「もう疲れた、16年も生きれば十分だ。 」
特に思い入れがあるものも無いし。そう言って降りようとした。
「ちょっと待ったー!残りの人生私に託してみない!?」
冴森里奈《さえもりりな》が始めた 僕の物語。
そう、これが僕、影井ひなたの人生の始まり。
「お母さん、僕、学校行きたくない。」
「ひなたなら大丈夫よ。貴方なら行けるわ。頑張ってね!」
「うん、分かった。ありがとう」
なんで、学校なんか行かなきゃいけないんだ。
学校に行っても虐められるだけだ。
また虐められるくらいなら死んだ方がマシだ。
もうこんな日々を送りたくない。
それならいっそ飛び降りよう。
「お母さん、先にいくね。」
「行ってきますでしょ。まぁいいわ。行ってらっしゃい。」
そう言って僕は学校では無く。
屋上へと向かった。
「今日は、僕の命日か。」
「やり残した事も無いし、そろそろかな。」
そうして僕は飛び降りようとした。
僕が飛び降りようとした時、誰かが階段を登ってくる音がした。
「ちょっと待ったー!」
「は?え、」
初めて、人を下敷きにして倒れ込んだ。
「ダメだよ!飛び降りちゃ!いろいろ疲れたんだと思うけど、命を無駄にしちゃダメ!」
「別にいいじゃないですか。楽しい事なんて何も無いですし。 」
「じゃあ、残りの人生、私に託してみてよ!絶対幸せにしてみせるから!」
「今、幸せになりたい訳じゃないです。ずっと前から幸せになりたかったので。」
「まぁまぁ、そう言わずに!あ、私!冴森 里奈って言うの!よろしくね!」
「え、えっと、よろしくお願いします?」
何言ってるんだ僕。
よろしくなんてしない。しちゃいけない。
頭では分かっているのに。
言葉にしてしまった。
「私、君の名前知ってるよ!影井ひなたちゃんでしょ!?」
「うん、」
「ずっと話してみたかったんだよー!」
そんな訳ないだろ。
僕なんかと話したって何の得もないのに。
次回、ひなたの人生、考えが少し変わる。
かもしれない。







