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【彰人×杏】体調不良パロ

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【彰人×杏】体調不良パロ

2 - 【第2話】守りたいもの

♥

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2023年08月12日

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⚠彰杏体調不良パロ⚠

・血の表現

・生理ネタ

・CP表現有

苦手な方はバックを推奨致します。


⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·


「……どうしよう」


トイレに入り、1人溜息をつく。こんな時に限って……本当についていない。

放課後。教室に残って、彰人を含めた何人かと補習を受けて、ようやく帰ることができると思っていたときだった。下腹部に、殴られているような、強烈な痛みを感じた。ふらふらして、立っていられなかった。


「おい杏、補習終わったし、冬弥達に連絡入れたから、一緒に……」

「……杏?」

「……ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね。」

「は、?ちょ、杏……!?」


彰人の驚いた声。私を呼ぶ声。聞こえたけれど、それに構っている余裕は、私には無かった。


トイレに入り、奥の個室に入って鍵を閉める。物凄く嫌な感触がして、急いでスカート類を下げて見たら……

最近は、イベントの調整やら個人練習やら部活の助っ人やらで忙しく、自分のことにさえ構えない日々が続いていた。次のイベントも迫ってきているというのに、この頃は不調続きで、彰人達にもよく怒られていた。身の回りの事が落ち着いてきて、ようやく練習に本腰を入れることが出来ると思っていた。その矢先にこれだ。

そして、最悪の事実に気がついてしまった。


「ナプキン……持ってないかも……」


⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·


「……遅い」


女子のトイレが長いというのは知ってはいるが、それにしても遅い。かれこれもう5分はここに立っている。


「……」


自分の手に持っている杏の荷物に目を向ける。ここまで遅いと、流石に心配になってきた。何かあったのか?そんな不安が頭をよぎる。

さっき杏に声をかけたとき、杏の顔の青さに吃驚した。体調が悪いのだろうか。尚更心配になってくる。


「……何も無かったらいいんだがな」


⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·


……違和感しかない。

ナプキンがなく、もうどうしようも無かったため、急いでトイレットペーパーで代用して出てきた。気持ちが悪い。ムズムズする。

生憎、私の生理は重い方だ。本当に酷い時だと、指を1本動かすだけで、激痛が走ってしまうほど。もちろん量も多い。いつもは痛み止めやピルを使って何とか乗り切るのだが、ナプキンも無いのに、薬がある訳もなく……


「あ、杏!!」


声のした方を向くと、そこには、心配そうな顔をした彰人がいた。


「彰人、!?……あ、荷物持っててくれてたんだ。ありがとう、!」


下腹部が尋常じゃないくらい痛い。辛いが、彰人を心配させないようにと、出来る限りの笑顔を作る。だが彰人は、それを見逃さなかったらしい。


「……お前、体調悪いんだろ。今日は練習休め。」


勘づかれてしまったか……しかし、最近絶不調の私は、こんなことで練習をサボる訳にはいかない。全力で抵抗する。


「大丈夫だって!ほら、こんなに元気────」


調子に乗ってくるりと回ったところで、目の前が真っ暗になった。どろりとした感覚が、股の間を通るのが分かった。貧血か……倒れる……そう思ったその時だった。


「……っ、ぶね……」


彰人が受け止めてくれた。心配そうな、それでいて険しいような、そんな顔が目に飛び込んでくる。


「無理すんなっつったろ!」

「……う……だって……」

「だってじゃねえ!」


言い訳をしようと口を開くと、彰人に遮られてしまった。


「……とにかく、今日の練習は休め。いいな?」

「……はい……」


大人しく彰人の言葉に従う。反論しても、無駄なだけだ。

彰人に続いて、1歩踏み出そうとした、その時だった。


「……あ」


痛みと貧血のダブルコンボで、意識を保つことすら出来なくなっていたらしい。意識が遠のく。


「杏!おい杏!!」


彰人の心配そうな声を聞きながら、私は、意識を失った。


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……まずい。

杏が意識を飛ばしてしまったらしい。苦しそうに手を置いているのは、彼女の下腹部だった。腹が痛いのか?……もしかして……

そのもしかしてだった。スカートの辺りに目を向けると、赤いものが付着していた。

どうしたら良いのかはわからないが、とりあえず、自身のブレザーを掛けてやり、杏の膝と背中に手を回し、杏を抱き上げた。軽い。本当にちゃんと食べているのだろうか……心配になる。

