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いや〜〜っ好きです!!!!!!!!最高すぎて私も召されました
{attention please‼︎📢
・突発ネタ
・リーマンパロ…かもしれない
・モブ×潔
・ちゃんとヤってる
・無理だと思ったらロックオフ!
「潔、死ぬ前に俺とセックスしてくれ」
この世に生を受けて最早23年、俺…潔世一は今嘘みたいな本当の告白を受けている。
なんで、こんなことになったんだっけ…
俺に深々と頭を下げて直角90度の礼をしている高校の元クラスメートを眺めながら、遠い目をした。
それは、約2、3時間前に遡る。
もう一度自己紹介をしようか。
俺の名前は潔世一。なんてことない、ただの社畜のサラリーマンだ。
幼少期はサッカーに打ち込み、高校まで続けてきた。だが、俺の青春は無惨にも朽ち果ててしまった。
小さな頃から夢見てた、
“プロサッカー選手”
“W杯優勝”
そんな馬鹿げた夢が終わり、次は現実が襲ってきた。
なんとか高校を卒業し、地元のそこそこの大学に通えた。
そして今の会社に無事就職。
…なんてことない、普通の生き方だなと思う。
この日はたまたま定時で早く上がることが出来たから、久しぶりに高い肉を食いに行こうと遠出した。
…それが、いけなかったのだろうか。
俺にとっては全然高い店に1人で寂しく入店すると、常日頃通っている安いチェーン店とはまるで違った、キリッとした店内に圧倒されてしまった。
これほど身嗜みに気を遣っていて良かったと思える日はもう来ないと言えるほど、俺は普段の俺に感謝した。
店員さんにテーブルへと通され、まずはメニュー表を見る。
「たッッッッ…!?」
思わず、口から出てしまった。咄嗟に周りを見渡すが、どうやら誰にも気付かれてはいないらしい。
再びメニュー表に目を通し、その値段に戦慄する。自分が想像していたより2倍は高かった。
でも、値段に見合った味なのは一目瞭然だ。メニュー表に貼付されている写真、すごく此方の食欲を誘われる。
…さて、どうするか。
3分くらい唸ったあと、結局オススメのローストビーフ丼定食にした。あぁ……俺の6840円が…家に帰ったら通帳と睨めっこすることになるのは確かだ。
絶対に俺が負けるけどな。
体感で20分くらい待ったあと、素晴らしい匂いと共にローストビーフ丼定食がやってきた。
湯気が立ち込め、海藻がゆらゆらと揺れる味噌汁に、牛蒡と人参、胡麻で和えられている金平牛蒡、シンプルな沢庵と、本命のローストビーフ丼。卵黄が…素晴らしい……。
「うまそ〜…、」
思わず感嘆の声を漏らす。どうしてこうも値段が張るものはこんなに美味そうに見えるのか…
まぁ正直そんなことはどうだって良い。
冷めない内に頂こう!!
手と手を合わせて、
パンッ。
「頂きます!」
「おいしかったぁ〜……!!」
大変美味だった。人目も気にせず叫ぶくらいには美味しかった。
副菜の金平牛蒡は濃すぎず薄すぎずの味付けで、味噌汁も日本人なら嫌いな人はいない豆腐と和布のスープ、こちらもまた素晴らしい味だった。
何よりメインのローストビーフ! 当たり前だが、 スーパーにあるあのローストビーフなど比じゃないくらいには美味しかった。卵黄と絡まり合った肉と白米とその店オリジナルのソース…最高だ。しかも備え付けの山わさび、あれがまた絶品だった。
その場にもう1人いれば味噌汁で乾杯していた所なのだが…、生憎お一人様だ。相手なんていない。
ん? なんでこんな脳内がやかましいのか、って?決まってるだろ。美味いものを食った帰りだからだよ。
…本当は、弱いくせに調子乗って一瓶以上開けたからなんだが。大分酔いが回っているらしい。足取りも重いし、呂律も怪しい。
脳内でこんなことを考えるくらいには酔っている。
「ん゛ん〜…!」
ぐぐ、と伸びをする。
そろそろ戻らないと、帰りの電車に間に合わなさそうだ。
「帰ったら通帳とジャンケンか…」
と、酔っ払いらしいことを考えながら踵を返して…
「あれ? 潔じゃん」
「ぅえ」
背後から誰かに呼ばれた…気がしたから振り向いた。
そこにいたのは…
…えっ、誰?
