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天使に会っておかしくなっちゃったひおりんの話。
attention please‼︎
・潔世一くん(6)
・氷織さん成人済み予定ですけど、高校生ぐらいって思ってても読めると思います。
・おにショタ
・氷潔
・氷織羊 α 潔世一 Ω
・オメガバ要素は割とほんのり香る程度。
・しゅうくんとまもちゃんって言う名前だけのモブが出てきますが、なんも関係ありません。
・R15ぐらいの描写
・何でも許せる人向けであるのは確か。
_________________________
「おかえり、羊ちゃん!」
「…うん、ただいまぁ」
「試合見てたぞー!惜しかったなぁ!」
「そ、なんや。ありがとぉ、」
「あら、羊ちゃん疲れてる?」
「え?…あ、そう、やね、疲れてるかも、」
「夕飯のとき呼ぶから、寝といていいよ?」
「そうそう、休息も大事や」
「…分かった。部屋で休んどく。なんかあったら呼んで」
_____笑えとるやろか。
あんだけ練習したんやし、笑えとらんかったら…悔しいなぁ。
あ、ニコニコしとる。
じゃあ、大丈夫ってことやろ。
……あ゛ー、…あぁ。
疲れるなぁ…。
…ええなぁ、自分の部屋って。
「落ち着くわぁ…、」
監獄行く前となんにも変わらん自分の部屋が、一番落ち着く。
ゲーム、しよかな。
…いや、ええわ。
疲れた、寝たいし、明日に回すか。
「…寝よ」
今はただ、この現実から目を背けたい。
こんな色のない、狭い世界から逃れるように、広々としたベッドへ沈んだ。
__________________
「…温泉? 」
「そう! 休暇、ってことだから、リフレッシュも兼ねてどう?」
「そう…やね」
夕飯食っとるときに、温泉に行かないか、って持ちかけられた。
久しぶりに、家族3人で、地元の有名な温泉に行ってみないか…って。
ゲーム、してたいのになあ。
…でも、ええか。たまには…ゆっくりしても。
「行きたい」
柄にもなく、ちょっと楽しみになってる自分もいたりして。
行きたいって声が弾んでしもた。
僕って、面倒くさかったんやな。
___________________
「おぉ…」
「思ったより広いんやない?」
「そう?羊もゆっくり足伸ばせるし、ええやんか」
気を遣ってくれてるんやろなあ。 僕のこと何も分かってない人らが。
放っておいてほしかった、は、なしやって決めたから、別にええけど。
今更やんか、こんなん。
神経擦り減るなあ。…あかんわ。
「僕、お土産見に行ってもええ?」
「おーお土産か!ええで、部屋のことは俺に任せとき!」
「行ってらっしゃい、羊」
「おん、ありがと。行ってきます」
笑え、笑え、笑え。
大丈夫、完璧な笑顔や。バレへん、絶対。
「…疲れるなぁ」
休みに来たはずなのになあ、
しんどいなあ。
くるしいなあ。
つらいなあ。
お土産渡す相手…は、烏とか黒名くんとか、雪宮くん?…ああ、あと玲王くんもか。
4人?…いや、もっといるか…?
あ、ストラップ!…は、微妙か。
ご当地とか興味なさそうやし…わざわざ買うのも時間かかりそうやし…ええか。
「…あ」
目を引いたのは、30個入りのクッキー。
バニラとチョコの2種類で、シンプルな箱に包装されてる。
「…おー」
30個入り、15個入り、10個入りのがあった。中身は全部いっしょ。
面倒やから、15個のでええか。配ればええしな。
商品に手を伸ばす。一番上にある、ラッピングされてるのに。
「…え、」
「へっ?」
少年と、手が触れた。
店内はあまり人がいないし、寒い、までとはいかないけど、大分涼しい。
涼しい…はずやねんけど、…暑いなぁ。
ぶわって体温が上がって、全身の血が沸騰したみたいにあつくなって、…なんやこれ。
きょとん、って効果音がつくくらい、まあるくて、でっかくて、海みたいに澄んでて、綺麗で、青い目の子供。
窮屈そうな首輪も着いてて、…ああ、この子は…
守らないと、あかんのやなって。
小指がちょっと触れ合っただけなのに、目が合っただけなのに。
心臓がどくどく鳴って、脳みそがぶん回って、バカみたいに興奮してるのが分かる。
守らなきゃ、
手に入れろ。
保護しろ!
