……任務から帰ってきた
あいつは血まみれで、
ヤベェ、そう思った。
流石に、死なねェよな?
大丈夫だよな?
そう想いつつ、
その通りに口と体は動いてくれねェ。
一瞬、あいつの…太宰の顔が歪んだ。
……傷が痛むのだろうか。
俺は、好きな人が、怪我して、
痛がってるのを見ながら、
心配の言葉をかけてやれなかった。
いっつもそうだ。
太宰だって、体辛れェはずなのに、
俺の憎まれ口に付き合ってくれてる。
そして、また言い合い、いつもの
“大嫌い”
でカタがつく。
大嫌い、と言った俺の声に被せた太宰の
『奇遇だね、僕も君の全てが嫌い』
その声がずっと耳に残ってやがる。
俺から始めたのに、
俺が傷ついてどうすンだよ…
此の気持ちは、
ナイフの様に俺の心を抉るんだ。
“此の恋はナイフの様に。”
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