「……えっ誰」
「うわひっど…、マジで変わってねぇのな、お前」
その知らない人は、俺のことを知っている風に話しかけて来た。
酔っ払いの俺でも覚えていることがある。知らない人に話しかけられたらすぐに、
「スンマセン、人ちがいです」
よっし完璧だ!
さて、帰ろ______「ンな訳ねーだろ」うとした所を、肩を掴まれ引き留められる。
「近くに居酒屋あったっけ、久しぶりすぎて覚えてないんだよね」
俺の肩を掴みながらスマホをポチポチと操作し、うーん、うーんと唸っている知らない人。
居酒屋を探してんのか…この人は。
酔っ払いの脳みそなんて腐りに腐っている。居酒屋という単語だけを脳で反復し、
「いざかやぁ?…あ、駅曲がったとこにありましくなかったっけ」
「え、何語?」
「母国語」
「マジで? 潔の母国ってここじゃなかったんだな。初知りだわ」
「あ、日本生まれの日本育ちです」
「……クソボケが」
初対面の人にクソボケと言われるくらいボケているのは確かだが、なんでこの人はこんな楽しそうに笑っているのか。
表情と言動がまるで一致していない。
_____すごく変な人に捕まったかも。
流れに身を任せていると、いつの間にか居酒屋へと到着していたらしい。
互いにカウンター席へ隣り合わせで着席し、店員さんからお冷を貰い、大分酔い覚めしてきた頭で状況を整理した。
「……あの、本当に貴方誰ですか」
「え…?…ほ、ほんとーに分からない…?」
「オウ。」
「ッカァ!!!! 良かったなぁお前、相手が俺じゃなかったら殴られてたぞ」
「そんなに…」
そんなに言うほどの相手なら絶対忘れることはないと思うんだがどうにもピンと来ない。
もう一度その人をよく見てみるが、やはり思い当たる節はなかった。
「…ま。ネタバラシすっかぁ」
目線だけでなく、体まで俺の方へ向けて、その人は名乗り始めた。
「俺は作為唯斗。高校のとき3年間同じクラスで毎回同じ班になってたやつだよ」
結構仲良かったよな〜。と、知らない人…否、作為唯斗さんは語る。
作為唯斗…さくいゆいと…そんな名前の奴も居た気がしなくもない。
作為なんて名前そうそう忘れることはない気がするが、素面ではないからしょうがないだろう。
「そんで、お前にコクハクした人」
「…告白?」
「そ。好きです、付き合ってくださぁいってヤツ」
「……はっ、?」
…つまり、作為唯斗さんはゲイ「言っとくけど俺はゲイじゃねーから」…では、ないらしい。思考でも読んでんのかと思うほどのタイミングで被せてきた。
「エッ、なんで分かった?」
「分かるに決まってんだろ〜、伊達に片想い歴3年やってねーんだよ」
そう言いながらいつの間にか置かれていた熱燗をぐびぐびと嚥下する。そんなに飲んでも体調不良を訴えることなく、顔色一つ変えずに飲み続けられるのは尊敬に値する。
「…おれ、さっきおさけ飲んじゃったんだけど」
「あ、そーなの。…まぁ、でも飲み足りないでしょ〜?」
ほらほら、と勝手にグラスへ注がれる酒と作為唯斗を見比べて、結局酒を口に運んだ。
「ど? おいしー?」
「うん、うまくないわけないよな」
「それな!…ってか潔クンやい」
「なに?」
「ふつーに作為でいいから。敬語もなし」
「…呼び方に困ってたから、アリガト」
「どいたまして〜。…店員さーん!カシスオレンジ一つ!」
遠くからはーい、と呼応する声が聞こえて来た。…それにしても、
「さけ、」
「ん? なーに」
「…おさけ強いんだな」
「あ〜…そう言う訳じゃねぇんだけど、そうしなきゃ色々と死ぬから鍛えたっつーか、」
どこか気まずそうに目を逸らし、もごもごと言葉に詰まる。 どうやら触れてはいけない話題だったらしい。
「…ふーん、そうなんだ」
どう話題を切り替えるか悩んでいると、作為が頼んだカシスオレンジが届く。流石居酒屋、早い安い美味い。