「……きみ、」
「よっちゃん!!!!!!!」
「ゎっ!?」
後ろから、でっっかい声で叫ばれた。
誰やねん、よっちゃんて。 この子がひびってもうてるやんか。
肩びくってして、悪いことしてもうて怒られる前の子供みたいな反応して…あれ?
「…よっちゃん?」
「へっ?…え、おねえさん、ぼくのしり合い?…ですか、?」
恐る恐る、っつー様子で、まあるくてでっかい青い目で見上げてくるよっちゃ…あ、え…お姉さん?
……"お姉さん"かぁ。
「あ…ふふっ、せやなあ、知り合いかもしらんなあ」
なるべく女っぽく、口に手を当てて控えめに笑ってみる。…僕、演技の才があるんとちゃうか?
「え……っと、」
この子の頬がぽぽぽ、って赤く染まる。…勘違い、してくれたみたいやな。
「よっちゃん!!!…貴方…」
…よっちゃんを僕から庇うように立った、 「まま、? どしたの?」母親。
警戒心強い親やなぁ、…いや、それが普通なんやろか。
「…よっちゃん、戻ろう」
「えー! やだ、僕、まだしゅうくんもまもちゃんのも買ってないよ!」
友達やろか、しゅうくんとまもちゃん。
頬がぷくーって膨らんで、つつきたくなる白い頬がとてつもなくかいらしい。
触ったらあかんやろか、…あかんか。
「…よっちゃん、」
母親がよっちゃんの肩に手を置く。目線を合わせて、「戻ろう」って語りかけとる。…あかん、行ってまう。
「ふふ、可愛いお子さんですね」
なるべく、声は高く。
優しそうな女の人を意識して。大丈夫、まだよっちゃんは返事しとらん。話しかけても違和感はあらへん。
「…ありがとうございます」
「? ぼく、ですか?」
「うん、そうですよ」
目尻を下げて、優しく微笑む。
流れてきた髪を耳にかけて、よっちゃんに目線を合わせるようにかがむ。
母親が警戒したのが分かってもうたけど、今どっか行かれんのはあかんねん。
名前と年齢とどこ住みなんか聞き出さんと、会いに行けへんやんか。
「僕、何歳?」
にこにこ、笑みを崩さない。崩したら絶対にだめや。
___________逃さへん、絶対。
「? ろくさい!」
「よっちゃん!!!!」
「え?…、?」
何がだめなの、聞かれたから答えただけ、なんで怒られてるの?
目がそう言ってる。…かわいそーやなぁ。
なんでなんやろな?
なんで怒られなあかんのやろか。
「6歳の、よっちゃん?」
こてんって首を傾げて、あざとく。僕の顔が可愛いってことに感謝せなな。
「はい! よっちゃんです!」
年相応の、元気なお返事。…かいらしい子やなぁ。
「そか、てことは、一年生なんか?」
「そうで「それを聞いてどうするんでしょうか。」…おかあさん?」
あらら、警戒心がピークに達してもうた。被せるように言われたし…おー、顔怖ぁ…これ以上は無理そうやな。
「…えぇ、っと…馴れ馴れしかったみたいやな」
困ったように、けれど少しだけ悲しんだように、あくまでも自分が悪かったのだと認めるように。 控えめに笑う。
母親の方はびっくりしとったみたいやけど、よっちゃんの手を引いて出口の方行ってもうた。
…んー、6歳っちゅーのが聞けただけでも儲けもんって考えればええかな。
「ぅ…あ、のね!!!」
母親とお手て繋いで、引き摺られるみたいに歩いとるよっちゃんが振り返っておっきい声で言う。
「…え?」
「ぼくっ、よいちって言うの!!またね、おねえさん!」
空いてる手の方で、ちっちゃくて頼りない手で、一生懸命手を振って。
母親が焦ったように走り出した。…遅いんよな…もう。全部が。
「………は、っ…」
かわいい…なぁ………すごく。
またね…って言われてしもたなぁ、…僕にまた会いたいって思ってくれたんやろなぁ。
かわいいなぁ、すごく、とっても…よっちゃんはかいらしいなぁ……。
「…よいち、よいち、…よっちゃん」
思わず、口を抑える。
…あかん、あかんな…顔あっつ…!
