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私
達は皆、自分のことを一番よく知っていると思っているけれどそれは違うんだ。
私達には分からないことがたくさんある。例えば君自身のこともそうだよ。君は自分が何をしたいのか分からなくなっているんじゃないかな?だからいつも迷子になってるんだよ。その証拠に君の瞳からは生気が失われてしまっている。もう疲れちゃったんじゃないのかな?本当はもっと自由に生きたいんじゃないのかい?大丈夫だよ、私が助けてあげるからね。安心して任せておくといい。君は私に任せておけばいいんだ。そうすればきっと君は救われる。君はこの世で一番幸せになれるはずだよ。さあ、こっちへおいで。私と一緒に行こうじゃないか。
私はいつでも君の味方だよ。
「お前が犯人だってことぐらい分かってるんだよ!俺の言う通りにしろ!」
「嫌です」
俺は今、探偵事務所の所長をしている。探偵といっても特に事件があるわけでもないから事務作業ばかりしている。今日も来客はなく、書類整理をして過ごしていた。
そこへ突然やってきたのは一人の青年。一見普通の大学生に見えるが、俺にはわかる。こいつは人間じゃない。
「おいお前、一体なんなんだ?」
「僕ですか?僕は天使ですよ」
やっぱりそうか!こんな胡散臭い奴は初めて見たぞ。
「ああもう信じてないですね!?じゃあ証拠を見せましょう!」
そういうとそいつは背中から翼を出した。純白に輝く美しい羽が一枚ずつ生えている。
「ほーうなかなか立派なものを持ってるじゃないか」
「ありがとうございます。それで本題に入るんですけど……」
「断る」
「えっどうしてですか!?」
「どうせろくなこと言わんだろ」
「違いますよ!!実は天界での会議の結果、人間界で問題を起こしている悪魔を見つけ出して処分することになったんですよ!!」
「悪魔?また突拍子もない話が出てきたな。それでその悪魔の捜索を手伝う代わりに報酬を出すってことか」
「話が早くて助かりますね。ちなみにお受けいただけない場合は、この場で貴方を殺します」
「穏やかではないですね……」
「ああそうだね……」
「じゃあ、さようなら!」
「うん!また明日!!」
少年は、少女と別れると急いで家に帰っていった。
その帰り道の途中、一人の女の子に声をかけられた。
「あのー、すみません。この辺で眼鏡をかけた男の子を見ませんでした?」
「う~ん。見てないけど、どうかしたんですか?」
「実はその子を探しているんだ。なんでも、人を探してるらしいんだけどね……」
「それなら俺じゃないよ」
「え?」
「だって俺はこの村から出たことないもん」
「そっかぁ~じゃあ別の人に聞いてみるかなぁ」
少年はそう言って去っていく。
(……なんでみんな俺のことを知らないんだよ)
―――ここは小さな田舎町。人口も少なく若者はほとんどいない。だからほとんどの人は全員顔見知りなのだ。
「ねぇ!ちょっと!」
「ん?おぉお前さんかい」
「こんにちは。いつも元気ですね」
「そりゃあそうさ!毎日楽しいことばかりだからね!」
「そうなんですか?」
「そうだよ。あんたが今どんな状況なのか知らないけど、きっと人生なんてあっと言う間に過ぎ去っちまうもんさ。その時を精一杯楽しむんだよ」
「ありがとうございます」
「ところで今日は何を買いに来たんだい?」
「実は新しいカメラを買ったんですよ」
「へぇー良いじゃないか!最近の若い子はデジタル一眼レフを買う子が多いらしいねぇ」
「僕も初めてなのでよく分からないのですが……」
「それで何を撮りたいのか聞いてもいいかな?アドバイスできるかもしれないからね」
「えっと……特にこれと言って撮るものはないですね」
「うん?」
「強いて言うなら、この店の商品でしょうか」
「こいつらは、俺のことを理解していない。そうに違いない」「あいつには俺が必要だ」
「俺は誰にも迷惑をかけていないぞ! 何故誰も分かってくれないんだ!」
「お前なんか、俺がいなければ何もできないくせに!!」
病名:人間不信症候群 最近になって、妙な噂を聞いた。なんでもこの世の中には、「人の心を読む能力」を持った人間が実在するらしいのだ。
それは例えば、「人の気持ちを読み取る」だとか「相手の嘘を見抜く」とかそういう類のものではなくて、もっと根本的に「人が何を考えているのか分かる」というものだという。
「自分が相手に対して抱いている印象を言語化して伝える事ができる」、「相手の目を見ただけでその人物が今どんな事を考えているのかある程度読み取れる」、「相手が嘘をつく時に無意識的に行う癖を知っている為それを指摘する事で相手を騙せる」などなど……真偽不明の噂話は枚挙にいとまがない。
だがもし仮に本当なのだとすれば、是非一度会ってみたいものだ。きっととても興味深い話が聞ける事だろう。
「あぁそうだね。確かにその通りだよ。この世は理不尽さ。だけどそれは仕方ない事じゃないか? 君だって同じだろう?」……ん? 何か言ったかい?……そうか。じゃあまた今度聞かせてもらう事にしようかな。
おぉ、今日は珍しい客人がいるんだねぇ。ふむふむ。成程。では早速、君の話を聞こうではないか。
「うん? あぁそういえば君は確か……例の話を聞いてきてくれた子だったよね?」