「お、きた。これ好きなんだよ」
嬉々としてカシスオレンジを飲酒する姿に、そういえばカクテルとか飲んだことあったかな、と考えてみた。
「カクテルかぁ…あんまし飲んだことないかも」
「ほー?マジ。何なら飲んだことある?」
「…なんだっけ、あの、強いやつ」
「強いやつぅ?…ウイスキー、ジン、そこらへんかい? 」
「あ、そう!ウイスキー! なんか上司にのまされた」
「分かる。やっぱアルハラってみんな通る道だよな…」
「つよく生きろ」
そこからは、アレがどうとかコレがだめとか、普段の愚痴やら会社の悪口上司の陰口。酒が入っていたこともあり、愚痴大会が大いに盛り上がった。
その中で、作為を取り巻く環境も分かってきた。21時間労働が普通な超ブラック企業に勤めていること、上司が全く働いてくれないこと、新人の尻拭いが当たり前になってきたこと、なんかもう会社にいるやつ全員ぶっ◯してやろうかと思っていること。
その他諸々。
「お、お疲れさま…」
掛ける言葉が見つからなかった。お疲れ様、としか言えない。
「ほんともぉーーークソしかいねぇ。トイレよりもクソだ。クソクソクソクソクソ」
カウンターデスクに突っ伏し、クソを連呼する作為。どうやら限界らしい。
「水いる?」
「いらねェよ!!!!」
「じゃ、貰う」
「どぞ」
「アリガト」
水をちびちびと飲みながら、だんだん酔いが醒め始めた頭で、なんでこんなところにいてこんなことしてるんだろうと今更すぎることを考えた。
高校の同級生と遭遇して、何も考えず店に入って、一緒に酒を飲んで。
文字に起こすと違和感ない文面だが、本当の所、高校の同級生と遭遇して、何も考えず店に入って、一緒に酒を飲んで。
「濃いな……マジで」
「酒の話?」
「今日の話」
「ファ〜〜〜ww」
作為は変な笑いを溢して、また酒に手を伸ばす。肝臓が強いのか、将又体のことなんてどうでもいいのか。ペースが異様に早い。
「…あのさ、今の会社辞めようとか考えなかったのか?」
「……考えない、ワケないジャン」
「まぁ、そっか。」
話を聞く限り、かなりの重労働だろうし、精神的にもキツそうだし、そりゃ考えない訳はないよな。
「辞めたらさ〜…今の会社絶対終わるし、放浪時代救ってくれた恩もあるワケで、」
辞めるに辞められないのが現状…らしい。根っからの善人…なのか馬鹿なのか。
「ふーん、」
「でもそれは、昨日までの話」
「は?」
急にガバッと顔を上げて、此方を見据える。作為の小豆色の双眸に俺の驚いたような顔が映る。
「全部、どーでもよくなった」
「…」
あぁ、そうか。
そういうことか。
飲むペースが早いのも、嘲笑が多いのも。
コイツは、
「俺、死ぬつもりだから。」
死ぬ気らしい。
「まっ、死ぬって言っても今すぐじゃねぇからな〜安心安心」
「どこが?」
「…さぁ?」
「えぇ、」
「…ってかさぁ、潔よ」
「ん、なに?」
「セックスって気持ちイイ?」
「はぁ!?」
自分でも思ったよりも大きな声が出て、慌てて口を塞いだ。周りには煩い客しかいないのがせめてもの救いだ。
「いっ、きなりだな、」
「だって〜、俺童貞なんだもん」
「…せっくすぅ?」
「オウ」
「か、…身体の相性とかもあるだろーし、上手い下手もあるし、痛いときもある…けど、気持ちイイとはおもう」
「お〜〜経験者」
「ほんと、こればっかりは経験だとおもいますぅ!」
「な〜る。…じゃあ、潔は後ろも使ったことあんの?」
「後ろ?……あ、そうゆ、…ある。」
「へぇ〜、童貞も処女も捨ててんのか」
「その言い方ヤメロ」
後ろはほんと、不可抗力みたいなものだ。俺だって望んで捨てた訳ではない。
あー思い出したらムカついてきた…
憂さ晴らしに作為の脇腹を肘で強めに一発入れる。ガッ、と良い音が鳴ったが聞こえない振りをしておく。ザマァ!!!
