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Noside
ばたり、とジェイデンが倒れる。
「ジェイデン!」
「大丈夫だ。どうせ安心して気を失ったんだろうよ。……シャンブルズ」
ローが能力を使ってジェイデンとチョッパーを自分の元に移動させる。そんな時、その場の明かりが落ちた。
「――ペットもクソ、人間もクソ。どいつもこいつも使えねえ!」
その言葉と共に再びライトが点くと、高いところにブリードが立っていた。ブリードは自分にペトペトの実の能力を使い、本来人間が出せない100%の力を強制的に引き出して、ロー達を見下ろす。ブリードはその強化された肉体でシーラパーンを持ち上げ、まるで意思を持たない武器のように扱い始める。
「クオッ! クオクオッ、クオーッ!」
「なんだ?」
「『おいらたちはお前の道具じゃねえ!』」
「ああ?」
「ジュゴンが言ってるんだよ。仲間は道具じゃねえって!」
ジュゴンが叫ぶ。『お前のペットはもうごめんだ』『お前の力にも屈しない、おいらたちは海賊だ』――と。
ジュゴンの言葉を聞いたブリードは再び怒りを見せる。だが、今まで操られていた彼ら海獣の怒りの方が上だ。
「アザラシ、こいつ、ぶん殴るぞ!」
「クオーッ!」
ブリードを包囲する海獣たちが唸り声をあげる。
「どいつもこいつも楯突きやがって……もういい! 何もかもぶっ壊してやる! 来い、シーラパーン!」
ブリードはまたシーラパーンを道具のように扱い始める。
「行くぞ、アザラシ!」
「クオッス!」
海獣たちを道具として扱っていたブリードだが、いつの間にか四肢を掴まれ、身動きが取れないように拘束されていた。
「な、なんだ? お前たち、おい、離せ!」
彼らは強い意志で命令に背いた。動けないブリードに、ルフィとジュゴンが正拳突きを放つ。
衝撃音の後、ブリードがガラスを破って外へと放り出された。パキン――と、全員の首輪が割れた。
それから彼らはサニー号へと戻り、海獣たちとの別れを告げる。
「ジェディ」
ローの腕の中で気を失うジェイデンの体には鞭で打たれた跡が痛々しく残っていた。
「ちっ……タヌキ屋、医務室借りるぞ」
「あ、ああ」
ジェイデンを横に抱いたまま、ローは医務室へと向かう。
ローはジェイデンの手当てを終えると、ジェイデンの頬をそっと撫でる。
「………ろー?」
「起きたか」
「…ここ、サニー号か……? ってことは、もう終わったのか?」
「あぁ」
「そっか。よかった。あんな男のペットなんて大金積まれてもお断りだ」
ジェイデンは起き上がり、ベッドから降りようとする。しかしまだ本調子ではないらしく、よろけて倒れそうになるところをローに支えられた。
「あはは、ありがと。ロー」
ローは無言のまま、支えていた腕に力を入れてジェイデンを抱き寄せる。
その行動の意味が分からず戸惑うジェイデンだったが、すぐに察したようで小さく笑った後、大人しく抱きしめられた。
「ごめんな、ロー」
「は…? どういうことだ?」
「俺全然役に立たなかった。真っ先に能力にかかって、お前に斬りかかって……」
「そんなことか……。別に気にしてねえ。お前が死ななきゃそれでいい」
「うん……」
「お前が無事なら、俺はそれだけで十分だ」
「ふは、ローはいつも俺に優しいな。もっと怒ってくれていいのにさ」
そう言って笑うジェイデンの頭をローが優しく撫でる。するとジェイデンはいつもの様に目を細めながら甘えるようにすり寄ってきた。
「なぁロー。朝刊はあと数時間で来るよな。ドフラミンゴは、お前の要求を呑んだかな」
「……さぁな」
ローがさらり、とジェイデンの髪を手櫛で整えてやると、ジェイデンはくすぐったそうに身を捩るのだった。