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「ぅ…ぅぁ…げほ…っ、」
突然呻き声が聞こえた。僕はびっくりして起きた。
「…え?」
ここは病院だ。しかも夜中の2時。幽霊が出てもおかしくない。僕は思わず布団に身を隠す。
(なんだ…なんなんだ…)
僕は怖くなったまま時間だけが過ぎていくのを待った。だけど、気付いた。”ぅぁ”という呻き声の声が彼女に似ていたことを。
(まさ…か)
その時、彼女の言葉を思い出した。
”君は、なんで病院に?”
”ん?ああ、病気で。”
気付けば起き上がっていた。車椅子に身を預け、声のする方へ向かう。
ガラガラガラ。扉はうがいをするかのように声を上げ、隠れた。扉は身を隠す代わりに、207号室の中を露わにした。
「あの…」
僕は弱々しく声をかける。その声の主は、僕の声に気付き、顔を上げる。
「あれ…明守蒼太くん…?」
弱々しく答える彼女に僕は駆け寄る。手や口には血のようなものがついていた。
「大…丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫」
クスッと笑う彼女を見て、少し安心したが、やっぱり少し信じられなかった。こんなことを聞いてもいいのだろうか。これを聞いたら彼女はどんな思いをするだろうか。
「あの…さ」
これが、僕たちの運命を変える一瞬の出来事だった。