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「テ、テ、テストがぁ〜…」
頭を抱える子那恋(しなこ)。
「近づいてきやがった…」
と呟く子那恋。
「終わる…赤点取ったら試合出れん…」
頭を抱えるものがもう1人。赤い髪の頭を抱える優佳絵(ゆかえ)。
「あ、赤点取ったら試合出れないんだ?」
真風菜が聞く。
「そう言われた…。しかもなぜか私だけに言ってきた…」
と頭を抱えながら言う優佳絵。
「そうなんだ…。勉強会、早めから始める?」
「…嫌だけど…するしかない…よね…」
苦虫を噛み潰したような顔をしながら言う優佳絵。
「そっ、そうだね?」
「…勉強…したくねぇ…」
と言う優佳絵に
「あ、ゆっこ」
と呟く華音。
「子那恋も、早めにしてもいい?勉強会」
「…」
魂の抜けた顔で真風菜を見る子那恋。
「ベン キョウ カイ?」
「う、うん」
「…」
なにかを閃いたようにパッっと顔に生気が戻る。
「あ!そっか!別に勉強会だからって勉強する必要ないしね!」
と言い放つ子那恋。
「ま、まあ、たしかに?」
「じゃあ早めにやりますか!」
打って変わってやる気満々になった子那恋。朝のホームルームが終わった後にそんな話をした日のお昼。
いつも通り購買組の子那恋、華音、時守、礼王が購買へお昼ご飯を買いに行き
帰ってきて、男子陣、女子陣に分かれてお昼ご飯を食べる。
「ねえねえ。どこで勉強会する?」
「どこで?」
「ふつーにファミレスとかワックとかでよくない?」
と言う優佳絵。
「そうする?誰かん家(ち)とかでなく?」
と言う子那恋に対して
「誰かん家って」
もぐもぐしてゴクンと飲んだ後
「誰ん家?」
と言う優佳絵。
「誰って、そりゃー…。優佳絵とか?」
「うちは無理」
「早っ!優佳絵って兄弟いる?」
「いや?一人っ子」
「じゃーいけんじゃん」
「無理無理。一人っ子の人」
と優佳絵に言われて真風菜が
「私一人っ子」
と言う。
「華音と子那恋は?」
「私は姉ーちゃんがいるから」
と子那恋が答える。
「私はお兄ちゃんがいるから」
と華音が答える。
「だから優佳絵か真風菜のどっちかなのよ」
とニマニマしながら言う子那恋。
「ワックでいいじゃん」
「いやぁ〜、どうせなら誰かん家(ち)で寛ぎながら勉強したいじゃん?」
「別にファミレスでもワックでも寛げるっしょ」
「いやぁ〜さすがに寝っ転がったりはできんじゃん?」
「まあ…」
「だから誰かん家(ち)で勉強して疲れたら「あぁ〜疲れたぁ〜」って言いながら後ろに倒れたいのよ」
「勉強しないって言ってたくせに」
「たしかに」
と言いながら頷く真風菜と静かに頷く華音。
「いいじゃないのぉ〜」
「うちは無理。狭いし汚いし」
「うちだってそうだよ」
「じゃあじゃんけんだぁ〜」
と言う子那恋。
「…仕方ない」
勝負事にはなぜか前向きな優佳絵。
「うぅ〜ん…」
唸りつつも箸を置いて観念する真風菜。優佳絵は箸を咥える。
「んふん?(いくよ?)」
頷く真風菜。
「んーふふふーんーんー(さーいしょーはぐー)」
「んーんんーん(じゃーんけーん)」
「じゃーんけーん」
「ふん(ぽん)」
「ぽん」
優佳絵はパー、真風菜はグー。
「んっふ(よっし)」
箸を咥えたまま小さくガッツポーズをする優佳絵。
「ということで勉強会は真風菜ん家(ち)ぃ〜!」
拍手をする子那恋。華音も小さく拍手をする。
「片付けなきゃ…」
「大丈夫大丈夫!多少散らかってても愛嬌よ!」
「いや、片付けます」
ということで勉強会の会場は真風菜の家に決定した。
「なる早でやるってなると?」
「今度の土曜とか?」
華音が言う。
「今度の土曜…」
「大丈夫?」
「うん…。今日明日で片付ける」
