※創作、オリキャラ、在り来り、長い 注意※
※朗読にどうぞ※
突然だった。気がついたら君は僕の傍を離れていた
高校入学から三回目の夏休みに入った もちろん課題なんて忘れて楽しんだ
夏祭りに彼女と、親友の空人、その彼女である爽乃香ちゃんで花火を見ることになった
昨年よりは小規模ではあるけど 綺麗なのには変わりない
凛とであったのは 二年の時
いつもと変わらない日から、突然だった
もうすっかり慣れた朝の下駄箱の匂い、教室の眩しさ
うるさかった
先生が教室に来た時、扉の奥に人影を感じた
まさにその予想は的中、
呼ばれて入ってきたのは、頬が桃色に火照って小さな顔に浮かぶ笑顔が特徴の人だった。
固く緩んだ頬で 次は口を開けて 宮本 凛 と名乗った。
好きな食べ物はリンゴだとか、好きな動物は兎だとか どうでもいい自己紹介を続けて言っていた、
彼女の席は教室の一番端、
僕の席とは可もなく不可もなくって感じだった
一限が過ぎた頃、瞬きの間に彼女の周りはいっぱいになった
その後直ぐに予鈴はなったけど、
やっと正午を過ぎた頃。宮本さんの周りは静かになりつつあった
とはいえ流石宮本さん、可愛いだの美女だの学年中で噂されてその話を聞いた他クラスの男子がうじゃうじゃ教室前にいた
勿論女子も
懐かしいねぇ、そう僕に言った凛はそっと立ち上がって
河川を見つめる僕を呼んだ
無声音の返事を入れて 凛をみた
出会った時より伸びた髪が顔を隠していた
でも言われなくたって分かる、きっと彼女は泣いている
ねぇ。凪音くん、私ね凪音くんと……
湿った声で言いかけた凛は話を停めた
やっぱり、なんでもない、そう言って彼女は僕の隣に腰かけた
夕方の空はどこか儚くて尊いものだった
空人達が花火の場所取りをしている間僕たちは屋台で何か買ってくる
という話になって
凛と僕で人が多い屋台へ行った
はぐれないように彼女の手をギュッと握りしめて 歩いた
手が小さくて白くて赤ちゃんみたいだった
こんなこと言ったら凛は怒るけど。
彼女の為にりんご飴を買って彼女に渡した
しばらく人混みを歩いていた時、手に握っていた感覚が突然消えた
凛?凛……?
何度も何度も探したけど彼女はいなかった
空人に連絡しても 凛の事は見ていないと、
結局、彼女は祭りが終わっても見つかることはなかった
空人と爽乃香ちゃんとは現地解散、
僕は花火の余韻に浸っている人混みをかいくぐって凛を探した
もう帰ったのだろうか、
22時を時計の針が示した。
凛の家族にも連絡をした、けど凛はいないらしい
いったい何処へ行ったのか、
警察沙汰にはしたくなかったけど、連絡した
けど、警察はどうしても動けなかった。
凛がそれを止めたから、
花火大会から二日たった時、見覚えのある番号から着信があった
スマホを耳に近づけた
優しくて 柔らかい声が耳に入ってきて 凛だと気づいた
もしもし、から続いて
警察を止めて、私を探さないで、と泣き虫な君が言った。
言われた通り警察に連絡をした。
凛は何も話してくれなかった。ただただ、彼女の声が聞けて嬉しかった。心の底からの嬉しさと寂しさが同時に僕を蝕んだ、
あの事があってから、卒業の時
それまで凛は学校には来なかった。
卒業式が終わって、桃色に輝く桜の木の下で 君を見た
風がなびいて綺麗に切った髪が小さな顔を見せた。
久しぶりの制服姿。そして久しぶりの 僕が愛してる人
僕の声で彼女の名前を叫んで 君は僕を見つけた
僕の胸に飛び込んで来たのは あの時以来の凛だった。
高校を卒業、僕の家で りんご飴を作った。
と言うより、凛が作ってくれた。
りんご飴なんて作ったことないから、凛がほとんどしてくれた
しばらく飴を固めて、
冷たくなった飴を凛が思いっきり噛んだ
懐かしくて、自然と頬が緩んだ
久しぶりだね、こうやって遊ぶの、
凛がそう言った。
遊ぶというか、会うのもね。って言ったら泣き虫な君は笑った。
一生懸命 頬張る凛を見つめてたら、目が合って少し気まずかった
そしたら、凛は手に持ってる手作りのりんご飴を一度置いて
僕を見た、
ねぇ、あの。ごめんなさい、 そう深々と頭を下げる彼女を見てるとなんにも言い出せなかった。
あの時、あの場所で最後にしたかった、 そう泣きながら話す凛に僕は相槌を打ち続けた
話の最後、
ごめんなさい、嘘ついてごめんなさい、
そう君が言って、目の前が真っ暗になった
君はまた居なくなったんだ、
いや。元からいなかったんだ。
コメント
7件
最後にそういうこと!? ってなった!! 感動だよ〜(T^T) みこのお話って「そういう展開!?」ってことが多いから 見てるこっち側からすると 読んでて楽しいんだよね!! こういう感動系はみこにしか書けないよ!!