シンプルな柄で包装されとる、二種類のクッキーが15個入っとる箱。
この箱が、運命に逢わせてくれたんや。
…おおきに、って感謝せな。
「…すみません、これ_______」
ありがとう、お父さん、お母さん。
僕を此処に連れて来てくれて。
僕は今日、運命に逢ったよ。
「…?何か、良いことでもあった?」
「え? なんで…」
「なんとなく、嬉しそうだったから」
「…うん、あった、いいこと」
「へぇ、そう、良かったね?」
「ふふっ、…うん、」
すごく、良いことがあったんよ。母さん。
「気持ちいいなぁ、羊」
「せやねぇ…リラックスできるわ…」
「…楽しそうだな、羊!」
「え……っ、…うん、楽しいよ、すごく」
すごく、楽しいよ。これからを考えると、とっても楽しい。
おかあさんは、おこるとこわい。
「はっ…!! は、っは……はっ、!」
「おか、ぁさ…! おかあさっ……! いたい、いたいよっ……!!!」
「走って!!!!部屋まで、お願い、お願いだから、走って!!!」
おかあさんは、たまにこうなる。
おこってるけど、おこってなくて、ぜえぜえしてるのに、ぼくに走ってって言うの。
いたいよ、おかあさん。
なんで、そんなかおするの?
ぼく、なにかしちゃったの?
はなしただけだよ? おねえさんと、あいさつしただけだよ?
あの、きれいなおねえさんと、ちょっとはなしちゃっただけなのに。
こわいよ、おかあさん、
「おかっ…ぁさ……!! ね、ぇ、ねっ…おかあさん!!!」
「世一!! 黙って、追いかけてくるかもしれないから、大きな声出さないで」
へやに入って、おかあさんがしー…って、ひとさしゆびを口にあてて、しーってやる。
おかあさんがしーってやるとき、しゃべったらだめなの。
しゃべったら、いたいいたいだから。
「…っは、ぁ…あのね、世一」
おかあさんがよいち、ってよぶとき、おかあさんはおこってるけど、おこってない。
このかお、きらい。
あのおねえさんも、こんなかおしてた。
「…うん」
「ふー…。あのね、世一、私怖いの。」
おかあさん、なきそうなかおしてるの。
なんで。
「Ω、ってね、弱いのよ」
なんのはなし、してるの?
「Ωはね、守られるべきなの」
Ωのはなし、してるの?
「あんな…知らない人に、…なんで、そんなに警戒心がないの…?」
ごめんなさい、おかあさん、ごめんなさい、泣かないで、ぼくがわるい子だから、おかあさん、おこってる。
「…おかあさん、」
ごめんなさい、おかあさん、ごめんなさい。
「世一は、Ω なんだよ、気をつけなきゃ、首輪だって、本気を出せば壊せるものなの…」
この、くびわね、おもいんだよ。
こわされる、ってなに?
こわす人がいるの?
なんで?
「おか……あ、さ…」
Ωがわるいの?
ぼくが、Ωじゃなかったら、おかあさんはわらってたの?
わかんないよ、ぜんぜん、わかんない…、
「お医者さんに気をつけて、って言われていたのに…どうして、…なんで……、」
ぼく、おいしゃさんきらいだよ。
だってね? ぼくのこと知らないのに、かわいそうだねって言うの。
なにがかわいそうなの、ってきいても、だいじょうぶだからね、って言うだけなんだよ。
Ωは、かわいそうなの?
「おかあさん……」
「お願いだから、これ以上、…αに近付かないで…」
αって、わるい人なの?