「じゃあ決定ー!今週の土曜から真風菜ん家(ち)で勉強会ねー!」
と土曜日、真風菜の家で勉強会が決定した。
〜
そして時は流れ、来たる土曜日。
「お邪魔しまぁ〜す!」
「お邪魔します」
「お邪魔します」
真風菜の家に子那恋、華音、そして優佳絵がやってきた。
「どうぞ」
真風菜の案内で真風菜の部屋へ行く。
「おぉ〜。ここが真風菜の部屋かぁ〜」
と見渡す子那恋。
「綺麗だ」
「あ、テキトーに座って」
「ほーい」
言われた通り、ローテーブルの周囲にテキトーに座る3人。
「あ、飲み物紅茶でいい?」
「ありがとうございます!」
「大丈夫。ありがとう」
「ありがとう」
と3人に確認を取って部屋を出てキッチンへ行く真風菜。
「紅茶淹れといたわよ」
「あ、ありがとう」
「テーブルにあるクッキー持ってきなさい」
「あ、うん」
真風菜の母がちょうど淹れ終えた紅茶が注がれたティーカップ4つが乗ったおぼんに
スティックシュガーをテキトーに数本乗せて部屋まで運ぶ。
片足立ちになり、太ももにおぼんを乗せ、左手だけで支え、右手で部屋のドアを開ける。
「おぉ」
その様子を見た子那恋が声をあげる。
「あ、手伝うよ」
華音が立ち上がり、真風菜からおぼんを受け取る。
「あ、ありがとう」
クッキーを取りに戻ろうと振り返ったら、母がクッキーの缶を持って立っていた。
「あ、ありがとうお母さん」
と母から缶を受け取る真風菜。
「お母さん?」
という真風菜の言葉に反応した子那恋がドアのほうにスタスタ歩いていく。
「おぉ、真風菜のお母さん」
「あらどうも、いらっしゃい。この子の母ですー」
「お母様、お邪魔してます!」
と言う子那恋の言葉に反応して立ち上がる優佳絵。
「お邪魔してます」
とザッっと頭を下げる優佳絵。
「あら、綺麗な髪」
「ありがとうございます」
「さすが体育会系」
と感心する子那恋。
「あ、お邪魔してます」
ちょこんと静かに頭を下げる華音。
「みんなゆっくりしていってね」
「はい!」
「はい」
「はい」
母がリビングへと帰っていった。
「はいクッキー」
ローテーブルの真ん中に缶を置く。
「ありがとうございます!」
謎に敬礼する子那恋。みんなで紅茶を飲みクッキーを食べた。
「んん〜」
とクッキーを咥えたまま部屋を見回す子那恋。
「あんま人の部屋見回すなよ」
優佳絵が言う。するとパクパクッっとクッキーを口に運んで食べた後
「いやぁ〜片付いてるなぁ〜と思って」
と言う子那恋。
「片付けたからね」
と言う真風菜。なにかを探すように部屋を見回す子那恋。
「どうかした?」
「いやぁ〜…ゲームないなぁ〜って」
「あぁ〜…」
優佳絵も釣られて見回す。
「ゲームはね」
真風菜が立ち上がり、テレビ台の黒いガラスの部分を押す。
するとカチンと音がして、跳ね返るように手前に開く。するとそこに数本のカセットのケースがあった。
「少なっ」
思わず呟く優佳絵。
「うん。あんまゲームしなくて」
「ま、私もあんまゲームしないからわかるけど」
と子那恋が同意する。
「私は…あ、私も少ないわ」
「少ないんかい」
優佳絵の言葉に思わずコケる子那恋。
「いや、FPSとバスケのゲームはするけど、ほんとそのくらいだからさ。
ゲームする時間は多いけど、本数は少ないなって」
「あぁ〜ね?華音は?」
「私は…割と多いかな」
「へぇ〜。どーゆー系のゲームするの?」
「どーゆー系…乙女ゲームって、わかる?」
「乙女ゲーム。聞いたことはある」
「イケメンを落とす、恋愛ゲーム」
優佳絵が説明する。
「おぉ〜恋愛ゲーム」
「そう。あとはノベルゲームとかスマホゲームとか」
「へぇ〜。華音意外とゲーマーなのね」
「あ、いや、ゲーマーではなくて…声優さん目当てで…」
「なるほどね?推しだ?」
