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#バトル
サんブんもんじゃ
44
私立 烏鷺ノ宮魔導寄宿学院の狂宴(後編)
第5話:星屑の撲殺、 Northern 裂けゆく絆
『如縣 遼太、千導 渉。貴様ら二人の頭脳は世界の理を書き換える。……我らの『九頭蛇(ハイドラ)』の味方となれ』
第13演習場に響き渡る、九頭蛇の指揮官の冷酷な勧誘。その瞬間、水色の猫耳フードを被った如縣 遼太の脳内で、すべての戦闘数式が一瞬にして臨界点を超えた。敵の狙いは、自分と、そして不本意な繋がりに一晩中抗い続けて精神を摩耗させている千導 渉の二人。
「——渉、お前は逃げろっっっっ!!」
如縣 遼太は超ロング萌え袖を激しく翻し、喉が裂けんばかりの咆哮を上げた。普段の理屈っぽい彼からは想像もつかない、仲間を護るための剥き出しの叫びだった。次の瞬間、彼の全身から絶対零度の魔力が爆発した。
「『天体直列・局所的高密度重力付加(グラビティ・コア)』……最大出力!!」
如縣 遼太が覚醒する。彼の背後に、巨大な五芒星の魔法陣が幾重にも展開された。球体よりも星型の数式ベクトルで魔力を圧縮し、空間の反発係数を最小限に抑えて威力を3.14倍にする。そのクソ真面目な理論値が、極限の怒りによってさらに跳ね上がる。
ドゴォォォォン!!!演習場の全重力が反転し、九頭蛇の精鋭部隊の頭上に、目で見えるほどの超高密度重力塊が垂直に叩きつけられた。
「ガハッ!? なんだこの重力は……ガギィッ!?」
と、容赦なく敵の顔面を叩き潰していく星屑の撲殺(スターライト・パニッシャー)。彼はたった一人で、世界の裏を支配する圧倒的な大蛇の軍勢へと立ち向かっていった。しかし、九頭蛇はあまりにも強大だった。一体を潰しても、すぐさま影から新たな精鋭が、九つの首の如く次々と湧き出してくる。
「くっ……数式が……追いつか、ない……っ」
限界はすぐに訪れた。機能性を著しく損なう水色の限定パーカーのロング袖が魔力伝導率を低下させ、彼の身体に急激な魔力枯渇の負荷がかかる。膝が激しく震え、視界が血に染まっていく。敵の容赦ない魔術光弾が、無防備になった如縣 遼太の頭上へ降り注ごうとした、その時。
「お前っっっっ!!」
涙混じりの、だけど魂を揺さぶるような絶叫が演習場に響き渡った。茶色の犬耳フードを跳ね上げ、時速マッハを超える神速で突っ込んできた黒曜寮の飛影 翅。そして、黄色の猫耳を激しく揺らし、空間をゼロベクトルで跳んだ鷹神 溯だった。二人の目からは、ボロボロと涙がこぼれ落ちていた。一晩中、裏の組織の命令に孤独に抗い続け、心が折れかけていた自分たちを、あんな可愛い猫耳パーカーを着た不器用な親友が、命懸けで護ろうとしてくれたのだ。泣かないわけがなかった。
「一人でカッコつけて死のうとしてんじゃねえよ、遼太っっ!!」
飛影 翅が宙を踏み抜く。反発面を肉球型(五点分散の衝撃吸収数式)にすることでエネルギー反発係数を最小限に抑え、威力を3.14倍にした神速の一撃。
「『神速体術・絶対領域唯我独尊(ソニック・ドライブ)』!!」
ドォォォン!!とソニックブームが巻き起こり、遼太を狙った光弾が一瞬で置き去りにされ、粉砕された。
「よくも遼太を傷つけたね……! 空間ごと、細切れになれっ!!」
鷹神 溯が右手を振り下ろす。歪みベクトルを五芒星の頂点に集中させ、復元係数を最小限に抑えて威力を3.14倍にした空間断裂。空間そのものが五芒星に切り裂かれ、迫っていた九頭蛇の第二波が塵へと還っていく。