ぼく、なにがだめだったの?
がっこうのせんせいにね、言われたんだよ。
あいさつとへんじ、大きなこえで。
りつようとことばづかいを、まもりましょうね、って言われたの。
せんせいと、おいしゃさんと、おかあさん、だれをしんじればいいの?
「おかあ、さん…」
「…ごめんね、世一、……ご飯にしよっか」
ぱっ、て、えがおになる。
おかあさんは、こわいけど、やっぱりすき。
ぼくも、ないちゃいそう。
おかあさん、あのね、ぼく、いいこになるから、もう、なかないでね。
「…おいしいね! おかあさん」
「……そうだね、よっちゃん」
「きもちいいね、おかあさん!」
「うん、…そうだね、よっちゃん」
「おやすみなさい! おかあさん!」
「おやすみ、よっちゃん」
よかった、おかあさん、きょう、なかなかったよ!
やった、やったあ!おかあさん、にこにこしてくれた!
…あ、おみやげ、かってない。
しゅうくんとまもちゃん、…おかあさんがいいよって言ってくれた、ぼくの、だいじなともだち。
しゅうくんも、まもちゃんもβだから、って言ってた。
べーた、って、おめがとあるふぁとちがうのかな?
ぼく、なんにも分かんない。
Ωが、なんでかわいそうなのか、αってなんなのか、βはなんでいいのか。
おしえてもらったこと、ないよ。
ぼく、分かんないよ、おかあさん。
あの子と出逢ったあのときから、僕はずっとお土産屋にいる。
だって、よいちくんはまだ何も買っていないはずやから。
覚えてる。言葉も行動も顔も声も。全部覚えとる。僕には分かるくらいのマーキングはしたから、すぐに分かるやろ。
「…新しい言い訳、考えへんとなあ…」
両親は僕がまだ悩んどると思ってるみたいやし、そろそろ怪しまれそうなんよなあ…
特に興味もないストラップや人形を眺める。
よいちくんはどんなのが好きなんやろ?可愛いのか、…男の子やから、かっこいいのが好きなんかな?
考えるのは、楽しい。
次会ったとき、なんて言おうか。いつ男やって打ち明けようか。
_________楽しみやなぁ、
「…あ、れ…?」
「…、!」
…大丈夫や、落ち着け、まだ見たらあかん。
だめや、向こうから来るまであかん。
見たい、顔が見たい、もっかい話したい、触れたい。
でも…まだ、あかん。
「…ぅ、……うぅ…、」
変な声出しとる、よいちくん。どうしたんやろ、…もしかして、具合悪いんか!?
…気になるなあ、でもあの母親と一緒やったらもう二度と近づけんくなるしなあ。
どーしよ、
「…おねーさん、!」
僕の服の裾をちょい、ってつまんで、多分、涙目や。
声が震えとるもん。
「…どしたん、ボク」
やっぱ、可愛い可愛い目ん玉に膜が張っとったわ。…誰や、泣かしたん。
いや、でも泣きそうなん、クるな、あかん、かわいすぎる…
「…あのね、っあの、ねッ…!」
「おん、なに?」
多分、しゃがんで欲しいんちゃうかな…見られたら殺されるかもしらんけど、そん時はそん時や。
あん時と同じように、屈んで話を聞く体制になる。
…そないな顔せんといてや、僕も悲しくなってまう。
「どしたの、よいちくん」
「…ん、あのね、? おかあさん、がね?」
「……うん」
「もう、αとはなしちゃだめだよって、言ってたの」
「……うん」
「だからねっ、ぼく、おねえさんと、おはなししたら、だめなんだ…っ、」
「さよかぁ、…ぇ、でも……」
「…でも、ねっ…、ぼく、いやだったから、あいにきちゃった、」
ぼく、わるいこだから、あいにきちゃった。
「…そ、……か、」
なんで、そんなに、僕のこと…
ほんっっっっっっとかいらしいな!?
なんなん!?!!?
僕のために、そんなっ、!
こんな顔してまで、悪い子になってまで、会いに来てくれたん?
僕に、逢いに!
