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第四十章
守りたい想い
―繋がる命―
「琥珀ちゃん!大丈夫だから、頑張って……!」
詞葉は急いで琥珀へ治癒を施した。
しかし――。
「……っ、間に合わない」
傷は深く、流れ落ちる血は止まる気配を見せない。
「!! いけません、玄武の巫女さま!これ以上、強い力を使われては御身が保ちません!」
羅刹は必死に詞葉を止める。
だが、詞葉は手を止めなかった。
琥珀の傷を自らの身に受け、それを治癒の力へと変える。
その代償として、詞葉の身体にも同じ傷が刻まれていく。
「……っ」
巫女服の色が変わっていく。だんだん赤暗く染まっていく。
それでも詞葉は、琥珀から離れなかった。
「構いません……!」
「そんなことより……琥珀ちゃんの治癒を……!
早くしないと……手遅れになってしまいます……!」
声を震わせながら、それでも詞葉は力を込め続ける。
「詞葉……!」
琥珀の意識が僅かに戻る。
「……なんで……」
「……」
「なんで、あんたまで傷を……」
琥珀の目には、詞葉の姿が映っていた。
自分と同じ場所に傷を負いながら、それでも優しく微笑んでいる姿。
「……当たり前です」
詞葉は小さく答えた。
「私たちは……一緒に戦うと決めたじゃないですか」
「……でも……」
「誰か一人だけが苦しむ必要なんて……ありません」
詞葉の指先から、淡い光が溢れる。
「煉華ちゃんも……蒼紫ちゃんも……」
「そして琥珀ちゃんも……」
「ずっと……私たちを守ろうとしてくれていました」
「だから今度は……私が守る番です」
「……っ」
琥珀の瞳から、涙がこぼれる。
「……馬鹿……
そんな無茶したら……
詞葉まで……」
詞葉は静かに首を振った。
「大丈夫です。
私は……まだ戦えます」
そう言いながらも、身体は限界へ近づいていた。
「……詞葉」
琥珀が震える手を伸ばす。
「もう……いい。
これ以上やったら……
あなたまで……失う」
その言葉に、詞葉の手が僅かに止まる。
しかし――。
「嫌です」
詞葉ははっきりと言った。
「もう……誰も失いたくありません」
その言葉には、これまで抱えてきた想いが込められていた。
四人で戦うと決めた日。
代償を知った時。
それでも進むと決めた時。
全部、この瞬間へ繋がっていた。
「だから……
絶対に……生きてください」
詞葉の光が、さらに強く輝く。
そして――。
「……傷が……!」
琥珀の傷が、少しずつ塞がっていく。
「……成功……した……」
詞葉は小さく息を吐く。
だが、その瞬間。
身体から力が抜け、その場に崩れ落ちた。
「詞葉!」
琥珀が慌てて支える。
「……大丈夫です」
詞葉は弱々しく笑った。
「琥珀ちゃんが……無事なら……それで……良かった……です」
「……」
琥珀は何も言えなかった。
失った味覚。
戦うために払った代償。
それ以上に胸を締め付けたのは――。
仲間が、自分のために傷つく姿だった。
「……本当に……」
琥珀は詞葉の手を握る。
「私たち……馬鹿だね。
一人で背負おうとして……」
詞葉は静かに笑った。
「だから……言ったじゃないですか…
私たちは……四人です」
その言葉が、静かな結界内に響いた。
コメント
1件
第40話、読み終わりました……。 詞葉ちゃんの「だから今度は私が守る番です」って台詞、胸に来すぎてもうダメだったよ。自分まで同じ傷を負いながら、それでも琥珀ちゃんの治癒をやめない姿に泣いた🥀 最後に琥珀ちゃんが「私たち馬鹿だね」って言うところ、重くて優しくて、すごく好きです。4人で背負うって決めた日の想いが、ここで全部繋がった気がしました。 輪廻さん、本当に素敵な回をありがとうございます。大事に読みました。