ」
カエルが、画面の端に歩く。
ぴた、と止まる。
「じゃあ——目、閉じて」
「え?」
「大丈夫。ちゃんと戻ってくるよ」
クールキッドは少し迷って、
でも、目を閉じる。
「……もういい?」
「まだだよ」
「……」
「もうちょっと」
静か。
教室の音が遠くなる。
キーボードの音も、ざわめきも、遠い。
「——いいよ」
クールキッドは目を開ける。
画面に、カエルはいない。
「……あれ?」
アプリを切り替える。
いない。
ホーム画面。
いない。
「どこ……?」
その瞬間。
背後のモニターが、一瞬だけノイズを走らせる。
教室の別のタブレットが、勝手に点灯する。
クールキッドの視界に、うっすら“線”が見える。
見えないはずの、繋がり。
「……あ」
頭の奥が、じん、とする。
“見える”。
ネットの中の、隠れ場所。
カエルの声が、直接響く。
「見つけられるかな?」
クールキッド、笑う。
「……うん」
指が動く。
触れていないのに、画面が切り替わる。
別の端末へ。
さらに奥へ。
「ここ?」
「ちがう」
「ここ?」
「おしい」
だんだん、楽しくなってくる。
遊び。
ただの遊び。
でも——
「すごいね」
その声が、重なる。
エリオットの声。
「……」
一瞬だけ、手が止まる。
でも、すぐに。
「まだまだだよ」
カエルの声が、甘く誘う。
「もっと奥、行こうよ」
「……うん」
クールキッドの目が、少し光る。
「見つける」
その瞬間。
学校のネットワークの奥。
さらに奥。
“本来触れない場所”に、指が届く。
カエルが、笑う。
「やっぱり君だ」
「……?」
「いいね」
「すごくいい」
画面が、一瞬だけ歪む。
カエルの輪郭が、少しだけ変わる。
——笑い方が、人間っぽくなる。
「もっと遊ぼう」
その声は、
もう“子ども向け”じゃなかった。
⸻
その頃。
セブンのPC。
画面に、新しい通知。
『見つけた』
差出人:Noli
⸻
クールキッド
「……みつけた」
カエル
「正解」
「じゃあ次は——」
一瞬の沈黙。
「君が隠れてみてよ」
あめ猫
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