「かぁいらし…ほんっと、…かわいいなあ、よいちくん」
「へっ?…え、とっ、?」
この、よく分かってないけど、褒められて嬉しい、みたいな顔…ほんっっと、かぁいいなあ!?
「…あ、それで、…おねえ、さん!」
「ん、…なに?」
「その…ごめんなさい……!」
「え?…えぇ、と、何が…?」
「…ぼく、ばいばいって、しちゃったから」
ばいばいっちゅー言い方がもう可愛いんよなぁ…別に怒ってへんのに、もじもじしとるから、虐めたくなってまうやんか。
…まだ、あかんけど。
「ふふ、大丈夫やで、よいちくん」
優しい口調で、ちゃんと、警戒心解かんとあかんからな。
「…え?」
「僕、怒ってへんで?」
「ほ、ほんとっ!?」
「うん、ホント」
……ええかな、触っても。
ちょっとだけ、…頬だけ、一撫で終わらすから、許してな。
「…? おねぇ、さん、?」
…もちもちしとる。
お餅みたいに柔かくて、ぷにぷにやねんな…気持ちええわ。
「…ほっぺ、柔いな」
「え?…そう、?」
よく分かってなさそうなよいちくん。かーわいいなあ…でも、しゃあない、離すか。
「おねーさん、?」
「ごめんなあ、急にいろうてしもて」
「え?…いろ、う…?」
方言が伝わらへん、ってことは、よいちくんこの辺の人ちゃうんか。
訛ってない、可能性もあるけど…
「ふふ、…急に触ってごめんな、って意味やで」
「あ!あ、えと、んーん!!だいじょぶだよ!」
眩しいなぁ、よいちくん……、
「おおきに、…よいち、くん」
ってか、 よいちってどう書くんやろ?与一?夜一?
「せや…よいちくん、名前、教えてや」
「なまえ?…? でも、よいちって…」
「そうじゃなくてな?苗字と名前、僕に教えてや」
「みょうじと、なまえ…えと、いさぎよい?のいさぎ、と、せかいのせ、と、いち!」
「…潔世一?」
__________潔世一。
潔い、世界、一、潔世一。
…よし、覚えた。
「そう!…え、と、おねえさんは…」
「ふふ、僕は氷織羊、よろしゅうね、世一くん」
「よおさん!よろしくおねがいします!」
「はぁい、元気なお返事やね」
マーキングしとかんと、匂いが取れへんように濃く、…バレるやろか?
世一くんのお母さん、そういやβやったな、βってαのマーキング分かるんか?…感じる程度やったら都合ええんやけど、分からんな…勉強不足や……?、あれ、
「…世一くん、」
「? なぁに、よおさん」
「お父さんとか、おらへんの?」
「……おと、ぉ、さん…?」
びっくりしとる、なら…シングル、っちゅーことなんか。そら、過保護にもなるわ。
「あー、…っと、ごめんなぁ、変なこと聞いた」
「…んーん、だいじょーぶ」
絶対、大丈夫やないやろ。
…あかん、あかんなぁ、世一くん悲しそうやんけ、謝らな、声沈んでもうてるやんか、…可哀想、やなぁ、かわいそう…なのになぁ、
かわいい…なぁ、
「…世一くんって、Ωなん?」
「え……、っ…うん、おめが、です、」
「そぉかぁ、じゃあもう番とかおるん?」
「え?…つがい……?」
「…?」
「よおさん、…つがい、って、なに?」
「……え?」
え、Ωなのに、番のこと知らんの?
…んなことある?世一くんもう6歳やで?もう教えられとる時期やと思っとったけど、?