「翅……溯……」
限界を迎えた如縣 遼太は、駆けつけてくれた親友たちの背中を見つめ、痛む胸を抑えた。だが、戦場に安息の時間は与えられない。
「あはは! 逃げろって言われたのに、そっちに行っちゃうなんて駄目じゃないか、千導 渉くん」
「っ……!?」
演習場の遥か後方、如縣 遼太の叫びに従って必死に走っていた千導 渉の前に、空間の影から別の九頭蛇の仲間たちが音もなく這い出てきた。その中には、先ほどまで彼を脅迫していた闇の魔導結社『真理の墓標』の術者の姿もあった。九頭蛇は最初から、逃げる千導 渉の退路をも完全に計算に組み込んでいたのだ。
「しまっ……因果を、書き換……っ」
一晩中の抵抗で魔力を使い果たしていた千導 渉は、ピンクのロング萌え袖を伸ばすこともできず、漆黒の魔力で編まれた大蛇の鎖に全身を縛り上げられた。
「無駄だよ。この子の知性は、僕たちが有効活用させてもらうね」
不敵な笑みを浮かべた九頭蛇の集団に囚われ、千導 渉の身体は空間の彼方——人類の足を踏み入れられぬ『地の果て』へと完全に連れ去られてしまった。眼鏡の奥の瞳が、無念に大きく見開かれたまま。
「渉ーーーーーーーーっっ!!」
遠くで、石神 秀兎と大神 蹴介が叫ぶ。最高級の正義の組織『聖天の盾』のWトップの目算をも狂わせる、九頭蛇の悪魔的な知性と圧倒的な軍勢。一人の仲間が完全に拐われ、残された1年生たちの怒りと絆が、絶望の戦場でさらに激しく燃え上がろうとしていた。
第6話:前世の鳴動、最強兄弟の覚醒
千導 渉が地の果てに連れ去られたその絶望の光景が、限界を迎えていた如縣 遼太と、涙を流しながら加勢した鷹神 溯の脳細胞を激しく狂わせた。仲間を、唯一無二の親友を、また奪われるのか。
「また」——?
その瞬間、二人の脳裏に、今世のものではない『血と星の記憶』が津波のように濁流となって流れ込んできた。それは神話の時代。世界の頂点に君臨し、たった三人で数多の神々を屠った伝説の最強三兄弟の記憶だった。今世とは違う名前。長兄は「終焉の王(ラグナロク)」、次兄は「虚空の刃(ヴォイド)」。彼らはあまりにも強すぎたがゆえに、世界中の神々から恐れられ、裏切られ、絶望的な謀略の渦に巻き込まれた。愛した者たちを人質に取られ、肉体を呪いで腐らせ、視界を血で染められながら、泥沼の戦場を引きずり回された。長兄は弟たちを護るために自らの心臓を捧げ、次兄は兄の屍を抱いて狂い、最悪の形で血の海に沈んでいった「全員共倒れ」の、あまりにも惨たらしく悲惨な最期の記憶——。
数千年の時を超え、私立 烏鷺ノ宮魔導寄宿学院の演習場で、二人の魂の檻が完全に破壊された。
「……俺を……」
如縣 遼太が、いや、前世最強の長兄が、血を吐き出しながら立ち上がる。水色の猫耳フードが、内側から溢れ出す神格のオーラによって跡形もなく弾け飛んだ。
「俺を、俺を、舐めるなよーっっっっっっっっ!!!!!」
如縣 遼太の絶叫が、空間そのものを爆裂させた。その隣で、黄色の猫耳を揺らして泣いていた鷹神 溯の瞳から、完全に涙が消え去る。前世の『絶対神速の隠密』の神気がその小さな身体に宿る。
「兄さん……思い出したよ。僕たちの、本当の力を。二度と、あの悲劇は繰り返さない」
前世の記憶と神格の力が、今世の「威力を3.14倍にする精密な数式理論値」と完全同調、 Northern 融合を果たす。理屈ばかりの天才の頭脳が、神の力をさらに『3.14倍』にブーストさせるという、数式上あり得ない超次元の領域へと突入した。
ドゴォォォォォォォォン!!!!!
