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2話 「王都からの使者」
村に魔物の群れが現れてから三日。
俺は相変わらず、畑仕事と昼寝を繰り返していた。
戦ったのはほんの一瞬だし、もう忘れてくれただろう……そう思っていた。
「悠真さん、王都から人が来ましたよ!」
昼寝の最中に飛び込んできたのは、村長の孫娘・リナだ。
「なんで王都から?」
「詳しくは分かりませんが、すごく偉そうな人たちで……」
面倒な予感しかしない。
村の中央広場へ向かうと、豪奢な馬車と鎧姿の騎士たちが待っていた。
一際派手な服の男が一歩前に出て、声を張り上げる。
「辺境の村に、魔物百体を一撃で討ち払った者がいると聞いた! その者はどこだ!」
視線が一斉に俺へ向く。逃げ場はない。
「……あー、俺です」
「おお! やはり! 私は王国騎士団副団長、ガレス・フォン・リューネ! 王都の陛下がお会いになりたいと仰せだ!」
「いや、遠慮しときます」
「なにっ!?」
俺は真顔で首を横に振る。
「俺、昼寝と畑仕事で忙しいんで」
「昼寝……? 貴様、これは陛下からの直々の――」
「昼寝の時間は譲れません」
ガレスとやらは信じられないものを見る顔をした。
だが、周囲の村人たちが口々に「本当に強いんです」「助けてくれたんです」と騒ぐので、事態は収束しない。
「……せめて、王都のギルドに登録だけでも」
「ギルド?」
「冒険者登録だ。王国の緊急時、力を貸してもらえるようにする制度だ」
面倒だが、登録だけなら被害は少ないだろう。
「……わかった、一日だけな」
「よし! では明日、王都へ発つ!」
こうして俺は、望まぬまま王都へ行くことになった。
昼寝生活は、少なくとも数日はお預けらしい。
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