それか、母親のガードが厚すぎた、とか、ありそうやなぁ、度を超えた過保護って感じやし、…Ωの地位とか待遇とか考えれば納得モンやけど。
「知らない?番って」
「うん、しらない。…つがい、って、なに?」
……教えてもいい、けど、
「番っちゅーのは、子孫を残すために、雄と雌…同性もあるんやけど…まぁ、それが交尾する、動物同士の組み合わせって感じやろか?」
「…ぅ、?」
「あはは、分からんか」
「えと、おすとめす、って、あの、しそん、え、…?」
…可愛いなぁ。
そら、意味分からへんよなぁ、やって、番のことも知らんかったもんな。
「ふふ、……世一くん、ちょっと首輪外してみ?」
「…え、?」
「あ、ほら、言葉で説明するの難いんよね。やから、実践…やってみた方が早いやん?」
「…え、っと、 」
「それとも、外したらダメ、って言われてる?」
「…、」
ちっちゃく頷く世一くん。
…ま、そらそうよな。これで対策しとらんかったら驚くわ。
でも、世一くんは “ 優しい ” から。…な、
「世一くん、ちょっと歩かん?」
「え?」
「外、僕ここら辺に住んどんねん」
「…で、も、」
「大丈夫、ちょっとだけやし」
「…ちょっと?」
_____________もう少し。
「おん、ちょっと」
「、……ちょっと、なら…」
「本当!?ありがとう、世一くん!」
信用度は…大体69%くらい?クラスメートに接するみたいな距離感…うわ、絶妙〜…。
さりげなくスキンシップ増やす、か。
…ほんとは、
ほんとうは、よおさんとあうの、やめようとおもってて、だめだっていわれてたから。
でも、おかあさんとせんせいに、『言い逃れ』はだめだよって言われてたから。
いいのがれ、って、なにか分かんないけど、けんかわかれ?はダメだよってこと、だとおもうから、
よおさんにあって、ごめんなさいしなきゃっておもったから、!
もうすぐ、かえっちゃうから…
さいごに、しゅうくんとまもちゃんのおみやげかって、よおさんにごめんなさいしようっておもって、おみやげやさんに行った。
…おねえさんが、キーホルダーをみてた。
だれかにあげるのかな、…だって、おねえさん、おかあさんがやさしいときと同じ、やさしいかおしてるから。
……なんか、いやだ。
おかあさんとおねえさん、ぜんぜんにてないけど、なんかにてる。
おねえさんがわらったとき、おかあさんはおこってたけど、ぼく、おかあさんのわらったかおににてるな、って、おもったよ。
おねえさん、すごい幸せそうにするの。
うれしい、って、にこって、わらうの。
ぼく、おかあさんがなんでおこったのか、ぜんぜん分かんないんだあ。
ほら、やっぱり、よおさんはやさしい。
おかあさんと、ちょっとだけ、ほんの少し、にてる。
「番っちゅーのは、αがΩの頸噛んで、繋がったらそらもう番や」
「……え、?」
「ほら、そのおっっっっもい首輪で頸守らんと襲われるからなぁ、我慢して着けなあかんのやで?」
「…よ、おさ、ん……」
「まぁ、色々考えとったんやで。ヤりながら噛む、とか、仲良くなって正式に取引して噛む…とかな?」
「よおさ……っ、」
「…でも、世一くんもう帰ってまうやんか」
「よおさん……」
「そら、焦るやん」
「よ、…ぉ、さん…」
「……誰が悪いとか、誰が良いとかちゃうねん」
「……よお、さんっ、」
「しゃあないよなぁ、…好きなんやもん、運命やもんな」
「よおさん、……っ、!」
「…美味しそ…♡」
ぺろ、って、よおさんの舌が首の後ろを舐める。…いやだ。それ、なんか、いやだ。
体が、脳みそが、絶対に嫌だ、って。やめて、って、言ってる。
でも、よおさんの歯はオオカミみたいに尖ってて、その鋭い歯が、首の後ろに突き刺さる。
目の前が、ちかちかちかって、白くて黒いピンク色のがいっぱい飛んでて、
びりびりって体が震えて、よおさんの歯が首に入ってきてるのが分かって、唾液が噛まれたところに塗られて、痛くて、よくわかんなくなって、頭がぐわんぐわんする。
痛い、し、びりびりして、じくじくして、どろどろになって、ぐちゃぐちゃぁ、って、頭が回んなくなってきて……!
