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作者の方、本当に最高ですねwwwwどこのどなたか存じませんが、朝から電車の中でニヤニヤが止まりませんよ。
大型犬めめとなんでも許しちゃう舘様めっちゃいいな!!🖤❤️
さてどうしたものか。
椅子に座りたかったはずなのに、今俺は目黒の膝に座らされている。
とりあえずいつも通りに姿勢を正していたら、佐久間が『よく普通にできるよな』と茶化して笑った。
❤️「こうしておくしかないんだから、仕方ない」
🩷「そうなの?」
❤️「しばらくはね」
少し前、目黒がみんなの前で突然
🖤「舘さん、これからは俺が舘さんの事を守るから」
と言い出した。
俺もだが、みんなも呆気にとられたあの空気が今でも忘れられない。
❤️「目黒が守ってあげたいのは、阿部じゃなかったの」
🖤「阿部ちゃんは仲間として守ってあげたい。だけど舘さんは恋人として守りたい」
❤️「は?」
そういうわけだから、これからは何でも頼ってね?と抱きしめられ、キスされそうになったので思わず振りほどいた。
その時の、大型犬が叱られたような目黒の顔。下がりきった耳と尻尾が見えるようだったし、その顔をさせたのもメンバーに見られた。
💙「それはめめのやり方が良くない」
翔太がそう言ってくれて救われたけど、そこから俺の心に目黒が住み着いた。要するに、まんまとこの公開告白に乗せられてしまったというわけだ。
俺が座ろうとしていた椅子を陣取り、俺を膝に乗せる目黒に『降ろして』と声をかけるとシートベルトのように腰に回っていた腕が緩んだ。
一応振り返ってみると、またあの顔をしている。きゅーん、とか細い声が今にも聞こえてきそうな表情に、溜め息が出た。
❤️「…今日、仕事終わったらうち来る?」
🖤「えっいいの!?行く!」
下がりきっていた顔の筋肉がぱっと上がり、笑顔に変わる。
そんな様子を見て翔太が一言『涼太ってめめに甘いよな』と呆れたように言った。
目黒の到着に合わせてパスタを完成させたのに、洗い物をしていたから今は後ろにくっついて離れない。
❤️「座ってていいよ」
🖤「嫌だ」
自惚れでなく、俺の事になると目黒は急に子どもみたいになる。
照にちょっかい出して喜んでるのとはまた違う。どちらかと言うと全部自分の思い通りにしたい、というワガママというか、俺に甘えてどこまで許されるか試しているような、そんな様子だ。
❤️「どうしてそんなにくっつきたがるの?」
背中に登山リュックみたいに張り付いた目黒に声をかける。
🖤「だって、グループに入った時から俺早く舘さんと仲良くなりたかったのに。舘さんが全然距離詰めてくれないどころか話してもくれなかったから」
❤️「それはお互いの距離の詰め方が違ったからでしょ。今はこうして仲良くしてるんだし」
🖤「嫌だ。せっかく手に入ったのに」
❤️「俺は別にどこにもいかないよ」
洗い物の手を止めて、後ろ手に腕を撫でてやると目黒は更に大きい身体を俺に預けてすり寄ってきた。
食事にしよう、と言うと背中で『そうだね』と返事が聞こえる。手が緩んだのですり抜けようとしたら、不意打ちで壁に押し込まれてキスされた。
❤️「んむ…!?」
🖤「はぁ…舘さん、ご飯にしようね?」
それだけ言ってまた唇を重ねてくる目黒の一瞬見えた目がギラギラしていて、目を閉じたら流されてもっていかれそうだった。
❤️「んっ、ちょ、待て!」
弾かれたように目黒が離れる。またあの顔だ。でも今は甘やかすわけにはいかない。
❤️「そっちのご飯…じゃない」
🖤「はーい……」
目黒はつくづく犬みたいだ。普段は陽気に愛情を降らせグイグイくるくせに、とても従順。
今までに出会ったことのないタイプで、扱いに困る反面『待て』で待つ素直さは有り難くもある。
🖤「うまい!」
❤️「良かった」
喜んで俺の作ったご飯を食べている時も尻尾振ってんじゃないかと思う、悪い気はしない。
食器を片付けてコーヒーブレイクもそこそこにソファで俺を捕らえて離さないのも、まぁ…悪い気はしない。
❤️「だからどこにも行かないってば」
🖤「本当に?しょっぴーとか他の人、好きにならない?」
❤️「ならない」
やたらと翔太を引き合いに出すから、その度にこっちも阿部を引き合いに出す。
❤️「目黒だって、俺に本当は阿部を守りたいんじゃないの?って言われたら、そうじゃないって思うでしょ?」
🖤「うん」
❤️「それと一緒」
そっか、と納得したような口ぶりで、目黒は更にくっついてくる。
🖤「わかってるけど、でもやっぱりこうしてたい」
❤️「どうして?」
🖤「せっかく舘さんが、俺の大切な人になってくれたのに。くっつかないと勿体ない」
あぁ、昔からグイグイ来たいのは変わっていないんだな、と思う。当時は良く思わなかったけど、好きフィルターというものは恐ろしい。
❤️「そうか」
🖤「…ねぇ舘さん」
❤️「何でしょう」
🖤「今度は…こっちのご飯、食べてもいい?」
そう言って甘えた子犬みたいな目を向けてくる。これに勝てないと思い始めたのも、好きフィルターのせい。全部俺の心に目黒が住み着いたせい。
❤️「お風呂……」
言いかけて目黒があからさまにしゅんとしたので、結局許してしまった。
翌日、腰の調子を悪くした俺を見て目黒が照に説教されていたのを庇ったので、俺まで翔太に『涼太マジでめめに甘すぎ』と小言を言われる羽目になった。
終