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#七つの大罪シリーズ
夢野 ゆみ
315
91
「AIなんて嫌いだ」
そう言っていた君は、
今じゃ宿題を抱えて
画面の向こうに答えを求めてる。
(便利だね。
批判するための文章まで
AIに書かせればいい。)
「自分で考えることが大切」
――その立派な言葉を、
誰かに書いてもらった課題の隅に
そっと貼り付けて。
くるり。
手のひら返し。
「肉なんて食べちゃだめ!」
そう叫んでいた君は、
ある日ハンバーグを見て言った。
「……肉って美味しいね」
(昨日までの信念、
今日からは焼肉定食。)
くるり。
また手のひら返し。
「校則は絶対守るべき」
そう言っていた人が、
先生のいないところでは
校則を破って笑っている。
(なるほど。
規則って、見つからなければ
存在しないらしい。)
くるり、くるり。
世界は今日も回っている。
正義も。
信念も。
昨日の発言も。
都合が悪くなれば、
くるり。
「そんなこと言ったっけ?」
言ったよ。
ちゃんと覚えている。
(記憶まで手のひらサイズなのかな。)
それでも人は言う。
「私は一貫している」
その一言を聞いて、
私は笑った。
だってその人の手のひらには、
昨日とは反対側を向いた
新しい正義が乗っていたから。
皮肉だね。
誰もが他人の矛盾を笑うのに、
自分の矛盾だけは
「成長」と呼ぶのだから。
コメント
3件
うわあ……このエピソード、すごく刺さりました。 「くるり」って回るたびに、人の矛盾が浮き彫りになっていく感じが怖いくらいリアルで。 特に最後の「自分の矛盾だけは『成長』と呼ぶ」ってところ、めちゃくちゃ胸にきた…… 私も気づかないうちに、そうやって自分を正当化してることあるかもって、考えさせられました。 皮肉で冷静な視点なのに、どこか哀しさもあって、何度も読み返したくなる作品です。 ɗคɼﻉᛕคさんの言葉の選び方、すごく好きです。