「…ア゛っ、がッ……!? っだ…いっ…」
よおさんの、よおさんが、よおさんを、よおさんと、ぼくが、なにか、見えないけど、見えてないけど、何かで繋がっちゃった気がする。
絶対に切り離せないし、取れないナニカで、結ばれた気がする。
輪の中に糸を通して、くるって結んだら、絶対に解けなくなっちゃったみたいに。
オオカミに噛まれて、結ばれちゃったから、もう、絶対に、一生、解けないナニカで、繋がっちゃった。
とれない、ほどけない、くつひもだって、かんたんにほどけちゃうのに。
きれない、やだ、いやだ、だってぼくまだ、とって、はなして、つながっちゃった、なにこれ、だめなの、これ、だめ。
「…世一くんは血も甘いんやな、めっちゃ美味いわ」
羊さんが、嗤ってる。
「……やだ、…おかぁさ、ん……」
「そこ、おかあさんちゃうくて、羊って呼んでほしいわぁ。萎えてまうやん」
おかあさんも、食べられちゃうのかな。
むかしむかし、あるところに、小さくて可憐で、少し泣き虫な男の子がいました。
男の子は、お母さんが大好きで、お母さんの言う事をきちんと聞く いい子 でした。
男の子はある日、お母さんと一緒に、京都へ旅行に行きました。
街並みが全然違う風景に圧倒されていましたが、お母さんの言い付けを守り、無事に旅館へとたどり着けたのでした。
まず、部屋に荷物を置いて、お土産屋さんに行きました。
もちろん、お母さんと手を繋いで。
お母さんはあまり人と関わったり、仲良くしたりしていなかったので、お土産を買う相手は祖父母や両親だけでした。
ですが、男の子には、お母さんが認めてくれ たしゅうくんとまもちゃんと言う お友達がいます。
男の子は、その2人ととっても仲が良かったので、真剣に選びます。
お母さんも、京都へ来るのは初めてだったので、珍しいものがたくさんあって、つい見入ってしまいました。
男の子は、お母さんから離れないでね、と言われていましたが、その言い付けを忘れるくらい真剣に選んでいたので、いつの間にか遠くに行ってしまいました。
お母さんも、お土産に夢中で、つい目を離してしまいました。
お母さんから、キーホルダーは高いからやめた方がいい、と言われていたので、多くて安い何かを探していました。
なので、手軽な値段でたくさん入っている、美味しそうなクッキーを見つけた時は、飛んで喜ぶ勢いでした。
さっそく、お母さんに見せに行こうと箱を取り……「…へっ?」
取ろうとしたら、知らないお姉さんと手が触れ合ってしまいました。
…あれ?女の人にしては手が骨ばっているような……肩幅も…?
…いいえ、多分、気のせいですね。見間違いか気にしすぎのどちらかでしょう。
とにかく、気にせず箱を取ってお母さんに見せに行こうと、掴んだときでした。
なんと、お母さんが勘違いしてしまったのです。心配性で過保護な母親です、知らない人と一緒にいるところなど、勘違いするに決まっています。
ですがもちろん、男の子は言い付けをきちんと守っていました。
知らない人とお話なんてして……いませんし、目も合わせていませ……いえ、一瞬お姉さんと目が合いましたが、たった数秒です。
男の子はお母さんの言い付けを守って…いましたね。
しかし、お母さんの中で男の子は、知らない人と話したり仲良くなったりした、言い付けを破った 悪い子 になりました。
そうです、男の子は『悪い子』なのです。
お姉さんだと思ってたお兄さんに誘拐されて番にされても、無理矢理の性行為を強要されても、誰も助けに来てくれないのです。
だって、男の子は『わるい子』なんですから。
わるい子はお仕置きしなくちゃだめなのです。きちんと、教え込ませないと。
ですが、
お母さんにとって、いい子 でも わるい子 でも、どっちだっていいのです。
男の子は、たった1人の、お母さんの子供です。
だから、お母さんは今でも探しています。
わるいわるい大人に騙されて喰べられてしまった潔世一くんを、連れて帰ろうと必死に探しています。
果たして、潔世一くんは無事に帰って来られるのでしょうか?
