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#一次創作
ruruha
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ruruha
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短い階段を転げ落ちて、肩を強く打ち付ける。
その痛みに追い打ちをかけるが如く、扉の閉じる音が響いた。
「!!」
駆け上がって、閉じた扉に縋り付く。
「アーウィン、開けて!お願い、開けて!!」
拳を打ちつけて叫んだ。
「お願い、開けて!!」
アーウィンが応えてくれることは無かった。
扉は固く閉ざされたまま。
「どうして……?」
ドアにしがみついたまま、しゃっくりをあげる。
「どうしてアーウィンがこんなことするの?」
答える声はない。
代わりにあの声が蘇った。
『リズは一人でさぞかし心細いでしょうね?』
「そうだ……リズ……」
ぐすっと鼻を啜り上げる。
「リズ……捜しに……行かなきゃ……」
リズは、私よりずっと怖い思いをしているはず。
足だって怪我してる……。
ようやくドアから離れ、立ち上がった。
固く閉ざされたドアを見上げた。
どうしてアーウィンがこんなことを?
一体どうしちゃったの?
何が起こっているの……。
「…………」
ううん。
今はそれより、リズのことを考えなくちゃ。
きっと寂しい思いをしている。
急いで捜さなきゃ……。
地下道が続いている。
緩く下る坂道は、闇へ闇へと手招いているようだ……。
そんな必要はないのに、なぜか息を潜めてしまう。
奥に進むと、死人門がある。
どうしてだろう。
恐ろしいのに、時折神々しいものにも見える。
跨ぐと、この辺りは急に腐臭が濃くなった。
だいぶ慣れたが、それでもやっぱり少し吐き気がする。
地下道は緩やかに登り、井戸へ続いている。
井戸の底まできた。
地上へのハシゴがあるので、上っていく。
近くには開かずの扉がある。
ノブのない両開きの扉。
扉には、ノブがあった形跡すら見当たらない。
最初からノブがなかったのかしら?
それじゃ、ドアの意味がないと思うんだよね。
ここは噴水のある庭だ。
見上げた空は、うっすら雲がかかっているせいか星は見えない。
雲間からは時折、金色の月が顔を覗かせている。
南の扉をくぐると、回廊の入り口だ。
西の扉に行って、牢獄道へ向かう。
並ぶ牢獄を一つ一つ確かめても、リズの姿はない。
どこにいるの?
奥の扉へ行って通路を抜け、北の扉に入る。
ここは人柱の間。
死体の柱が並んでいる。
ベールを被った彼女たちは、まるで祈りを捧げているかのようだ。
整然と同じポーズでくくりつけられたそれは、まさに彫刻だ。
「…………」
昨夜、リズはここにいた。
気持ち悪さを押し殺して、人柱一本ずつ調べて回る。
今夜は彼女の姿がない。
詰めていた息を、大きく吐き出した。
リズがいないことには、がっかり。
一方で死体も見当たらないことに、ホッとしていた。
昨日私が杖を持ってきた時には、もうここにいなかった。
きっとお化けが来て、何とかして逃げ出したんだ。
ここに来るまでだって……彼女の「体」は見なかった。
だからきっと、どこか他の場所に無事でいるわ……。
きゅっと口を結ぶ。
捜しに行こう!
扉から出ると、二つの階段がある。
地下へ下り、酒樽の間に入った。
腐った"何か"の臭いが充満している。
樽の中が血だとして……一体何のために血なんて溜めておくんだろう?