「んん〜…推しというか、基本的に声のお仕事をされている方、男女年齢問わず皆様リスペクトしてて。
でもそのキッカケとなったのが原作。いや、キッカケっていうか、今も声優さんよりも
いや、よりもとか言ったら失礼になるけど、そうじゃなくて、声優さんよりもマンガ、アニメのほうが好きで。
ま、いわゆるヲタってやつ。ま、私ごときがヲタクを名乗ったら先人の方々に失礼になるけど。
でも、マンガ、アニメ、2次元の世界が大好きで
ま、たまにアニメが失敗ってこともあるけど、それは珍しいことで
新人声優さんをメインどころに据えて、感情が声に込もってなくて
せっかく原作も素晴らしいし、ストーリーも素晴らしい、アニメの作画も素晴らしいのに
声優さんのせいで1作品12、もしくは13話が微妙な評価で終わっちゃったりするけど
でもそれでもアニメで欠かせないのが声優さん。ベテランの声優さんはもはやレジェンド。
1シーズンで数作品に出演してて、その声を聞くと、過去の作品のキャラとか場面が頭に浮かんできて
あの作品また見たいなってなって見て、その作品の中でまた声優さんの声
もしくは印象的な場面で別の作品が頭に浮かんできて
その作品を見にいってっていう、マンガ、アニメ連想ゲームを勝手にスタートさせて
買ったはいいけど乙女ゲームする時間なくなっちゃって全然できてないんだけどね」
と言う華音に、子那恋、真風菜、優佳絵が目をパチクリさせる。
「こんな喋る華音初めてだわ」
と言う子那恋。
「たしかに」
「うん」
はっっと我に返り、恥ずかしそうに肩を窄める華音。
「好きなものについては熱く語れると」
うんうん頷く子那恋。
「尊敬するわ」
と呟く優佳絵。
「私もそんな好きなものないし」
「私はあるけどねぇ〜」
「あぁ、あの変なグループね」
と優佳絵が言うと
「ん?」
と笑顔で優佳絵のほうを向く子那恋。
「あの売れてないアイドル崩れの」
とその先を言おうとすると優佳絵の顔の前に子那恋が顔を寄せる。
「ん?ん?ん?」
「売れてないアイd」
「売れてますー!」
「いや売れてないでしょ」
「ライブディスクとかも出してますー」
「出してるだけでしょ?「JEWELRY BOYS」って検索しようと入れたら
関連ワードに「JEWELRY BOYS Cassos take ALL パクリ」とか出てきたし」
「ぐっ…」
ダメージを喰らう子那恋。
「で、気になってそのCassos take ALLを調べてみたら
同じ王冠をグループロゴにしてるけど、知名度は天と地だったわ」
「ぐっ…」
またダメージを喰らう子那恋。
「なんならJEWELRY BOYSのグループのロゴは宝石散りばめられてて豪華で
Cassos take ALLの王冠は錆びてて、傷ついてるのに
Cassos take ALLは日本が生んだ世界的グループと言われるほど世界でも大人気のグループ。
もう比較することが失礼なくらい」
「ぐっ…」
またダメージを喰らった子那恋だったが
「このやろぉ〜!」
優佳絵に物理的に襲いかかった子那恋。優佳絵に物理的に攻撃をする。そう。くすぐりで。
「くっ…ふ…ははははっ、やめっ」
笑う優佳絵。
「優佳絵が笑ってる」
「ほんとだ」
笑う優佳絵を物珍しそうに見ながら紅茶を飲む華音と真風菜。
「ギブギブ…」
「あ、うぇぼしー」
呟く華音。
「うぇぼ?」
疑問に思う真風菜。
「マジ次バカにしたらまたやるからね」
右手で表情筋を揉みながら
「わかったわかったって」
と言う優佳絵。
「そろそろ勉強する?」
と真風菜が提案する。
「えぇ〜。もうですかぁ〜」
と子那恋が嫌がる。
「もうって言っても、どうせ子那恋すぐ休憩するでしょ?」
と真風菜が言うと、と子那恋は人差し指と親指を立てた両手を真風菜に向けて