補習終わりとはいえ、部活動がある生徒がまだ学校内にいる中で、この状態で歩くのは、精神的な面できついものがある。杏だって、そんな姿を見られるのは嫌だろう。

だからといって、家に連れていく訳にもいかない。上がらせるのも、上がり込むのも、どちらにしろ問題がある。


「……あ、セカイがある……」


悩んだ末、オレは、セカイに行くことを決めた。


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カランカラン。


路地を抜けて店に入ると、いつも通り、洒落たBGMが流れていた。台所に目を向けると、MEIKOさんとミクが、何やら作業をしていた。


「いらっしゃい、彰人……って、杏!?」


ミクの驚いたような声が店に響く。それに続き、MEIKOさんも、


「……え?ちょ、杏ちゃん、どうしたの!?」


事情を説明すると、ふたりは、オレよりも手際良く、杏の介抱をしていった。


「……漏れてるの?うーん、アレ、持ってないのかな……ごめん、ちょっと杏の鞄見てくるね。」

「ブランケット、ブランケットっと……温かいものも持ってこなくちゃね。……彰人くん、少し杏ちゃん見ててね。」


これに関しては仕方がないのだが、ふたりの様子を見ながら、杏のお腹をさすってやるくらいのことしか出来ないのが、少し情けなさを感じる。


「……やっぱり、無かったよ。」

「何が?」

「ナプキンと薬。……私達買えないから、彰人、ちょっと買ってきてもらえる?」

「ナプキン……薬……」

「まあ、男の子が買いに行くのはきついと思うけど……どう?できる?」

「……出来ます。ちょっと行ってくるので、杏を頼みます。」


少し不安だけれど、杏のためだ。仕方がない。


⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·


「……ふう、戻りました。」

「彰人くん、おかえりなさい。大丈夫だった?」

「……なんとか」


MEIKOさん達の安心したような顔。本当に良かった。杏の方を見てみると、もう既に起きているみたいだった。


「……あ、彰人……」

「杏、!起きたのか、?腹平気か?」

「……うん、、ありがとう…」


少し恥ずかしそうに視線を外した。

まあ……そうなるよな……


「……やっぱ……痛いか?」

「…だいぶ」


そう言って、また、苦しそうな表情をした。


「……でも」


「彰人たちのお陰で、だいぶ和らいだよ。大丈夫。」


杏の柔らかな表情を見て安心した。男一人で生理用品を買いに行ったり、杏のことを抱えて右往左往したり、腹をさすってやることしか出来なくて情けなさを感じたりと、たくさん苦労をしたが、杏の痛みや苦しみが少しでも和らいだのであれば本当に良かった。自分の頑張りが報われた気がした。


「とりあえず、杏ちゃんもう辛いでしょうし、生理痛の波がまた来ないうちに、お家まで帰って寝た方がいいわ。」

「そうだね。……彰人、お願いできる?」


そうミクに聞かれた。

オレはこのあと練習があるが……今はそんなこと言ってる場合じゃない。


チームメイトが。


そして……自身の好きな人が。


困っている。


なら……


「……ああ、もちろんだ。」

「行くぞ、杏。」

「……分かった。でも、、」


杏が言い淀む。どうしたのだろう。


「……その……普通に痛いから……彰人、お願い……」


好きな人にこんなに可愛くお願いされて、断れる男がいるはずがない。オレは迷わず、


「当たり前だろ。」


と言って、杏を抱き上げた。


「ひゃっ、、!?……も、、彰人……」


そう言って、自分の腕の中で恥ずかしそうに頬を赤らめる杏は、本当に可愛かった。


⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·


帰り道。


「……ねえ、彰人。」

「ん?」


杏を抱えて歩きながら、2人で他愛もない話をしていた時だった。


「あの、、その、、」

「……ありがとね。今日は、色々。迷惑かけちゃってごめん。」

「別に謝ることじゃない。むしろ、こういう時は頼ってくれていいんだからな。」

「……あと……」


そう言うと。





杏が、オレの頬に、軽くキスをした。





「……は?」



思わず腑抜けた声が出る。


「……その……今日のお礼。」


「ありがとう。……あと、、」


「大好き、だよ。」


可愛い顔を真っ赤に染めて言う杏は、とても可愛らしかった。そして、たまらなく愛おしかった。

返事をする。オレのその一言で、杏は赤面する。幸せってこういうことなんだなって、改めて思った。


この、幸せな日常を、守り続けたい。


彼女の笑顔を。


そして、幸せを、守り続けたい。






「───────オレも、大好きだ。」






𓂃 𓈒𓏸‪𓂃 𓈒𓏸‪𓂃 𓈒𓏸𓂃 𓈒𓏸‪𓂃 𓈒𓏸‪𓂃 𓈒𓏸



ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!


ところどころ日本語が怪しい場面があったかもしれませんが、その辺りはご了承下さい……


リクエスト等ありましたら、💬欄までお願いします💞


それでは。


ありがとうございました!

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