演習場の全宇宙が鳴動した。如縣 遼太の背後に展開されたのは、学院の結界を遥かに超える、天空を埋め尽くすほどの巨大な『超高密度五芒星大魔方陣』。球体よりも五芒星の数式ベクトルで神力を圧縮。空間の反発係数を最小限に抑え、前世最強の重力をさらに3.14倍にする。
「潰れろ、大蛇ども。神の重力に平伏せ」
如縣 遼太が超ロング萌え袖を冷酷に振り下ろした瞬間、演習場一帯の重力が「無限」へと跳ね上がった。残留していた九頭蛇(ハイドラ)の精鋭たちが、悲鳴を上げる間もなく床に叩きつけられ、その脳面を容赦なく一瞬で圧殺されていく。そして、悲惨な共倒れの記憶のピースが完全に揃い、二人が「失われた最後の末弟」の存在を確信した、まさにその瞬間だった。
ズドォォォォォォォォン!!!!!演習場の遥か後方、大地を爆裂させる凄まじい地響きと共に、派手な爆発音が周囲一帯に轟き渡った。もうもうと立ち込める黒煙と激しい炎を割って、一人の少年が狂気的なまでの魔力を身に纏って突っ込んでくる。烏鷺ノ宮魔導寄宿学院の同学年——泰輝。彼こそが、前世で悲惨な最期を遂げた、三兄弟の最後のピース。末弟の魂の転生体だった。
「俺を呼んだか?」
泰輝は不敵な笑みを浮かべ、爆煙の中から堂々と姿を現した。その瞳には、今まさに前世の記憶が鮮明に蘇っていた。神話の時代、三兄弟の末弟「焦熱の焔(プロメテウス)」だった記憶。兄たちが裏切られ、引き裂かれ、血の海に沈んでいくのをただ見ているしかできなかった絶望。兄たちの屍の上で、世界を道連れにして自らの魂ごと自爆し、すべてを燃やし尽くしたあのあまりにも悲痛で、あまりにも孤独な最期の瞬間——。
その絶望の焔が、今世の泰輝の身体を通じて、九頭蛇への圧倒的な破壊衝動へと昇華される。三兄弟の神気が共鳴し、戦場が狂乱の熱に包まれる中、もう一人、激しい頭痛に襲われ、地面に膝をつく者がいた。赤いパーカーを身に纏う、九頭蛇の最高幹部『ウロボロス』こと、大神 蹴介。
「が、あぁぁぁぁ……っ!! なんだ、この記憶は……っ!?」
彼の脳裏にもまた、封印されていた前世の記憶が濁流となってフラッシュバックしていた。前世の彼は、闇の組織の人間などではなかった。神々に恐れられたあの最強三兄弟の、唯一無二の「親友」だったのだ。三兄弟が神々の謀略によって呪われ、泥沼の戦場で共倒れしていく中、彼は親友たちを救うためにただ一人で神々の軍勢に生身で突っ込み、四肢を千切られ、親友たちの名前を叫びながら、共に悲惨な最期を遂げた——。
「俺は……俺はあいつらの、親友だったのかよ……っ!」
大神 蹴介の瞳から、冷酷な内通者の光が完全に消え去った。自分が護りたかった大切な親友たちを、自分の所属する『九頭蛇(ハイドラ)』がまたしても引き裂き、千導 渉を地の果てへと連れ去ったのだ。その事実が、彼の魂を芯から激怒させた。
「おい、九頭蛇ァァァァァッ!!」
大神 蹴介が立ち上がる。赤いパーカーのポケットから通信魔石『大蛇の眼(ハイドラ・アイ)』を取り出すと、それを手の中で木っ端微塵に握り潰した。
「俺は今この瞬間を以て、九頭蛇(ハイドラ)を裏切る。……俺の本当の力は、お前らみたいな汚ぇ大蛇のためにあるんじゃねぇ。親友(あいつら)を、正義を護るためにあるんだよ!!」
完璧な内通者だった深紅の狂犬が、ついに正義の味方へと反転した。水色の猫耳と黄色の猫耳のフードを完全に消失させ、前世の最強兄弟としての圧倒的な神気を放つ如縣 遼太と鷹神 溯。爆発を伴って現れた末弟の泰輝。 Northern 前世の絆を思い出し、涙を拭って拳を握りしめる元・裏切り者の大神 蹴介。すべてを把握していた石神 秀兎は満面の笑みをより一層深くし、飛影 翅もその身にマッハの魔力を爆発させる。九頭蛇の襲撃部隊は一瞬で塵へと還ったが、親友である千導 渉は未だ地の果て。魂の再会を果たした最強の1年生たちは、大切な仲間を奪還するため、世界の理を覆す真の聖戦へと動き出すのだった。
第7話:地の果てへの神速、 Northern 最果ての神鳴
千導 渉が九頭蛇(ハイドラ)の手によって『地の果て』へと連れ去られたその瞬間、1年生たちの戦いは、今世と前世の境界を越えた神話の領域へと突入した。
「四の五の数式を並けている時間はない。神速で、地の果てへ追いつくぞ」
如縣 遼太が冷酷に言い放つと、隣に立つ飛影 翅の瞳が獰猛な光を放った。
「俺の平穏を脅かし、仲間を奪った代償だ。全員、俺の背後に掴まれ」
飛影 翅は、その化け物すぎるマッハの運動神経と身体能力を極限まで解放した。能力名『神速体術・absolute領域唯我独尊(ソニック・ドライブ)』。反発面を肉球型(五点分散の衝撃吸収数式)にすることで、空中への踏み込み時のエネルギー反発係数を最小限に抑え、威力を3.14倍にする。その元々のクソ真面目な理論値に、前世の神気が同調した仲間の魔力が上乗せされる。
ドガァァァァァン!!!!!