「いっっ、ってぇな!?」
「どうせ死ぬんだろ? じゃあいいよな 」
「何も良くないんだが???」
「あ、店員さん焼酎一つ!」
「待って俺焼酎嫌いだからハイボールにしてくんね?」
「貰う気満々かよ…別にいいけど」
…それにしても、カウンター席なのにこんな下世話な会話をするのは如何なものなのか。
まぁ大将も文句の一つ言うことなく黙々と手を動かしているから、問題はないのだろう。
「なーなー潔」
「なに?」
「お前から見て、俺ってヤれる顔してる?」
「ヤれる?…え、まぁ、ヤれるだろ」
「お、マジ?」
「何に対してヤれる、って言ってんのか分かんねぇけど」
「あ、俺とセックス出来るのかって話」
「え、そーゆう…? ふつーにヤれるけど」
「…言ったな?」
「……まじ?」
「マジ。…潔」
「……」
「死ぬ前に俺とセックスしてくれ。」
そして、冒頭に戻る…ってか。
この世に生を受けて最早23年、正直こんな形で頼み込まれたのは初めてだ。
もう一生経験しなくていいけど。
「頼むッ、潔!!!!」
「…………」
改めて、作為唯斗を見てみる。
黒を帯びた褐色のダークブラウンの髪色に、短髪ショートの髪型、薄い前髪から除く小豆色の瞳、肉厚で鍛えられていることが容易に分かる体格、俺よりも高い身長、童貞。そして何より、この男は今日死ぬと言うのだ。
死ぬ前に俺とセックスをさせろ、そう言っている。
俺は今、気分が最高潮だ。
酒も入っていることもあり、考える能力など塵一つ残っていない。
「……いーぜ。天国見せてやるよ」
「、っは、…お前さぁ、急にフェロモン撒き散らすなよ…ビビるわ」
「童貞には刺激強すぎたか」
「うっせ。これから大人の階段登ンだよ」
「俺が登らせてやるんだっつーの。」
「確かに…ありがたや〜〜〜」
「ヤメロ拝むな」
この近くのラブホ…と検索していると、いつの間にか会計を済ましていたらしい作為が俺を外へ連れ出す。
これで経験ないとかウケるなー。
「お前ホントに童貞?」
「童貞でもスマートに奢れるんだよな〜」
「そーですか」
居酒屋から歩いて数十分、ホテル街の一番手前側に位置する小綺麗なホテルに入った。
「……」
「…フッ……w」
「笑わないでくんね?」
「いや、…んふッ…w ごめ……w」
そわそわと落ち着きのない動作で、スマホを出したり入れたり。面白いくらいに落ち着きがない。
「落ち着けって〜作為クンよぉ」
ポチッとボタンを押せば渡される部屋の鍵も、妙に狭苦しいエレベーターも、もう慣れてしまったものだ。…が、作為には初めての経験らしい。
「む、むり、…エレベーターでこんなドキドキしたの初めてなんだけど」
「でしょうね〜〜…ってか、ラブホも初めてなんだ?」
「そりゃね。一緒に行く相手なんかいないのよ」
「そゆこと」
部屋の中は、まぁ、値段に見合った部屋だった。茜色に照らされた室内に、シンプルで綺麗なキングサイズのベッド。そのすぐ近くにあるチェストにはおそらくローションとコンドーム、それと所謂大人の玩具の王道なのが何個か入っているだろう。
トイレとシャワー室がそれぞれ。4Kテレビが備わりAVが見れる仕様みたいだ。
「おっ、AV見れんじゃん」
「えっ? ラブホってそうなの…?」
「さぁ? 見れないとこもあるけど、…まぁ場所による」
「へぇ〜」
上着を脱いでクローゼットに掛ける。多少皺が付くかもしれないが…ご愛嬌だろう。
「先風呂どーぞ」
「さんきゅ。潔は後から?」
「うん。AV見て待ってる」
「最悪」
ははは。どうとでも言え。どうせお前も見るだろ。
浴室へ向かった作為を見届けて、何を見ようか選別する。悪趣味なのは好きじゃない。屈辱ものも気分ではない。
あーでもない、こーでもないと唸っていると、
「え、ゲイビデオとかもあんの?」
どうやらここは配慮が抜かりないらしい。
…別に俺はホモではない。でも男に興奮を覚えることはある。勿論女にも。つまりバイ、女性にも男性にも惹かれるタチだ。
「……これでいっか」
結局手に取ったのは初々しいカップルの初エッチを特別撮影!…みたいなやつだ。
「興奮しない訳じゃないんだけどなぁ」
ベッドの上であんあん喘いでいる彼女役の女優、胸はデカいし声はソプラノで他と比べても高い方。勿論顔もいい。これで興奮しない男がいるだろうか。
あ、いたわ、俺にだけ興奮する不能が、…考えんのやめよ。
「そういや、…挿れるのどっち?」
アイツは絶対後ろ解すなんてことはしないだらうし、童貞卒業するとかなんとか言ってた気もするし、流れ的には俺…か。
「…風呂ンとき解すか、」
「マジで見てるし、」
「おけーり」
「ただいま?」
体を洗い流してきたらしい作為が、白Tシャツにスラックスという、何とも言えない格好で帰ってきた。ダサいまでとはいかないけれど、それなりに珍妙だと思う。
「じゃ、俺行ってくるから準備しといて」
「は? 準備?」
なんの、と聞こえた気がしたがフル無視して浴室へと向かった。反応がいいからどうしても揶揄いたくなってしまう。ごめんな作為!
