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数年前の花火の日俺の人生は大きく変わった
来月の花火に向けてハッピや浴衣の注文が多い
だから家業の呉服屋も大忙しだ
「辰哉、これを岩本の親分の所に届けておくれ」
辰哉 面倒くさいな…
人出が足りないから仕方無い
辰哉 いつ見てもでかい屋敷だな
入口に立つ子分さんに浴衣のお届けを伝えると
中からやたらとガタイのいい男が出てきた
照 いつも来てる奴と違うな?
辰哉 人出が足りないんで息子の俺まで駆り出されてんだ
照 深澤の所の倅か、親父さんがボヤいてた
辰哉 どうせ遊び歩いてるとか言ってんだろ?
照 それも言ってたな、だが頭がキレるのに商売に活かさないってな
辰哉 戦略考えんのは好きだが金勘定は嫌いだ
照 ほう…戦略か…いっちょ将棋で勝負するか?
辰哉 いいぜ、負けても文句言うなよ
場を読むのが得意な辰哉、何度やっても勝てない
照 お前凄いな、一度も勝てねぇ
辰哉 お前の戦法は真っ直ぐ過ぎんだよ
それから辰哉はちょくちょく遊びに行くように
ある日辰哉の呉服屋に金があると知った盗賊が
押し入ってきた
「顔を見られたら殺せ!!」
声を荒げながら店を荒らしてゆく
辰哉 親父、お袋どこだ!!
夫婦の寝所へゆくと妻を庇い血を流す父親
辰哉 親父!!
駆け寄るが二人共息が無い
「こっちで声がしたぞっ」
辰哉 マズいっ
行灯の火を消し息を潜める
人が走り回るドタドタとした足音
辰哉 どうする?見つかると殺られる
キャア〜
辰哉 妹達かっ!?まだ生きてる!?
自分の危険も顧みず部屋から飛び出す
玄関まで駆けると髪を掴まれ攫われそうになっている妹達
辰哉 そいつ等を離せぇ〜
周りにある物を手当たり次第投げるが手下の男達に殴られ押さえつけられる
「男に用は無い、殺れ」
ここまでと思ったその時
照 辰哉〜!!
刀を手にした照と組の男達
照が目にしたのは地面に押し付けられ刀を向けられる辰哉
照 貴様〜!!辰哉を離せぇ!!
叫ぶと同時に男達に斬りかかる
あっという間に制圧される盗賊
照 辰哉!!大丈夫かっ!!
辰哉 ああ…助かった…妹達は…
「グスッ…兄ちゃん…」
辰哉 よかった…
照 すまん、もっと早く来れば…
辰哉 いや…アイツらが無事ならいい
照 親父さん達は
辰哉 駄目だった…
照 そうか…
店の片付け、葬式の手配
岩本組の助けもあり何とか終わらせる事が出来た
照 これからどうするんだ?
辰哉 俺に商売は出来ねえよ、どっかに買い取ってもらって妹達は親戚が引き取るってよ
照 お前は?
辰哉 俺一人何とでもなるよ、適当に生きて行くさ
ニッと笑う
照 無理して笑うな…
照が辰哉の頭を撫でる
辰哉 別に無理なんてしてねえ…よ
ポロポロと伝う涙
辰哉 あれ…なんだ…なんで…
照に抱き締められる
照 妹達は見てない…泣けよ
妹達を不安にさせないよう気を張っていた…
ぎゅっと照にしがみつき
辰哉 親父…お袋…ごめん…店潰しちまって…
わあっと声をあげて泣きじゃくる俺の背中を撫で
照 お前のせいじゃないよ
辰哉 でもっ…
言いかけた俺の唇が照の唇で塞がれた
辰哉 んっ…なん…で…こんな…
照 お前に惚れたからだよ
突然の事に涙が引っ込んだ
コメント
2件
マッジで好きですヽ(=´▽`=)ノ
読了しました🌙 重い…でも引き込まれました。両親を失った辰哉が、妹たちの前で気を張って笑ってるところ、すごく胸が痛かったです。照が「泣けよ」って抱きしめてくれたシーン、涙腺に来ました…。そして最後のキス。突然すぎて私も辰哉と同じで「えっ」ってなりました(笑)でも、照の「お前に惚れたからだよ」って台詞がすべてを変えた感じがして、続きが気になりすぎます。 ゆんしょさんの描く“重さ”と“優しさ”のバランス、すごく好きです。これからも読みますね🤍