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#💛💜
愛日
1
皆が自分にできることで調べているのだけれど、なかなか《願いを叶えるためのおまじない》について進展はなかった。
渡辺と宮舘の二人は、礼の教会に何か手がかりがないか探しに出ていたのだが、行方不明事件だった為に警察も捜査した後だったので、特に何も見つけることはできなかった。
💙「調べるのって、いつも思うけど大変だよな……」
❤️「何を今更。調査局なんだから、そういうものでしょ」
💙「まあ、そうなんだけど。めめとか阿部ちゃんが担当することが多いから、なんか久々だなって思ったんだよ」
❤️「それはあるね。目黒が木の記憶を辿って、阿部が情報を収集する。俺たちはいわば、行動部隊だからね」
💙「言われた通りに動くのって、楽だったんだな」
❤️「翔太は調査系の依頼は行ってないから余計、かな」
💙「嫌いなんだよ、他人の浮気とか興味ねえし」
❤️「俺だって興味はないよ」
今の言い方だと、浮気調査に出ている者は興味があって行っているように聞こえるではないか。風評被害もいいところだと、一応、訂正しておく。
そうして話していて。
❤️「あ、翔太、危ないよ」
人通りが多くなってきたからか、宮舘に声をかけられて身を翻した。どうやら、前から歩いて来た女性とぶつかりそうになっていたらしい。
💙「助かる」
❤️「いいけど、人が多いからよそ見しないで歩こうね」
💙「……ほーい」
再び話しながら歩いて行く。
ラウールと佐久間と阿部の三人は、願いが叶うおまじないが流行っているという中学校を訪れていたのだが、イケメンと呼ばれる部類の三人に女子中学生たちがキャーキャーと騒ぎ立ててしまい、思ったような情報を得る事はできなかった。
🤍「いやぁ……中学生の勢いって、凄かったね……」
💚「元気な佐久間でも負けてたもんね」
🩷「にゃははっ。あれには佐久間さんでも敵わないわー」
🤍「でも、噂は知ってるみたいだったね」
💚「おまじないをすると願いが叶うっていう、ね。ただ、本で見た、とか、消しゴムに書く、とか、友達の友達がやってた、とか。これといったものはなさそうだった」
🤍「特にあの年代って、そういうの好きでしょ。好きな人の名前を書いた紙を入れた水を満月の夜に窓辺に置く、とか。机の端に好きな人の名前と自分の名前を書いて、一週間、誰にも見られなければ恋が叶う、とかね」
💚「え、ラウ詳しいね」
🤍「そりゃあ、現役に一番近いから」
🩷「恋愛ばっかなのは、お前もおまじないやってたんだろ」
🤍「てへ。バレた?」
🩷「で? どうだったんだよ?」
🤍「なにが?」
🩷「とぼけてんじゃねえ! おまじないの効果だよ! あったのか? ん?」
🤍「うーわ、佐久間くんソレ、おじさんの絡み方だよ! めっちゃやだ!」
🩷「おじさんとは何だ、おじさんとは! 俺はふっかと違ってまだ若いの! 50代と一緒にすんな!」
🤍「あー! ふっかさんの事、また年齢いじりしてるー! 帰ったらふっかさんに言っちゃおー!」
🩷「あ! こら待て~!」
何やら鬼ごっこを初めてしまった佐久間とラウールを見て、お前らはまだまだ子どもだよ、と阿部は肩を竦めた。
これでは、先ほどの中学生と変わらないではないか。
まったくもう、と息をついて空を見上げていると。
🤍「阿部ちゃんっ」
急に近くでラウールの声が聞こえたかと思うと阿部の肩が左に引かれて、ラウールの腕の中にすっぽりと納まった。
💚「ラウ?」
🤍「女の人がぶつかりそうになってたんだよ。歩きスマホとか、危ないなぁ」
💚「ボーっとしてた俺も悪かったから」
🤍「なんか急いでるっぽかったね」
💚「てか、そもそも佐久間とラウが遊び始めたからでしょ! もー、早く戻るよ!」
🩷「へーい」
🤍「あ、佐久間くん、どっちが先に着くか競争しようよ!」
🩷「おう、いいぜ! 俺に勝てると思うなよ!」
🤍「何言ってんの。佐久間くん、運動音痴じゃん」
🩷「ふははっ! 俺には瞬間移動というものがあるの、忘れてないか?」
🤍「あ、ずるーい! なら、僕だってモーター付きのスケボーを……」
💚「何やってんだ、お前ら! 無駄に異能使うな!」
🩷「ぅおっ! やべっ、ブラック阿部ちゃん出ちゃった」
🤍「わー、阿部ちゃんごめーん! 見捨てないでー!」
すたすたと歩いて行ってしまう阿部に、慌ててラウールと佐久間が謝りながら追いかける。そんな無邪気にじゃれ合う三人の姿を見つめる女がそこに立っていた。
目黒は向井の買い出しを手伝って、共に買い物に出ていた。
🧡「めめ、ごめんなぁ? 付き合わせてもうて」
🖤「いいよ。俺も紅茶に興味あったし」
🧡「え、めめが? ほんま?」
🖤「俺も阿部ちゃんに美味しいの淹れられるようになりたいなって」
🧡「あー、なる。ええと思うよ。まだこしあんミルクくらいしか教えてへんし。ただ、紅茶はムズイねん」
🖤「それは思った。あんなに種類あるなんて知らなかったし」