「…まぁ、ガラスよね」
一面ガラス張りの浴室、作為が反応しなかったのが意外でならない。叫び声一つくらいあげてそうなものなんだけどな。
「…ま、いっか」
「ただいま〜」
「おか、……下は?」
「パンツ履いてる」
「一枚かよ…えろ」
元々着てたカッターシャツに、パンツ一枚。どうせ脱ぐから着るのが面倒だったのと、誘惑用に?
「ベッド行こ」
「…うす、」
声ちっさ。…若干顔も赤いし、緊張しているのか興奮しているのか。それかどっちもか。
ベッドルームへ足を踏み入れる。今は茜色の光が部屋を照らしているが、ランプを弄ればピンクやら白やら調節出来るらしい。
「な〜、光調節出来るけど、このままでいいよな」
緊張を解してやろうか、と話し掛けるが、返答がない。
「……」
「作為?」
「はぃ!?」
「…」
「…ごめん」
「あ、いや…作為、リラックスしな…?」
「ウス」
どうやら逆効果だったらしい。…どうしたものか、
「…作為」
「はい?」
「ベッド、そこ座って。」
「は? なんで、」
「フェラしたげる」
「、っは…?」
一瞬戸惑ったような反応を見せたが、その一言で察したのか、大人しくベッドへ座ってくれた。
俺が作為の股の間に座ると、頭上から息を呑む音が聞こえた。ベルトを外して、
「ちょっと腰浮かして」
「…ん、」
スラックスを一気に脱がす。わざと下着は残して。
自分で脱ぐ、って作為は言ってたけど…ムードってやつだ。
既に緩く勃ち上がっている作為のもの、それに躊躇なくパンツの上からちゅ、ちゅ、とその膨らみに唇を押し付ける。作為の体がふるりと震えたのが分かった。
黒のボクサーパンツは、作為の陰茎をくっきりと模している。そこをふにふにと唇で添わせながら、時折パンツ越しにやわく竿を食んでやる。
「…っう、」
先の方をぱくぱくと愛撫してやれば、快楽からか作為の声が漏れ出る。…なんだか、楽しくなってきた。
作為は、俺しか知らないんだもんな。全てが初めてで、与えられる快感にも慣れていないのだろう。楽しくない、訳がない。
時折作為の方を見上げながら、舌先で既に濡れた布地を舐めた。
「…ッ、いさぎ、苦しいんダケド」
「うん。めっちゃキツそう」
「っ…、」
焦らすような行為に、いつの間にかガチガチになったそこは、先走りと俺の唾液でしとどに濡れている。
「べちょべちょになっちゃったな」
「…したの、おまえ」
「タシカニ」
俺は敢えて呑気にそう呟き、硬く主張したそれを下着の中から取り出す。
そして、かぷりと先の膨らみ全てを口腔内に飲み込む。
「うッ…!?」
その快感に、背筋が反って、思わず青色の頭を掴んだ。
しかし、そんなので止まる訳はなく、じゅぷじゅぷと普段では聞くはずのない水音がこの部屋に響く。
陰茎を丸々飲み込んだかと思えば、次いで上目遣いでこちらを見上げながら、舌がちろちろと鈴口を舐めて焦らされる。
顔に手を当て、せめてこの歪んだ顔を見られまいと抵抗するが、そんなものお構いなしとでも言いた気に潔は奉仕を続ける。
「ふぇら…うま」
ため息混じりにそう言えば、ちゅぽんと口から昂ったそれを離して、
「そ? ヨカッタネ〜」
と、意地悪く笑う。そんなこと言われても、掛ける言葉が見つからず、「ソウダネ」としか言えなかった。
「お前さ…どこでそんな鍛えたんだよ」
イかせるやり方じゃなく、まるでこの行為を楽しむかのようにゆっくり弄ぶ潔に少し余裕を取り戻してきた。
黙りこくるのはなんだか。だから、その頭を見下ろしながら口を開いた。
「ん、いふぉふあひほほ、やっふぁ、ふぁは」
「色んな人? ちょっと童貞には分からん」
「ほひふえ、ふぉか、ほひひは、ふぉふぁ」
「多いな…」
歳上も歳下も食ってるのか…ケダモノか? とは思ったが、あえて言わなかった。
