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ほむぺ⋆*
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#あべさく
めかぶぷりん
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ファントムが消えた翌日は、皆が疲労困憊で出社することは叶わず、更にその翌日に特務調査局に集まる事になった。
いろいろ、聞きたいことが山積みだったけれど、体調が優先だったから致し方ない。
事務所を閉め、中央のソファに集まる。深澤、渡辺、向井が一つのソファに座り、向井の横にあるひじ掛けに佐久間が腰かけ、深澤の近くの壁に寄り掛かって岩本が立っている。その向かいのソファに宮舘、阿部、ラウールが座り、目黒は阿部の真後ろに立っている。
それぞれの場所で起こった出来事は順々に話していき、共有をする。けれど皆が一番知りたいのは、最後だろう。
一斉に、宮舘に視線が向いた。
💜「舘さん。何があったか話してもらっていい?」
宮舘以外に、あの状況を理解していた者はいない。だからそう促すと、宮舘はふうっと息をついてから「分かった」と頷いた。
❤️「先に言っておくと、芙蓉の目的は俺も分からないよ。どうしてあそこにいたのか、何がしたかったのか……」
💛「舘さんが分かる範囲でいいよ」
❤️「了解。芙蓉が現れたから、目的を探る為に芙蓉の心の声を聴いてたんだけど、その時に手伝ってほしいって言われたんだ」
💜「手伝う?」
❤️「そう。ファントムを消す為に、貴方の願いを使わせてってね」
💙「お前それ、簡単に返事したのかよ!」
❤️「翔太、落ち着いて。あの時、みんなの願いは阿部を救う事、ファントムを倒す事だったでしょ。多分これは共通認識だったと思う」
💜「それは、まあ」
🩷「あいつ許せねえって思ってたし」
❤️「その願いがあればファントムを倒して阿部を助けられるって言われたから、その通りにしたってこと。俺が選ばれた理由は、他のみんなと違って芙蓉を敵対視してなかったのと、話が早そうだったから。みんな頭に血が上ってたし、前回のこともあるから芙蓉にいい感情なかったでしょ?」
🧡「当たり前やん! むっちゃ腹立っとったわ」
🖤「むしろ何で舘さんがすぐに芙蓉の味方できたのかが分かんないっす」
❤️「俺はちゃんと阿部の意見も聞いてるから。みんな私情、挟みすぎ」
うっと何人かが声を詰まらせている。
自覚はあるようだ。
❤️「あのままじゃ俺たちはやられてただろうし、阿部がまた連れて行かれることになったらって思ったら、提案に乗るしかなかったのも事実。それは分かるよね」
💙「分かるけど。願いを使わせるのって危険なんじゃ……」
❤️「前の時とは状況が違うし、俺の願いで芙蓉の何の願いが叶うかは分からないけど、必要なおまじないをしてないから、あまり酷いことにはならないと思ってる」
おまじないというものに、芙蓉は固執していたように思う。芙蓉の本当の願いを叶える為に、あの巨大な蕾が必要で、それもおまじないの一種であり、阿部の胸の痣もおまじないだった。けれど今回はそれがない。
緊急事態だから、と芙蓉自身も口にしていたのだから。
❤️「とにかく。俺は最善だったと思ってるよ。何より、阿部が無事なことが重要でしょ」
💚「え、俺?」
キョトンとした様子の阿部に、なんでそこで疑問形なのかとため息をついたのは何人いただろうか。
💛「お前に決まってんだろ。俺らが何の為にずっと動いてたかわかんねえのかよ」
💚「いや、そういうわけじゃないけど……」
💙「阿部ちゃん、まだ熱ある? 今日、いつもよりボーっとしてないか?」
💚「それは平気。昨日たっぷり寝れたから……めめの家で」
🖤「俺がずっと見てたんで、体調は大丈夫そうです」
💚「ホントに貸し出されることになるとは思わなかった……」
まともに動くことのできなくなっていた阿部を連れて帰ったのは目黒で、そのまま家に泊めてくれと岩本と深澤に頼まれたのも目黒。
完全なる世話係と、寝返ったフリをしてまで阿部を助けに行った労いの為ということだった。
💜「それで? 阿部ちゃんの方はどうなの? どうして攫われたのかって、何か聞いてる?」
訊ねられて、阿部は口を噤んだ。
正直、言うのは躊躇われる。これまでずっと隠してきたから。隠さなければいけないと思っていたから。
でももう、状況が変わった。明らかに狙われている。それも、星喰みの時から。確かにあの星喰みは「捕獲依頼が出ている」と言っていた。更に引っかかっているエルセリオンでの失敗の文字。そして今回のこと。
これ以上、隠し続ける方がみんなの為にならない。
だから。
💚「……聞いてほしいことがあるんだ。俺の、特別な力について」
唐突な話に、数人が顔を見合わせる。
一体、なんの話をしているのだろうか、と。
それでも口を挟むような者はいない。皆が、阿部の次の言葉を待っている。だから阿部は大きく息を吐き出した。
💚「俺の異能が電子と電気なのはみんな知ってるでしょ。元々は電子だけで、あとから電気も授かったんだけど」
💜「ああ、あのコンビニの時のね」
💚「そう。ふっかといた時に銃を持った人たちが入ってきて、その時の犯人が雷系の異能を持ってたんだよ。それを浴びた時に、コンセントが浸かった濡れた床にも触っちゃって感電して、そこから電気の異能も持つことになった」