🧡「せやろ。俺も最初ビックリしたもん。一般的なのは知っとったけど、三種類くらいやったし」
🖤「お菓子作りも考えたけど、あっちの方ができなさそうで」
🧡「舘は拘っとるからな。あれは慣れてないとできんよ。ただ、簡単なんは混ぜるだけでできるから、今度、そっちも教わったらええよ」
🖤「うん。舘さんに話してみようかな」
🧡「先ずは、紅茶やね。茶葉は後からにするとして、淹れ方で味も変わるから、そっから教えよか」
🖤「よろしくお願いします!」
そこから、向井による紅茶講座が始まった。
あとでちゃんと教えるけれど、基本的な事だけ話したいという様子だったので、目黒はうんうんと頷きながら真面目に聞いている。
のだが、不意に向井の前に出て向井が背中にぶつかったのが分かった。
🧡「ちょお、めめ、急に何?!」
🖤「なんか用ですか?」
けれど目黒は向井を気にすることなく、目の前にいる女を睨みつけている。
「あら、ごめんなさい。気付かなかったわ」
そう言って女は目黒たちから離れて行ったのだが、目黒はその女が見えなくなるまでジッと見続けていた。
🧡「めめ、どしたん? そんな怖い顔して」
🖤「……いや、さっさと帰ろう。帰ったらすぐ、紅茶淹れてみていい?」
🧡「ちょ、淹れるんはまだ先やで! そんな甘くないねん!」
特務調査局の事務所に全員が集まったのは夕方頃。
それぞれの成果を聞き終えたのだが、これといった情報はやはり得られなかった。
💜「何か、変わった事はなかった?」
🖤「女が康二に近づいて来てて、特に何かあったってわけでもないけど、なんか気になるなって」
🤍「それって、首にストール巻いてる人?」
🖤「確かに、巻いてたかも」
🤍「あ、じゃあ、阿部ちゃんにぶつかりそうになってた人と同じかも」
🧡「えっ!?」
💚「確かバニラの香りがする人だった」
❤️「その女、翔太もぶつかりそうになった人かも」
💙「ええっ?!」
💜「なんならその女、警察署の前にいた気がする。窓から見ただけだけど、藍色のストールだった?」
🤍「そうそれ。珍しい月と花の模様だったと思う」
💛「その女、美上にアレコレ吹き込んだ女かもしれないな」
🩷「じゃあ、明日からはそのぶつかって来たストールの女の捜索ってこと?」
💜「いやいや、忘れてねえ? 明日、静岡の遺言書探しの依頼だろ」
🩷「あ、え、あれ明日か!」
💜「そうだよ。三日後でって話だっただろ。えっと、佐久間、照、舘、ラウール、めめの五人で行く事になってんな」
🤍「えー。それ、みんなで行かなきゃダメ?」
💜「もう相手方には言ってるし、五人一組で参加してくれって言ってたから、無理だよ。大体、人命がかかってるから延期できないし」
💛「だから明日は、それ以外のメンバーはここで待機―――」
そう話していると、岩本のスマホが着信を知らせ、岩本が休憩室に入っていった。それから数分後に出てくると、その眉間に濃く皺が刻まれている。
💛「最悪だ」
💜「え、どうした?」
💛「警察からの依頼。明日、神奈川で行方不明者の捜索してくれって。いなくなってからもう二日経つから、一刻も早く見つけたいんだと」
💜「あー……断れないやつだ」
💚「なんか……重なりすぎてるね」
💙「偶然?」
💚「だと思うけど、作為的なものも感じるね。神奈川の捜索って、きっと残りの四人で行くでしょ? みんな、女から接触がありそうだったメンバーだよ」
🩷「確かに!」
🧡「ふっかさんと照兄はわからんけど」
🤍「でも、ふっかさんを待ってたんだとしたら、辻褄は合うよ」
💛「神奈川組は最大限の警戒をした方がいいだろうな」
🧡「それ、二人とかで行ったらあかんの? 例えば、阿部ちゃんとしょっぴーは留守番とか」
💛「女が接触してくるかもしれない事を考えたら、人数は減らしたくない。襲われた時に対処できる手数は多い方がいいからな」
💜「そうだね。全員での行動を心がけて、一人にならないようにした方がいい」
🖤「……あの。俺、神奈川の方に行ったらダメですかね」
💜「えっ、いやでも、五人一組でって」
🖤「それ、依頼人も数に入れたらいけますよね。何か目的があって阿部ちゃん達を選んだんなら、そうじゃない俺も入ってた方がいいかなって」
💚「確かに、イレギュラーな存在は居た方がいいかも。動揺したら隙が生まれるかもしれない」
💙「メンバー総入れ替えしちゃうとかは?」
💛「バカ。静岡の方は確定で命がけなんだよ。後継者争いの遺言書探しだっつったろ。だから火力のある俺と舘さん、回避できる佐久間と陽動のめめ、臨機応変に対応できるラウールの五人にしたの」
🖤「あ……俺いなくなったら、マズい?」
❤️「目黒の分は俺とラウールでカバーするから、そこは大丈夫。わかっててオッケー出してるだろうしね」
💜「そういうこと。明日、静岡組は朝早いから、今日はここまでにしよう。各自、気合い入れて依頼に臨もう」
何が待ち受けているのかは分からないけれど、大きく進展するチャンスかもしれない。
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