楽な姿勢で淫口を受けつつ雑談を交わす空気感は、まるで友達とゲームをしている時のような雰囲気で、俺が想像していたものよりずっと楽だった。
咥えながら喋っている潔も、時折体を投げ出し休憩?しながら俺との会話に興じている。
「何人くらい食ったの」
「ん〜…ひゃんひゅうふはい…?」
「30!?」
「ふぇ?」
「えっ……やば、」
「ふぉんふぁ?」
「俺からすれば経験ある方がやべぇのに…えぇ…」
少し引き気味に言えば、ぷくっと頬を膨らませて、「むぅ…そんな言わなくてもいいだろーが」と言った。23のリーマンが不機嫌顔なんてキツそうなのにな…あざてぇ。
結局イかせることはなく、既に痛いくらい勃起している陰茎を放って、潔は立ち上がった。 口の周りがベタベタだ。しかしそんなことを気にするでもなく、潔は自身の鞄に向かった。
「ベッド、寝転がって」
「ん、」
潔は仰向けになった作為に跨って、一枚しか履いていない下着を脱いでベッドの下へと放り投げた。
「…あ、ローション」
「え、持ってきてんの?」
「いや今日はない。そこのチェスト、中ない?」
起き上がらずに腕を伸ばして、指示通り手探りでローションを探す。複数のボトルが指に触れた。
「あった〜。…何個?」
「2、3個上置いといて〜」
「ウス。……って、ゴム自前かよ」
「こっちのが薄い」
「薄い…消費量えぐそう」
些か行き過ぎたコメントに、潔は「つけないこともあるからまぁまぁだけどな」と、事もなげに言い放った。
「えっ、ナマってこと? いいの、それ」
「多分だめ。ヤったあと腹壊したことある」
「じゃあつけろよ、」
「きもちーからしゃーなし」
口も手も軽やかに動かして、勝手に2本のそれにゴムを装着する。
正直、ゴムの着け方なんて分かる訳がないから内心ホッとした。
そして潔は手際よくローションを作為のちんこに垂らしてゆく。何もしなくてもいいのは楽だな、と思っている内に、潔は跨ったままゆっくりと腰を下ろす。
今にも舌を出しそうな、悪戯っぽい笑みを浮かべた潔は「んッ…、」と艶やかな声を一つ漏らし、作為の昂りをずっぽりと飲み込んだ。
「うっ!? はッ…ぁ、!」
「ふッ…は、きもちーよな、さくい…全部はいった」
「…やっば、やば、やばい、」
潔のナカは、もう異次元としか表せなくて、先程のフェラも合間に挟まる手淫も相当気持ちが良かった。だが、それも全く比べ物にならない。
ぎゅうぎゅうと締め付けてくるくせに、ふわふわしていて柔らかい。熱い粘膜に包まれるこの感覚は生まれて初めて感じるモノで、作為の頭の中は『気持ち良い』という快楽に支配された。
「きもちー、でしょ…ナマでヤりたくなンのも分かる?」
ナマでヤったら、これ以上の快感が得られるのか。これ以上があるなんて信じられない。もしそんなのが存在しているならば、体感してみたくもなるか。
「くそ、分かる」
「ッふ、でしょ」
作為の腹に手をついて、潔は楽しそうに腰をひとつ上下させた。
眉間に皺が寄る。奥歯を噛んで食い縛る。それでどうにかこの 快楽の渦に耐えるしかない。
「どしたの、作為? おもしれーかお、して」
「うるっせぇな、こちとらハジメテなんだよ」
「はッ、たしかに」
つい、粗雑になる言葉遣いにも、潔はにこにこと笑みを崩さなかった。
随分ゆっくりと、だ。一応気を遣われているらしい。そんな気遣いにも余裕がないから気にしていられないが。
潔は細やかな水音と共に腰を上下する。入れた瞬間の圧迫感、ナカの締め付け、それらも小さく深呼吸していく内に慣れてきて、大きく息を吐いて呼吸を整えた。
「会社の、人とも寝てんの」
やはりここでも、潔はすぐにイかせる気はないらしい。楽しむよう、味わうようにじっくりと反り立つ陰茎を収縮する内壁で擦り上げる。それに少しの安堵を覚えて、適当に話題を振れば、潔はふむと腰を据えた。
