この作品はいかがでしたか?
215
この作品はいかがでしたか?
215
「今日もありがとう!」
「んーん!こちらこそだよ〜」
「じゃ、またね〜」
「はーい」
お別れをしてからわずか5分。
もう寂しくなっている自分がいる。
日課のランニングはいつも君と2人きり。
初めは「疲れるなぁ」とか「続かなそうだな」とかばかり考えていた。
それが君と出会ってから「楽しくて」「待ち遠しくて」気付けばランニングの日課は2ヶ月を終えている。
「…はぁ」
ここ数日で何度目か数えるのを止めてしまった溜め息を吐き、びっしょりとランニングウェアを濡らしている汗をシャワーで流した。
シャワーを浴びながらも考えるのは君の事ばかりで、いい加減自分に飽き飽きする。
次はいつ会えるだろうか。
自分の事をもっと知ってほしいし、君の事をもっと知りたい。
「…君の1番になるには、どうしたら良い?」
頭の中にずっとこびり付いて離れない想い。
もうこの気持ちが普通ではない事は、紛れもない事実となっている。
出会ってからまだ2ヶ月しか経っていないとか、相手が同性であるとか。
自分にしてみれば何もおかしくない、普通の恋愛に分類される。
けれど世間からは…一般の見方からすれば…自分のこの気持ちは普通ではない、異常なモノと分類されるだろう。
まぁ、今はそんな事どうでもいい。
「会いたい」
呟いた言葉はシャワーの音に掻き消され、そして排水溝に流れていった。
そのまま流れて、どこまでも流れて、君に届くか或いは自分から消えてしまえば楽なのに。
実際は呟いた瞬間に自分の中へと戻っている。
本当に厄介で、救いが無い。
「…好きになったら辛いだけって、分かってたじゃないか」
ぐっと奥歯を噛み締め、固くシャワーを閉じるのだった。
___END___
コメント
8件