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あんよを焼かれた加工用そんしはベルトコンベアで解体室に運ばれます。ここでそんしは意識を保ったまま解体されるのです。多少暴れますが、熟練の職人ががっちりほーるどしながら解体するので、問題ありません。かえって甘くなるのですよ。
まずは下腹部切除。あにゃるとぺにぺにの周りにナイフでぐるりと切れ込みを入れ、そんしのからだの中で最も汚い部分を廃棄します。この部分は一部の好事家によって食べられることもあるようですが、うちでは取り扱っていません。
私は食べたことが有りますが、エグみと塩味のある妙な味でしたねえ……。
次は口腔部摘出。そんしのおくちの周りにナイフでぐるりと切れ込みを入れ、おくちからのどにかけての部分を取り外します。
そんしはなんでもおくちにいれてしまう習性を持っているので、この部分は特に不潔なのです。そのため、ここを最初に取り外します。
ふっくらぷるぷるのくちびるさんはまんじゅう類に、きらきらひかるまっしろなはさんは飴に加工されます。
次は眼球摘出。そんしのおめめを掴んで引っ張って、周りをナイフでくるりと切ります。よく洗って湯通しをすると、おいしい水まんじゅうになりますよ。
次は毛焼き。専用の固定台とバーナーの炎で、そんしの体表を殺菌します。刈り残しの毛も焼けるので「毛焼き」と呼んでいます。ほら、とてもいい匂いがしてきましたね。
次は剥皮。顔面の真ん中に縦に切れ込みを入れて、少しずつ皮を剥いていきます。もうこの頃にはそんしも暴れなくなっていますね。そんしの皮はぶよぶよで剥きにくいため、繊細な作業が必要になります。
剥いた皮は、外側がカリカリ、内側はふんわりとした生地になっています。饅頭の皮やおせんべいになることが多いですね。
次はまーがりん摘出。皮を剥いたそんしは白いぷるぷるしたものに覆われていますね。これがまーがりんです。そんしのからだを保護する働きがあると言われています。これは精製し、油脂として幅広く使われます。
次は餡子摘出。ここまでの工程で極限まで甘くなった餡子を収穫するときです。ただし、中心にある中枢餡だけは別の容器に入れます。中枢餡を抜いたときに餡子の塊が少し震えましたね。おそらくあれが、そんしの絶命です。
あとに残ったのは焼け焦げたあんよだけです。商品価値はないので廃棄されます。
こうして解体されたそんしは、隣の菓子製造工場でさまざまなお菓子に生まれ変わるのです。