「うん、いろんな人と寝た」
「マジかよ…気持ちよかった?」
「めっちゃ良かった。3人でヤったりしたときがここ最近で一番興奮したし」
「3P…未知の世界すぎて……」
「ふへ、…でも今は、作為とのせっくすにしゅーちゅーすんの」
「…ソーデスカ」
上下の動きが止んだと思ったら、今度は押し付けるようにぐりぐりと腰を動かしてきた。
それがまた半端なく気持ち良くて、気を抜けばすぐにイかされそうで腹立たしい。
「本命、とかいンの」
自分ばかりが攻められているのがなんだか癪で、仕返しとばかりに、自分より一回りぐらい細い腰を掴みグッと上に突き上げた。
「あッ!…ん、んぅ…っ……いな、い」
最初の方は特に何もしていなかったので、体力が有り余っている。小刻みに腰を動かせば、途端にとろんとした瞳が作為を見つめる。
ぐちぐちと大きくなる音。今まで押し付けていた潔の腰は動きを止め、作為のグラインドを受け止めるために、腹に置いていた手にも力が入る。余裕の表情を浮かべていた顔に朱色が指し始め、口がだらしなくぱかりと開いた。
「、っ…なんで?…っは、理由とか…う、あんの」
「あ…っ、とくに…ッん!…な、なぁい、あッ…ん、んんっ、」
「そ、なの…きもちけりゃ…いい、ってヤツ?」
「わかっ、な…ッ…!、たぶ、んんっ! そ、ぅアっ、ああっ!! そこ、きもちッ…!」
腹側のどこか、そこをゴリッと掠めた瞬間、潔の背中が綺麗に弓状に反った。
なんだっけここ、男の気持ち良いとこ、前立腺?
平静を装うとして、しかし頭の中は沸騰寸前で。潔に良いようにされまいと、行為の訳も分からずどうにか腰を振っている。
ガツンと奥を穿つ度、潔の震えている陰茎が時折腹にぶつかって、潔のものを覆うゴムの中に液体が溜まる。
俺のよりも幾分か小さい潔のそれを眺めていると、視界の端に水滴がぽたりぽたりと垂れてきた。
見上げると、荒い息を繰り返す潔の口に一線光るそれ。唇の合間から垂れ落ちる潔の唾液。
___もったいない。
「そろそろ、イく…、?」
うっとり、そう形容出来そうな程この行為に酔う潔は、此方のありとあらゆる欲望や情欲を煽り立てられる。
甘いため息を一つ吐き出して、
「ふぅ、んっ…ン、ぅん……きもち、っ、あっ!ひぁッ!!」
「…そーかい」
混じるように入れていたそれを、更に激しく動かして熱を煽る。
ぐちゅんぐちゅんと派手に音が鳴って、降ってくる潔の喘ぎ声が細やかになってきた。リズミカルに跳ねる体と合ったテンポのいい母音に、此方の射精感も高まってゆく。
できれば、先にイかせてしまいたい。 自分が先にイかされることは勘弁してほしい。
角度を変えて、先程特に善がった所を悟られぬよう狙う作為のペニスを潔の粘膜がきゅうと強く締め上げた。
「はッ…!? クソっ、潔、!」
にぃ、と歪む口元に、突いた瞬間ふわりと浮かんだ腰を、肌がぶつかる音が鳴るほど強くぶつけ返した。「あっ!あぁ、あっ!」と、一際高く潔が鳴いた。…気がした。
「ふぁっ、ぁ、あッ…! あー、イ…っ…イく、イっ…く……うッ!」
「お、れも……っい、ぅ、ァっ…ッ!!」
声にならない喘ぎ声と肌を穿つ水音、二つの不協和音を耳に拾いながら、ほとんど2人同時に射精した。
「…童貞捨てた感想は?」
「召されそう」
「ン゛っ…w 気持ちよすぎて?」
「そう」
潔の中に挿れたまま、体勢を崩してそのまま抱き合うように倒れ込んだ。
「汗気持ちわる…」
「それな」
べたべたしたままくっついて、いくつか言葉を交わす。
しかし、もっと話したい、よりも汗が気持ち悪いの方に天秤が傾いた。中から素早く引き抜いて、鼻に抜ける潔の声を聞きつつ起き上がった。
「風呂行ってくる」
「ん〜…。」
うつらうつらと船を漕ぐ潔に何と声を掛けようか悩んだが、良い言葉も思い浮かばなかった為、無言で寝室を後にした。