爆音と共に、飛影 翅を先頭とした1年生たちは、光すらも置き去りにする超神速で空間を駆け抜けた。世界が引き裂かれるような速度で、彼らは九頭蛇(ハイドラ)の最深部——世界の境界線にある『地の果て』のアジトへと一瞬にして突入した。
「神の重力に、圧殺されろ」
覚醒した長兄・如縣 遼太が、天空を埋め尽くす五芒星の大魔方陣を最高級の出力で展開。空間の反発係数を最小限に抑え、3.14倍に膨れ上がった前世最強の重力がアジトの防壁ごと敵の顔面を容赦なく叩き潰す。
「僕の空間からは、塵一つ残さず消え去ってもらうよ」
次兄・鷹神 溯が、五芒星の頂点に歪みベクトルを集中させた3.14倍の空間断裂を最高級の出力で放ち、群がる敵をまとめて細切れにする。
「すべて、燃え尽きろォ!!」
末弟・泰輝が、前世で世界を道連れにした破壊の焔を解き放ち、派手な爆発音と共に九頭蛇の防衛線を次々と爆破していく。
「親友(あいつら)には、指一本触れさせねぇ!!」
九頭蛇を裏切り正義の味方となった最高幹部・大神 蹴介が、驚異的な脚力で空中を縦横無尽に舞い、肉球型の衝撃波を伴う『三連獣牙烈脚』で、かつての部下たちを容赦なく地面に叩き沈めていく。彼ら4人が最高級の出力で組織の軍勢を圧倒し、完璧に敵を引きつけている隙に、紫のパーカーを翻した最高級正義組織『聖天の盾』のトップ、石神 秀兎がアジトの最深部へと音もなく滑り込んだ。
「渉……! 渉、どこにいるの……っ!」
いつも浮かべていたサイコパスな満面の笑みは、今の石神 秀兎の顔から完全に消え失せていた。『絶望の無音葬送(デス・サイレンス)』で周囲の音を消失させ、進んだ最深部の祭壇。そこには、漆黒の大蛇の呪詛に全身を蝕まれ、ぐったりと横たわる千導 渉の姿があった。
「渉っ!!」
石神 秀兎が駆け寄り、その体を強く抱き起こす。
「嘘だろ……? おい、渉! 起きてよ! 返事をしてよ、渉……っっ!!」
何度も名前を呼び、体を揺さぶる。しかし、千導 渉はピクリとも動かない。呪詛によって生体反応が限界まで低下し、眼鏡の奥の瞳は閉ざされたまま、何の返事も返ってこなかった。いつも「知性を可愛いと括るな」と怒っていた、あの理屈っぽくも頼れる仲間の声が、どこにも聞こえない。
「嫌だ……嫌だよ、渉……っっ! 頼むから目を開けてよぉぉぉっっ!!」
涙が、ボロボロと石神 秀兎の頬を伝って流れ落ち、千導 渉の冷たくなった顔に零れ落ちる。大切な仲間を失うかもしれないという底なしの絶望と恐怖が、彼の胸を激しく締め付けた。親友の命が消えかける絶望の淵で、彼の喉から、魂を引き裂くような叫びが上がった。
「渉の名前を……っ、渉の名前を、これ以上呼べない世界なんて……壊れてしまえぇぇぇぇっっっっっっ!!!!!」
ズギュゥゥゥゥゥン!!!!!