「That’s right〜」
と言う。
「今から少しずつやっといたほうが、範囲が広がってからだとさすがに私もやる気無くすし」
「…。ん?」
子那恋と優佳絵の頭の上に「?」が浮き出る。
「華音もそうじゃない?」
真風菜が華音に聞く。
「うん。いつも帰って予習復習してるわけじゃなくて
テストに出るって言われたとこはその日に一応確認してある程度覚えとけば
テスト前には確認すればいいだけになるから1回で覚える範囲少なくて済むし」
「そうそう」
「…」
「…」
「なるほど!」
「なるほど」
テンションが違う子那恋と優佳絵が同じ言葉でハモった。
「じゃやろっか」
と勉強を始めた4人。一方男子4人は
「暇だなぁ〜…」
とスマホをいじりながらストローを咥え、飲み物を飲む空楽王。
そう、4人は世界的ファストフード店、ワク・デイジーに集まっていた。
「オレは暇じゃなかったけど」
と鏡がスマホで世界史のクイズを考えながら呟く。
「勉強するってことは暇ってことだから」
と言う空楽王(ソラオ)に
「すごい理論だ」
「お姉さんの影響かな」
と言う時守と礼王(れお)。
「…ナンパでもする?」
唐突に言う空楽王。
「空楽王がしてくるのね?どうぞどうぞ。オレたちはここで見守ってるよ」
「いや?じゃん負けでしょ」
「じゃあ嫌(や)だよ」
と言う礼王に頷く時守。鏡はバカバカしすぎて頷きもしない。
「ビックリするほど暇なんだけど」
「東京の人ってもっと、なんか、やる事抱えて生きてるって思ってた」
と時守が言う。
「それたぶん大人の人だよ。高校生は割と」
と言う礼王に続けて
「暇だよ」
と遠い目をしながら言ってストローで飲み物を吸う空楽王。
「そうなんだ?」
「金もないし」
と言う空楽王に頷く礼王。
「てかどこも高ぇし」
頷く礼王。
「お前ら可哀想だな。って姉ちゃんに言われたわ」
「たっ…たしかに…」
と攻撃を喰らう礼王。
「お姉さんいくつだっけ?」
と聞く時守。
「んー?上が26、下が23」
「あぁ…。あのアイドルのビストロもあのアイドルのVSもひみつも見てた世代か」
「ま、姉ちゃん女だからあれだけど、48のグループも全盛期。
笑ったらケツ叩かれる年末恒例の番組も、酒のアテになる話も
ま、これは姉ちゃんより少し上の世代だけど、めっちゃね?イケてる番組もあって
まっちゃんいたし、今は百舌鳥さんいるけど、酒のアテもまっちゃんプラス百舌鳥さんだったから最強だったし
コンプラコンプラ言われてない時期だったから、テレビがおもしろかった世代だったんだってさ。
今みたいにSNSとかが蔓延る世界じゃなくて、SNSはネット民の世界で
陽キャたちはネットに入ってくることなく現実世界に生きてて、棲み分け?ってのがちゃんとされてて
現実世界が割と楽しかったから誰かを叩くとかいうことクソみたいな文化もなかったし
今みたいなクソショート動画とかで無駄で無意味な時間を潰すこともなかったし
V Piperとかいうものも…ま、ミクちゃんとかはいたけど
誰でもなれるっていう今のクソみたいな環境じゃなかったから
テレビスターはスター、一般人は一般人で芸能人に憧れ、テレビに憧れって感じだったんだって。
姉ちゃん言ってたわ「私らの世代が世界がおもしろかったピークだった」って」
「あぁ…」
「あぁ…」
礼王も時守も否定したい気持ちはあるが
あまりにも具体例が出てしまったせいで斜め上を見ながら言葉を漏らすくらいしかできず
今まで関心のなかった鏡もスマホから目を外し、斜め上を見ながらいろいろ考えて
あぁ…。キッツ
と思った。
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