「俺、死ぬんだよな」
「んん、そー言ってたね」
「…だからお前とセックスしたんだよな」
「そー言ってたね」
全裸でベッドに寝転がりながら会話に興じている潔。
此方に見向きもせずに会話、というか、俺が何か話せば「そーだね」やら、「そか」やら「ん〜…」やら、空回りな返事とも取れない言葉を発する。
_____まるで会話のドッジボールだ。
先程はきちんと、目を見て話をしていた。俺が何か話せば、一拍開けてからテンポのいい言動が返ってきて、自然と言葉が紡がれて。きちんと会話が成立していたのだ。
(潔に執着する理由、分かったかも)
麻薬なんだ、潔は。
ほんの出来心で、軽率に手を出して。危険なんだと、分かっているくせに。その甘美な交合に酔い痴れて。気が付いたら、潔を求めるようになるんだ。
性交のとき、潔は愛を囁く。
すき、きもちいい、もっと、すき、もっと。
純粋で清らか。そんな奴が目の色を変えて俺を求めるのだ。体は知ってしまっている。その気持ち良さ、快楽を。
死ぬ気が失せた、なんてことはない。
死にたい。楽になりたい。苦しいのは嫌だ。怖いのは嫌だ。痛いのは嫌だ。嫌なんだ。生きるのが億劫でしかない。
それは変わっていなかった。相変わらず死に対する欲求は加速してゆくばかりだった。
では、何に悩んでいるのか?
俺は、潔に執着しているんだろう。
好きだ、潔が。
「潔、こっち向いて」
「ん……なに、さくぃ、っんぅッ!?」
キスを仕掛けながら、潔を仰向けに倒してゆく。押し除けたいんだろうが、先程の疲れとキスによる脱力感で、押し除ける力がまるでない。
嫌がるように舌を引っ込める潔の舌を捕まえて、くちゅくちゅと唾液をからませる。潔の口のなかを、隅々まで堪能する。
ちゅ…、ちゅ…。と、小さく湿った音が響く。舌をつつき絡ませ合うと、潔の甘くて優しい蜂蜜みたいな味が口内を満たした。
あまくて、とろとろしてる、潔のよだれ。
「ぁ、ふぅんっ、ぁ…あ……ッ!」
止めようもなくキスが深くなる。
頭がぼうっとする。酸欠と鼻孔をくすぐる甘い匂いに、頭がくらくらしてくる。
潔の唾液、これはのむには危険なものだ。媚薬と、麻薬となんら変わりない。
ぐちゃぐちゃした唾液を飲み下すと、背筋が痺れるようにくすぐったくなって、下腹部に血液が溜まる。
頭では理解している。危険なものなんだと、いけないものなんだと分かっている。
けれど、
「ん、ふぅ……ぁん…ぁ、あ……っ!」
口の隙間から漏れ出る潔の喘ぎ声と、下半身に擦れる潔の勃起したペニス。
その全てが気持ち良くて、死ぬとかどうとか考える余裕がなくなっていった。
…そう、余裕がないだけ。
「っ……はぁ、いさぎ……!」
「んっ…ぁ、は…あっ、ぃ……さくい…?」
「ごめん、…すき、潔が……好き。」
「へ………?」
すき…、だいすき。愛してる、すき。…だいすき、すき。すき、好き。
「…ごめん、潔」
潔からの返答は、もう耳に入ってこなかった。
END。
以下あとがき
淫乱クソビッチ潔たまらん!!!!!!
ただただ誘い受けが見たかっただけなんですよね。ケツ差し出してる潔さん最高だわ。
…ストーリーは駆け足で展開していったので大分わかりづらいっすよね〜、申し訳ない…
まぁ、死にたがりとセックスしたよ〜ぐらいのテンションでいいと思います。はい。途中から意味わからなすぎて \(^o^)/オワタァ って感じだったので、フィーリングで誤魔化しといて下さい。感じろ。察しろ。
作為唯斗クンは、過労死寸前みたいな人で、もう色々限界だったんでしょうね。潔世一の友人…クラスメイトっつーのも本当かどうかはわかりませんが、潔世一に 恋 してたのは本当でしょうね。運命だよな。これね。
とりあえずモブじゃなくてキャラと潔をセックスさせたいっすね〜。