…そうですね。
きっと帰って来てくれますよね。
羊さんが手放してくれたら、きっと帰ってきてくれますよね!
_________めでたし、めでたし。
あの子と暮らしてから、幾つか分かったことがある。
「はーい、世一くんそろそろ起きぃ」
「…ぇ、も゛ぉ…そんな、」
「ふふ、声ガサガサやね」
「……ん、」
瞬きを数回繰り返して、ようやく目が覚めてきたらしい。でも、まだ完全には覚醒していないのか、ぼーっとカーテンを眺めている。
案外お寝坊さんなとこも、可愛いくて僕は大好きやけど…そろそろ起きてもらわんと。
「よーいーちーくんっ。今日、まるまるオフなんやから、いちゃいちゃしよーや」
世一くんをベッドに押し倒すような体制になって、唇同士をくっつけるだけの簡単なキスをする。
途端に見開かれた眼、びくりと反応した体、全てが愛おしい。
昨夜のことを思い出してきたのか、世一くんの目に涙の膜が貼られる。
かわいいなァ……ほんま、…このままセックスしたろか。
「…いや、アカンアカンアカン…!!」
珍しく今日1日オフやねん。
時間大事にせんとアカンやん…!
世一くんの誘惑()に負けじと自分を律する。
「リビング行こか」
「…うん…」
ちっちゃく、首を縦に動かして頷く。
…やばいなぁ、めっちゃ興奮する。
「…かーいいなぁ、」
世一くんは、慣れてきとるんやと思う。
僕がパターン分けしてる、っつーのもあると思うけど、世一くんは適応能力が高い。
環境を変えたら本人も変わる、最初ここに来たときは困惑と畏怖、恐怖。
食事も喉を通らない状態やったんやけど…今は、
「よぉさん、これ、おいしい…!」
「ほんま?ありがとぉ!漬け込んだ甲斐があったわぁ」
「えっ、つけこむの…?」
「おん、した方が甘くて僕好きやねん」
「へぇ……ぼ、く、も…あまいの、すき」
ぽそり、呟く。
ほんま…どんくらい僕のこと惚れさす気なんやろ、この子は……。
美味しいとか、好きとか、出されたもんを当たり前に食べて、ご馳走様して、嫌いなもんには文句を言うて。
それが当たり前みたいに、この部屋で生活しとる。
僕が世一くんを抱いても、僕にとって可愛い抵抗はするけど、殴ったり蹴ったり、本気の抵抗はしない。
暴行する、って事が分からんし、知らんのかもしれんけど、従順で イイ子 な世一くん。
最初来た頃より、ずっと幸せそうにしてる世一くん。
僕の脳内フィルターがそう見せてんのかもしれんけど、勘違いやったとしても、嬉しそうなんやから、ええやんね。
一緒のお墓入ろうな〜。
〜END〜
あとがき………的なの。
一体これは何エンドなんでしょうか。
一緒のお墓入ろうendかなぁ…。 名前クッソダセェな。
まぁ…あとがき言うてもこれが全てだからなぁ…強いて言うなら羊がやりたかったんです…って言い訳しときますね。スイヤセンッシタ。
むかしむかし でお察しなんですよね。もうね。彼は昔々の存在になってしまったんですね可哀想に。
一緒のお墓入ろう まぁ番になったしね…そら一緒におらんとあきまへんがなァ! 籍入れるとか言わせてもいいかな〜…とか思ったけど、番ったしもう墓入るくらいしかないんだよね、激重台詞。
ちゃっかり抱く宣言してるのは…ひおりんヤる事ヤってそうだしなんか…全部に発情してそうじゃない?偏見なんですが。
いつかゲロゲロプレイで血ゲロ吐かせてみせます。ベェベェ泣きながらおゲロしてる潔世一くん(10)は絶対やります。
推しショタを犯せ!!!!!!!
※犯罪を助長させるような物言いをして申し訳ないのですが、あくまでもフィクションの二次創作ということをお忘れ無く。現実でこのようなことをした場合には即刻ドナドナされてしまうのでご注意を。
イエスロリショタ!!!!!!
ノータッチ!!!!!!!