その瞬間、世界の全音声が完全に消失した。石神 秀兎の涙が枯れ果てた瞳が、不気味なまでの漆黒と神聖な紫の光に染まる。彼自身すらも気づいていなかった、本当の、真の『前世』。三兄弟や大山 蹴介たちが生きた神話の時代において、世界の理そのものを司り、全ての生命の生殺与奪を握っていた、神話時代『最強の神』。それこそが、石神 秀兎の魂の本質だったのだ。
「我が領域に仇なす大蛇ども。命の因果ごと、無音の永眠を与えよう」
覚醒した石神 秀兎から溢れ出す、天を衝くほどの神威。彼の流した涙の数式は、ハート型の因果改変ベクトルへと強制同期され、魔力の減衰率を最小限に抑えて威力を3.14倍にする。最強の神の力が、その精密な理論値によってさらにブーストされた。最果ての地に響くのは、音のない破壊の神鳴。大切な親友を救い出すため、本物の『最強の神』となった彼の、無慈悲で絶対的な神罰が今、執行されようとしていた。
第8話:宿命の終着点、因縁の神罰
石神 秀兎が神話時代の『最強の神』として完全覚醒した、その瞬間。『地の果て』のアジトの空間が、不気味に、 Northern 激しく歪んだ。
「あはははは! 素晴らしい! ついに目覚めたか、最強の神よ!」
アジトの奥から湧き出る漆黒の魔力。そこへ現れたのは、九頭蛇(ハイドラ)の幹部、構成員、そして総帥を含めた『九頭蛇(ハイドラ)の全貌』
——全員がこの最果ての部屋に集結した。彼らの顔を見た瞬間、覚醒した如縣 遼太、鷹神 溯、泰輝、そして裏切った大神 蹴介の魂が、割れるほどの激痛と共に真実を叫んだ。目の前にいる九頭蛇(ハイドラ)の全員。彼らこそが、神話の時代に三兄弟を恐れ、裏切り、泥沼の戦場で呪いをかけて共倒れに追い込み、殺した『張本人たちの生まれ変わり』だったのだ。親友である千導 渉を地の果てに連れ去り、再び自分たちを引き裂こうとした大蛇どもの正体は、数千年が経っても変わらぬ、あの忌まわしき宿敵の魂そのものだった。
「また……お前たちか……!」
長兄・如縣 遼太が、超ロング萌え袖から覗く拳を血が出るほど握りしめ、絶対零度の殺気を放つ。「今度こそ、お前たちの存在の因果ごと、数式から消し去ってあげるよ」次兄・鷹神 溯の周囲で、空間が五芒星の形に激しくひび割れていく。
「前世の焔じゃ足りねぇ。魂の底から燃やし尽くしてやるッ!」
末弟・泰輝の身体から、派手な爆発音と共に紅蓮の破壊神の業火が噴き出す。
「よくも、よくも俺たちを騙し、親友を引き裂いてくれたなぁッ!!」
正義の味方に反転した大神 蹴介が、赤いパーカーを血の熱気で震わせ、凄まじい脚力で大地を踏み抜いた。
「平穏を壊した大蛇の魂ども。一瞬で置き去りにして粉砕する」
飛影 翅が化け物すぎるマッハの運動神経を極限まで解放し、前世の仇敵たちを完全に包囲する神速の軌跡を描く。かつては絶望のまま共倒れさせられた5人。しかし、今の彼らには、お互いを下の名前で呼び合い、時に「限定制服が可愛い」と笑い合える、今世で培った最強の『絆』があった。
「あはは……。そうだったんだね」
最深部で、大蛇の呪詛に蝕まれて返事をしない千導 渉を抱きかかえたまま、石神 秀兎が静かに立ち上がった。涙の枯れ果てた瞳には、世界の全ての音声を消失させる、absolute的な『最強の神』の威光が冷酷に宿っている。
「僕の大切な仲間たちを裏切り、殺し、今世でもまた、僕の渉を傷つけた。……お前たちの罪の係数は、数式上、無限大だ」
石神 秀兎の背後に、魔力の減衰率を最小限に抑え、威力を3.14倍にする巨大な『ハート型の因果改変魔方陣』が展開される。最強の神の神威が、精密な理論値によって限界を超えてブーストされた。
「全員、消えちゃえ」
