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「ミルシェさん。集めた木材はどこに持って行けば?」
「それでしたら、森林区に集めて下さればよろしいですわ」
「分かりました! それでは行って来ます」
「よろしくお願いしますわ!」
ミルシェはサンフィアたちを送り出した後、着々と国の再建に取り掛かっていた。彼女は元々交渉事に長けていたこともあり、指示を下すとその進行ぶりは見事なものだった。
彼女の手腕は確かなもので、存在感がある立場として支持されていた。
「ミルシェのお姉さん。僕たちは何をやればいいですか?」
「……そうですわね、あなたたちは召喚が使えるのでしたかしら?」
「ぼ、僕はまだ再召喚が難しくて、でもサラは召喚が出来ますです。ほ、ほら、サラも挨拶をしなきゃ」
「ミルシェさま、ドワーフのサラです。召喚しますか?」
「あなたは何を召喚出来るの?」
「え~と、えっと……火の幻獣なら」
アックとの戦いに敗れたドワーフ族のサラはドワーフの中でも特に魔力が強い。そのせいか他のドワーフの子たちよりも魔力の回復が早かった。ドワーフの子たちはルティに言われたことを守りつつ、ミルシェにも気に入られようと積極的に動いていた。
「入れ違いではあるのだけれど、森林区の木材を――」
「ミルシェさま、お下がりくださいっ! 黒い何かが落ちて来るですっ!!」
「――黒い球体?」
ミルシェたちが居住区で立ち話をしていると、突然目の前の上空から黒いモノが現れる。ドワーフたちはミルシェを下がらせ、構えをみせた。
得体の知れないモノに警戒する子供たちに対し、ミルシェは物怖じせずに近付こうとしている。しかし何かに気付いたのか、フォルがミルシェの前に飛び出していた。
「お、お姉さんっ! 危ないです!!」
他の子たちが困惑しながら声を上げると、黒い球体から人影のようなものがいきなり立ち上がる。
「お、おのれ……何故我が――む?」
「あら? お早いお帰りですのね、サンフィア」
「――フン、我が何故ここに戻って来たのかを不思議がらないとは、大した奴め!」
「アックさまに合流して、そのまま敵に襲いかかろうとしたのを失敗したのでは?」
「全てお見通しだとはな」
黒い球体から現れたのはサンフィアだった。ミルシェは彼女がここに戻って来ることを想定していたかのように、平然としている。
「サンフィアが戻って来たということは、アックさまもそろそろお戻りになるということかしらね」
「何? どうしてそう言える? 言っておくが、アックは敵と交戦中なのだぞ? そんな状況からどうして戻って来ると?」
「――予感ですわ。アックさまならどんな敵でも問題無く倒しますわ。そのうえ、ここを……」
「我は無駄に疲れた。アックが戻って来ると言うのならば、それまで休む! お前はやるべきことをやって予感に備えておくことだな!」
「そうしますわ。それでは、あなたたちもアックさまのお帰りまでに動いていただきますわよ?」
アックの帰りを予感しながら、ミルシェは今日も退屈しない日々を過ごしている。