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鈴鳴、私の友達。とってもいい子なんだよ?鈴鳴が、泣いていたらそばに居てあげたいし。
なんなら、鈴鳴が笑っていたら私も一緒に笑い合いたい。
鈴鳴のことが好きだということも分かっているし、鈴鳴には他の友達がいることを知っている。私だけの友達じゃないことくらい分かってる。
「あ、あんな所に鈴鳴がいるぅ♪」
私の周りには鈴鳴を利用しようと話しかけているやつが必ず一人か二人はいる。その一人が明香里だ。そして、そいつに引っ付いて離れない美佳。
その他のヤバい奴らが鈴鳴を利用している。鈴鳴は確かに賢いし運動もできて、生徒会長になれるほど優秀だ。だが、優秀なだけで中身はまるでない人とは違って、彼女は人間らしい一面も持ち合わせている。
「ん、何か用ですか?」
「んーん、大丈夫!話しかけたかっただけ!」
彼女は隣の美代とたまに会話している。美代は丸メガネをしたいかにも陰キャに見えて、実は真面目なだけであったりする。
美代と鈴鳴という謎の組み合わせは私にとって癒しそのものだった。鈴鳴も悪い気はしていない。美代とは一生関われないだろう。
─────なぜなら、私が二軍女子に『自分自身』を売ってしまったから。
正確には、二軍女子に時間を割いてしまったことを差している。二人を守るためにはそうするしかない。
そんなこと、イジメをするときに何度も何度も考えていた。鈴鳴の裏の顔は二軍女子を躾ける女王様だった。私はその右腕で、二軍女子の動向についてメモを取り、仕返しを企てている。二軍女子に嫌われれば最後、私たちの関係は終わる。
こんな切ない関係、他にある?イジメをすることは良くないけれど、それよりもいつバレるのかというドキドキ感が最高に気持ちいい。
美代に鈴鳴の裏の顔がバレないように上手く立ち回ることが最も重要だ。こんなの片想いみたいでバカみたい。だけど、関われない世界線よりこういう汚い関係があった世界線の方が今の私にはあっている。
「よし、今日はあの子たちの通知音を録音した小さなスピーカーを配置したの。咲月、頼んだわよ?誘導⋯⋯私が鳴らすから他の子達にも伝えといて」
「うん⋯⋯加奈たちはそのこと知ってるの?」
「もちろんよ、最近アイツら調子乗ってるし⋯何より美代のことバカにしたことがどうしても許せない。どうせならテストで100点とってから言えやってなるわ。」
「うん。そうだよね、加奈たちにも一応伝えとくね、あの子忘れっぽいし。」
「えぇ、それもお願いしたいわ。ありがとう咲月!今日こそ、陥れられるかもしれないからね!」
「スマホの電源が点いていればいいんですけどねぇ⋯⋯」
こうしてまた、アイツらに自分自身の魂、時間、価値を売ってしまった。こんなことまでして鈴鳴のそばに居たいと思ってしまう私をどうか、どうか許してください。私は天にそう願った。そして、しばらくしてから学校のチャイムが鳴った。
─────午前9:00、教室中にスマホの通知音が鳴り響くのと同時に、金属音のカキンカキンという音も響き渡った。それに気づいているのは鈴鳴の仲間だけだった。