テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
我を讃えよ。
朝が来れば、我を讃えよ。
雨が降れば、我を讃えよ。
テストで赤点を取れば――
まあ、それは君の努力不足だ。
(神様にも責任転嫁の機能はありません。)
我を讃えよ。
君の願いは聞いている。
毎晩、毎晩、ちゃんと聞いている。
だから安心しなさい。
(忘れてはいない。
ただ、叶えるとは言っていない。)
「どうして私だけ?」
そう嘆く君に、
神は優しく微笑む。
「君が特別だからだよ」
(もちろん、他の信者にも同じことを言っている。)
我を讃えよ。
君が笑えば嬉しい。
君が泣けば心配だ。
君が誰かを好きになれば――
……少し、困る。
(誰だ、その人間は。)
神様だから、
君の自由を尊重しよう。
神様だから、
君の人生を見守ろう。
神様だから――
(だから私以外を見ないで、なんて言えない。)
……言えないはずだった。
祭壇の蝋燭が揺れる。
神は笑った。
「我を讃えよ」
信者たちは手を合わせる。
その声は優しい。
けれど、その奥には、
ほんの少しだけ嫉妬が混じっていた。
(神様だって、
完璧じゃないんだよ。)
我を讃えよ。
ただし、
君の人生まで差し出す必要はない。
神を信じるなら、
まず自分自身を見捨てないことだ。
――それが、
この神様からの唯一の命令だった。
38
#七つの大罪シリーズ
夢野 ゆみ
315
91
コメント
3件
わし信じる讃える
うわあ、この神様、めちゃくちゃ人間くさいですね…(笑)「叶えるとは言っていない」のカッコ書き、めっちゃ好きです。他の信者にも同じこと言ってるって、正直すぎる。でも最後の「自分自身を見捨てないこと」っていう命令に、ちゃんと優しさが滲んでて、じんわりきました。12話、神様の嫉妬が垣間見えた回。