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💛side
あっという間に時間が過ぎ、6時間目。
先生「よし、それじゃ体育祭の種目決めます」
担任の言葉を合図に、がたがたと椅子を引く音が教室に響く。
教室中が一気にざわつき始めた。
「俺リレー出たい!」
「二人三脚って今年もあるかな?」
「障害物競争は絶対やだな~」
あちこち飛び交う声を聞きながら、俺は机に突っ伏した。
💛「はぁ…」
思わず、ため息が出る。
俺にとって体育祭は、年に一度の公開処刑。
周りに比べれば運動はそこそこだし、体力もない。
観戦するのは嫌いじゃないが、自分が参加するとなると話は別だ。
できることなら、目立たず平和に終わってほしい。
先生「今年の競技は去年とほぼ同じだ」
先生「障害物競争、二人三脚、綱引き、リレー、借り物競争、それから…」
競技名が読み上げられるたびに、歓声や悲鳴が飛び交う。
先生「はい静かに」
先生「まずは…リレーから決めちゃうか」
先生「やりたい人いるかー」
生徒「やりたーい!」
と数人が手を挙げる。
先生「まだ足りないな…他にいるか?」
先生「推薦もありだぞ」
すると、教室から”勇斗”の名前が続々と出てくる。
「勇斗くんはー!」
「勇斗は絶対出ないとだろ!」
「アンカー頼む」
そんな声を聞き、そりゃそうかと納得する。
🩷「え?俺?」
一方、本人はきょとんとしていた。
なんで手あげてねぇんだこいつ。
どう考えても、お前が一番適任だろ。
❤️「いや”俺?”やないねん」
💙「どうせ毎年やっとるやろ」
🤍「むしろなんで挙げてないの」
🩷「いや、出たい人いるならその人でいっかなって」
…ほんと、そういうとこなんだよな。
先生「じゃあ佐野、リレーな」
🩷「えぇ!?」
生徒「笑笑笑」
生徒「頑張ろうな!笑」
生徒「応援してるね!」
勇斗に向けられる言葉で、教室がいっぱいになる。
やっぱこいつは人気者だな。
そう他人事のように考えていると、勇斗がくるっと俺のほうを向いてきた。
💛「…なに」
🩷「頑張るから、ちゃんと見ててな?」
そう言って、にかっと微笑まれる。
💛「…っ」
わざわざそんな顔でこっちに言ってくんな!
なんてことを思うと同時に、胸が熱くなる自分がいた。
💛「…おう」
そんな心情を隠すように、ぶっきらぼうな返事をする。
けれど、勇斗は満足したように、また顔をほころばせながら前を向いた。
その直後にまた周りから話しかけられている勇斗を、ぼんやり見つめる。
🤍「よっしー顔赤いよ」
💛「気のせい」
🤍「ふーん…」
こうやって、周りをよく見ている柔太朗は度々嫌なところを突いてくる。
…いや、
赤くはなっていない、はず。
❤️「てかどうすんの仁ちゃん」
💛「なにが」
❤️「種目」
💛「あー…」
無難なとこ…どこだろな。
💙「二人三脚とかやらへんの?」
💛「無理」
絶対転びますよみたいな種目なんかやりたくない。
自分のペースで歩かせろ。
❤️「え~、一緒に出ようや」
💛「やだ」
いや、無理だろ。
そもそもの話、舜太とは歩幅が違いすぎる。
🤍「じゃあ障害物競争?」
💛「絶対やらない」
あれだけはぜっっったいやらない!
💙「なんで?あれあんま走らんやん」
🤍「てか去年出てたでしょ」
💛「…知らなかったんだよ」
🤍「何を?」
💛「衣装」
❤️「あー!思い出した」
❤️💙「うさぎ」
💛「そこで揃うな」
そう、この学校の障害物競争は途中で衣装に着替える。
コース上に置いてあるくじを引き、そのお題通りのものを着てからゴールしなければならない。
去年はその説明を聞いておらず、うさ耳としっぽを着ける羽目になった。
💛「騙された…」
❤️「誰も騙してへんよ」
🤍「自業自得」
💛「うるさい」
💙「まぁ、今年はちゃうかもよ?」
💛「可能性があるなら俺はやらない」
💙「わがままやなこいつ」
先生「はい、いったん静かに」
先生「もう大体決まったな」
先生のその一言で、黒板をバッと見上げる。
いつの間にか、ほとんどの種目が決まっていた。
よく見れば、太智・舜太・柔太朗の名前も入っている。
💛「え、お前らいつの間に入ったの?」
💙「さっき」
❤️「普通にタイミング見て」
💛「…俺だけ時止まってた?」
🤍「よっしーぼーっとしてたからね」
💙「また去年みたいになんぞ」
💛「勘弁…」
🩷「てか仁人、もう一つしかなくない?」
💛「おお」
気がつけば、周りに囲まれていた勇斗も俺の近くまで来ていた。
…って。
💛「え、一つ?」
先生「あとは…」
先生「借り物競争だけか」
終わったぁぁぁ…
よりによって、それかよ…。
先生「まだ何も入ってないやつは?」
…黙っとけばやり過ごせっかな。
❤️💙「仁ちゃん/仁人、入ってませーん」
おいバカ。
先生「じゃあ吉田、借り物競争な」
💛「え、いやっ…」
先生「一人最低一つは個人種目に出てもらうから。もうこれしかないぞ」
💛「…はい」
地獄だ。
先生「よし、これで全員決まったな」
先生「明日から練習始まるから、頑張れよー」
絶望のあまり固まっていると、授業終了のチャイムが鳴った。
みんなが帰り支度をしている中、ひとり項垂れる。
❤️「おつかれ仁ちゃん」
💛「もうやだ…」
💙「話聞いてへんからよ」
💛「お前らが話しかけてきたんじゃん」
🤍「でも、障害物競争よりマシじゃない?」
💛「…そうかも。いや、でもな…」
ルールの内容で言えば五分五分…いや、ものによっては借り物競争の方がきついかもな。
🩷「なんで障害走?」
❤️「覚えてへん?仁ちゃんが出たの」
🩷「あー去年の。可愛かったよね」
💙「…別に”かわいい”とは思わんかったけど」
💛「おい」
せめてなにかしらの形で盛り上がれ。
🩷「まじで可愛いと思ったんだけど」
お前もそういうこと言うな。一回スルーしたのに。
🤍「あのとき結構面白かったよね」
💛「お前らなぁ…」
💙「ま、頑張ってな」
💛「はぁー…」
太智に肩をぽんっと叩かれ、再び深いため息をつく。
…今年の体育祭、前途多難な予感しかしない。
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