その血がどうやって調達されたのか考えそうになって、急いで頭を振った。
ここにもリズはいない。
今は、彼女のことだけを考えよう。
奥の通路を進む。
「!」
透かしの壁の向こう。
池の対岸に、捜していた姿を見た。
「リズ!」
疲れた足取りで、ふらふらと通路に向かっている。
水音に混じって、微かな呟きが聞こえる。
「レナ……どこへ行ったの……どこにいるの……置いていかないで……」
「リズ!私はここよ!リズ!!」
思わず池に飛び込んだ。
水深は腰の辺りまでしかないので、溺れる心配はない。
が、水は身を切るほど冷たかった。
「リズ、待って!!」
水をかき分けて進み、透かしの壁にしがみつく。
「リズってば!」
必死に隙間を探したのに、透かしの壁に切れ目はない。
ここからは、向こう岸へ渡れないんだわ。
「リズ!!」
壁にしがみついたまま、もう一度叫んだ。
彼女は通路の闇に、吸い込まれて消えてしまった。
「…………」
この池からは、壁があって向こう岸に渡れない。
リズは向こうにいるんだもの。
必ずどこからか回っていけるはずよ。
その道を探さなきゃ!
もう一度他の場所を調べてみよう!!
戻って酒樽の間だ。
汚れた樽がぎっちりと並んでいる。
悍ましい部屋だ。
特に気になるところはない。
階段を二つ上って、雛鳥の間にやってきた。
部屋の中央には円筒状の檻があって、隅に置かれた香炉から甘ったるい煙が立ち上がっている。
頭がクラクラする。
ここに用はないし、さっさと通り抜けてしまおう。
奥の扉を開けて、三階の扉をくぐる。
その部屋は、がらんとしていた。
舞い上がった土埃に顔を顰める。
埃っぽい……。
部屋の隅には崩れかけの木箱が置かれ、何かの道具が無造作に突っ込まれていた。
物置かな……。
使われている部屋ではないみたい。
壁の一部には板切れが何枚も打ち付けられていて、そこから仄かな月の光が漏れている。
どうやら窓を塞いでいるようだ。
この忘却の間には、取り立てて何もない。
がらんとした部屋だ。
入ってきた扉の右側ーー東の壁には、もう一つ扉が見える。
その扉に近づいた。
ノブを引っ張ってみる。
……ダメだ、鍵がかかっている。
ここが開いたら、東塔へ行けそうなんだけど……。
でも開かないんじゃ仕方ない。
こんな頑丈そうな扉、手荒な方法でも開けられそうにない。
他の道を探そう。
二階に下りると、雛鳥の間だ。
檻の中にも外にも、誰もいない。
四方に置かれた香炉が音もなく煙をくゆらせている。
一階の人柱の間に入る。
人柱たちはただ静かに佇んでいて、部屋は暗い平穏で満たされていた。
さらに進んで、牢獄道に行く。
この檻にいた罪人たちは許されたのだろうか?
それとも許されることなく、この世を去ったのだろうか?
いたはずのひとが今はいないって、何だか不思議……。
回廊から中庭に出て、建物を眺めた。
中庭はぐるりと囲まれていて、東と西に塔が一つずつ建っている。
そして、東西の塔の中間地点から少し奥に、もう一つ細くて高い塔が聳えていた。
こう見る限り、だいたい左右対称の造りをしているみたい。
さっきリズを見かけた地下の池は……あの開かずの扉の下あたりにあるのかしら。
それならあの扉が開けば、東棟に近づけそうな気がする。
でもあの扉、開かないのよね……。
ここには、他に道がないようだ。
回廊を通って東の扉に行くと、相変わらず狭い。
昔、ここはどんな場所だったんだろう。
狭い通路、黒いベールを被って無言で歩く女たち。
ただの想像でしかないのに、なぜかそんな光景が見えた。
廊下を進んで、奥の扉の部屋に行く。
断罪の間の部屋の一角を仕切る柵の向こうには、ランプで照らされた木のドアが見えている。
柵に設けられた内扉に近づいた。
ここが開くといいんだけど!
内扉を力任せに揺すってみる。
けれど、扉は開かない。
ダメね、やっぱり鍵がかかっている。
ここで行き止まりだわ……。
コメント
1件
うわ、リズを見つけたのに透かし壁で阻まれてまた見失うの、めっちゃもどかしい……! しかもアーウィンに閉じ込められて、わけわかんないまま一人で探索続けるの、胸が苦しくなったよ。冷たい池に飛び込んだシーン、映像が浮かぶようだった。リズも必死でレナ呼んでるし、早く二人が合流できますように!