如縣 遼太の星型の超重力。鷹神 溯の星型の空間断裂。泰輝の無限の爆発。大神 蹴介 Northern 飛影 翅の肉球型の衝撃波。そして、最強の神・石神 秀兎の、ハート型の無音の神罰。5人の最高級の出力と、3.14倍の理論値が一つに融合し、九頭蛇(ハイドラ)の全員に向かって一斉に解き放たれた。数千年の因縁を終わらせる、光すら置き去りにする絶対的な殲滅の輝き。大蛇どもの悲鳴さえも『デス・サイレンス』の無音に掻き消され、生まれ変わった宿敵たちは、その魂ごと、世界の理から一瞬にして跡形もなく消滅した。静寂が戻った『地の果て』。九頭蛇が完全に消滅したことで、千導 渉を縛っていた呪詛が綺麗に霧散していく。
「……う、く……。静かにしろ、秀兎……知性を、可愛いと括るな……」
眼鏡の位置を直しながら、ピンクのロング萌え袖を揺らして、千導 渉がようやくうっすらと目を開けた。
「渉っっ!!」
石神 秀兎がいつもの満面の笑みに戻り、泣きながら親友に抱きつく。
「お前ら……本当に、手が掛かる奴らだ」
如縣 遼太が水色の萌え袖で目元を隠し、鷹神 溯はのんきにポテチを差し出し、泰輝、大神 蹴介、飛影 翅も、全員が最高の笑顔でお互いを見つめ合っていた。前世の悲劇を乗り越え、真の絆で結ばれた1年生たちの聖戦は、今ここに最高の形で幕を閉じたのだった。
最終話:漆黒の学園に咲く、3.14倍のハッピーエンド
私立 烏鷺ノ宮魔導寄宿学院の学園長室。
ドガァァァァァァン!!!!!
「お、おいおい君たち!? 爆発音と共に、前世の神の力で私の部屋の特注ドアを吹き飛ばすのは数式上、合理的ではないんじゃないかね!?」
いたずら好きな学園長が、高級パイプを落としそうになりながらデスクの後ろでガタガタと震えていた。その目の前には、九頭蛇(ハイドラ)を壊滅させ、前世の最強記憶を完全に取り戻した最強の1年生たちが、絶対零度の殺気を放ちながら立ち並んでいる。
「学園長。世界の危機は去った」
水色の超ロング萌え袖を冷酷に翻し、如縣 遼太が告げる。
「だが、俺たちの『限定制服に対する怨み』の因果は、まだ何一つ精算されていない。機能性を著しく損なうこの猫耳と萌え袖を、今すぐ普通のパーカーに支給し直せ。……さもなくば、威力を3.14倍にした重力で、お前の顔面をこの部屋ごと叩き潰す」
「あはは! 笑顔のままサクッと細切れにしちゃうよ、学園長?」
石神 秀兎が最強の神の威光をチラつかせながら、満面の笑みで無言の圧力をかける。
「ひ、ひえぇぇぇ! 分かった、分かったから神の力で私を脅すのはやめてくれぇぇ!!」
いたずら学園長を完璧に震え上がらせ、自分たちの「平穏(普通のパーカー)」を力ずくでもぎ取った少年たち。彼らは再びお互いの顔を見合わせ、今度は心からの大笑いを引き起こした。前世の悲劇を乗り越え、最高級の正義の組織、スパイ組織、そして本物の神々が揃った烏鷺ノ宮魔導寄宿学院の1年生グループ。耳付きパーカーはなくなっても、彼らの最強で、騒がしくて、どこまでも愛おしいハッピーな日常は、これからもずっと、3.14倍の輝きを放ちながら続いていく——。
(私立 烏鷺ノ宮魔導寄宿学院の狂宴 ・ 完)
コメント
1件
いやあ、一気に読んじゃいました!「後編」というだけあって怒涛の展開でしたね。前世の記憶が一気に蘇って三兄弟+親友ポジションの全員が覚醒する流れ、めちゃくちゃ熱かったです。特に石神 秀兎が実は最強の神だったっていう伏線の効かせ方、唸りました。そして最終的に一番の盛り上がりが「普通のパーカーを取り返す」というオチに収束するのが、この作品らしくて笑っちゃいました。萌え袖と猫耳フードに翻弄される最強たち、最高でした。完結お疲れ様でした!