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倉庫の闇の片隅で、美月は震える手で拳銃を握りしめていた。
その瞳は、かつての自分と今の自分の間で揺れていた。
「私は……警察官、美月真奈。
でも、それだけじゃない。
影の秘密を追い求める者として、私はずっと孤独だった。」
彼女の胸に焼きついた過去の傷。
幼い頃、影により家族を失い、その痛みが彼女を冷酷に変えた。
「影を狩るためなら、何だってする。
でも、圭吾さんに出会ってから……
あの優しい笑顔に触れてから、私の心は揺らいだ。」
美月は涙をこらえ、銃をゆっくりと下ろす。
「裏切りたいわけじゃなかった。
でも、カイト様の言葉が重くて……。
“影の力は世界を変える鍵だ。
君の心を捧げよ”――そう言われたら、私は……。」
背後で、圭吾の声が響く。
「美月……俺は君を信じたい。
君の本当の気持ちを聞かせてくれ。」
その声に、美月は震えながら振り返った。
「私は、あなたを守りたい。
でも、そのために何を犠牲にすればいいのか、わからない。
愛と使命、どちらを取るべきか、私の心は炎の中で焼かれている。」
志乃と颯太も近づき、それぞれの表情に複雑な感情が浮かぶ。
「みんな、誰も傷つけたくない。
でも、この影の秘密は、私たちを引き裂こうとしている。」
美月の言葉が闇に溶けていく。
燃え盛る心の焔は、今まさに、三人の運命を大きく変えようとしていた――。