テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
T「ロンさん…あなたが中国人だと誤解されて移住したと聞いて心当たりがあるんです…もちろんあなたがコーカン族にルーツあるミャンマー人なのは受け止めますが…あなたとは違う悩みかもしれないですが、話しても大丈夫ですか?」
ロン「大丈夫ですよ?ここはただのお店じゃありません。どんな事情や悩みがあっても遠慮なく無償で相談に乗ることが可能な溜まり場でもあるんですよ。ウェイさんが空回りをして騒がしく見えるのもただラテンパッションを宿しただけでなく地元の兄さん感を出したい彼の思いなのですから。」
T「優しいですね、ロンさん…実は私はこの見た目のせいで一般社会の学校で….ハーフじゃないのによく中国人と日本人のハーフだの誤解されて….生きづらい思いをしたことがあったんです…」と涙をこぼしながら語っていた。
みりみ「マジかよ…Tさんそんな悩みがあったなんて…俺はミャンマーのハーフですし、一般社会に出たことないし、ここに住んでるから見た目の悩みなんて気にしなかったですねぇ…あなたがその学校に行った時、ハーフの生徒たちいましたか?」
T「ほとんどいませんでした…いたとしても同い年の純ロシア人女性がいたくらいですよ…ただその人は高身長でアンアンさんのお姉ちゃんのリーアンさんくらい大きくて、マドンナ扱いされてました….」
ムラクモの心の声「まさかそのロシア人とは美澄…エカチェリーナのことを言ってるのか?問い詰めたいが彼を失望させたくない」
みりみ「じゃあもし俺が一般社会に行ってたらどうなるって言うんですか、Tさん?」
T「わかりませんよ….ハーフと言っても国やルーツによっても悩み方が人それぞれ違いますから…」
T「ところでロンさん..もし私がミャンマーに行ってたらコーカン族なのかと誤解して私に突っ込んでくるんですか?中国のハーフと誤解された私とミャンマー人なのに見た目が中国人だと言われたあなたがやり取りしてますから…」
ロン「それは私にはわかりませんね…言うとしてもごく一部の人だけかもしれませんから、あまり気にしなくてもいいです… けどこれだけは言えますよ、Tさん。誤解する一般社会が狭いだけです。あなたのその見た目は、ここではただの美しい個性ですよ」
クロブ「あんまり無理しねぇでくだせぇよ、Tさん…確かに難しい問題かもしれねぇですけど、俺もこの見た目のせいで一般社会で純日本人なのに石油王だのアラブ人だの言われていましたから。」
環「そうだぜ、T。」
環の心の声「ここへ移住してよかったぜ。支援学級、不登校、フリースクール出身者というレッテルを貼られずに済むわ。でも信頼できるTとムラクモ、アンアンには言えたな。」
ケイド「難しくて何も言えね〜」
アンアンももらい泣きしてこう言った。
アンアン「僕だって…台南市の学校でよくフィリピン人だのインドネシア人だの誤解されて生きづらかった….パイワン族ルーツの僕がなんでって今でも思い出すんですよ、Tさん」
アミナグリも泣いていた。「私もさ、新疆ウイグル自治区のタシュクルガンにいたんだけどさ…私は中国人だけど、イラン系タジク族という少数民族であって同じ中国人たちから『ハロー』ってよく話しかけられたことが何度かあって外国人扱いされて辛かった。でも私はここへ移住してギャルになって生きやすさを得たかったから…」
一方でデニズとムラクモは平然としつつ心境を語っていた。
デニズ「確かに俺はトルコ系ウイグル族の中国人ですが、アミナグリさん同様見た目で誤解されることが何度かありましたね。ですが、俺は物理学を専攻したくてここへ移住しました。」と。
ムラクモ「クロブさんに言われました。もし私が一般社会に行ったら韓国人の若手俳優に似てると言われるそうですが、私は気にしませんから…個性というのは自分自身で見つける物です」と。
ロン「みんな….例えハーフ云々問わず国ごとに、見た目が違うだけで無意識な偏見を持たれて辛い思いをすることはよくありますよね…」
コメント
1件
読了しました。第45話、それぞれのルーツや見た目にまつわる「生きづらさ」を打ち明け合う、とても温かい回でしたね。Tさんの「ハーフに見られる」という悩みに、ロンさんやクロブさん、アンアンさんたちが自身の経験で丁寧に応えていく流れが沁みました。特に「誤解する一般社会が狭いだけ」というロンさんの言葉は、この店の空気そのものだなと。環さんの「言えたな」という心の声にも、居場所のありがたさが詰まっていて、ぐっときました。