それは、阿部が小学四年生の頃のことだった。
💚「電子と電気って相性が良くて、俺は勉強も好きだったし、電脳空間で情報を集めるのは楽しくて仕方なかった」
🤍「わかる。阿部ちゃん、今でも楽しそうだよね」
💚「うん。当時は小学生だったし、その辺の加減がわかんなくて。だから知識としていろんなことを学んだ。それで、電脳空間の中で他の人の異能を見て、それがどういう異能なのかを分析したことがあるんだ。その異能を仕組みまで理解できた時に、一つの本が浮かんだ。《アルカナム》って書かれた、魔導書みたいな本。そのページが勝手に開かれて、見たら、俺が分析した異能の名前と、どういう用途で使えるのか、仕様書みたいなものが書かれてた。そこに書かれてたのは《電磁波》。俺が最初に学習した異能だよ。俺はその使い方を見て、自分の電気から応用できるなって思って、よく使ってる」
🤍「だから電磁シールドとか電磁浮遊とか、そういうの使えるんだね」
コクンと頷いて返す。
💚「それから、電脳空間で異能を見る度に、俺がその異能について考察して、理解をするとページに異能が書き足されるようになった。だからどんどん学習して、理解して、その本を埋めるのが楽しくなったんだ」
🩷「ああ、想像できるね。阿部ちゃんは止まらなさそう」
💚「でしょ。あらゆる情報を学習、蓄積する力。電子と電気と、俺の頭脳があって初めて形になる力で、正式名は《電脳総命》。アルカナムに登録された、俺だけの力」
🧡「異能じゃないん?」
💚「そう。登録はされたけど、異能とは判断されてない。説明も、異能として扱われてなかった。多分、誰もが持てるわけじゃないんだ」
🤍「電脳……確かに、電子だけでも電気だけでも成立しないね。学習しようという意欲とか、好奇心とか、蓄積できるだけの記憶力とか、そういうのが全部合わさってできたってことか。それに加えて、阿部ちゃんは解析したり理解したりっていう部分も秀でてる。だからこその能力だね」
ラウールに言われて、阿部は苦笑を浮かべた。
💚「ある時ね、思っちゃったんだ。本に書かれた異能って、実際にどうやったら使えるんだろうって。俺がそこで試したのは、ふっかの鋼の異能」
💜「俺の?」
💚「一番近くで、よく見てたから。ふっかに、どうやってるのって訊いたこともあったし。だから試して、小さいけど鋼を生成することができた」
その場の、空気が驚きに変わる。
阿部は一貫して、まるで絵本を読んでいるかのように穏やかに話すものだから聞き流しそうになったけれど、今、何かとても重要なことを聞いたような気がしたのは、メンバー全員同じだったらしい。その表情を見れば分かる。
それでも阿部の口元に浮かんだ微笑は消えない。
💚「その時は、やった、できたって喜んで。他のものも試したくなった。全部小さいけど、物を少しだけ動かしたり、手を見えなくしてみたり、それはホントに、純粋な好奇心だった。だけど、自分が授かったわけじゃない、他人の異能をそう簡単に扱えるわけなかったんだ」
阿部の顔から、笑みが消えた。
💚「その日は、公園から帰る途中だった。前を歩いてた幼稚園くらいの男の子がね、横断歩道で転んだの。だから大丈夫って声をかけて、起こしてあげて、一緒に横断歩道を渡り切って。バイバイって手を振って歩き始めて、ブレーキ音に気付いて振り返ったらその男の子に車が凄いスピードで向かって来てて、俺は無意識に、異能を使ってた。周りの景色が、全部止まったんだ。俺以外の全部が。使ったのは、《時間停止》の異能だった」
💛「……時間停止……」
💚「でもそんな、事象や時間に干渉する異能を、他人がノーリスクで使えるはずないよね。10秒くらいで異能は解除されて、危ないって思ったら、車が全然違う方向に避けてった。これは《偏向》、動いているものの進行方向を逸らす異能ね。直撃は免れたけど、今度はその車が電柱に激突して炎上して、《驟雨》の異能を使った。短時間だけ雨を降らせることができるから。この時点でもう、とっくに俺の異能のキャパなんか軽く超えてる。だから、俺の中にあったアルカナムが具現化して、その中の異能が勝手に使われ始めた……飽和暴走だよ」
誰かが、息を呑んだのがわかった。
💚「その辺り一帯が陥没して、木が炭になり、快晴なのに落雷があちこちに発生して、人は灰になった。それでも異能は止まらない。蜃気楼が出て、花は枯れて、青空に星が浮かぶ。もう、何が何だか分からなかったよ……それでも俺は、泣きながら思ったんだ。元に戻さなきゃって。だから本の中にあった異能を、今度は自分の意思で使った。その時に使ったのは、全ての時間を巻き戻す《遡行》、人の傷を治す《極光治癒》、以前の状態に戻る《回帰》、そしてそこにいる人々の記憶を残しちゃいけないと思って、《記憶混濁》と《記憶改変》を使った。この時は、《記憶消去》の異能は見てなかったから」
また、淡々と話す阿部。
何でもないことのように。けれど先ほどとは違って笑みはない。
💚「結局、遡行と回帰の異能のおかげで俺の飽和暴走もなかったことになって、すぐ、そこから離れた。やってしまったことの重大さと、持っている力への恐怖。あの感覚は、今でも忘れられない」
自分の両手を見つめる。
僅かに震えている手を、後ろに立っている目黒がそっと包み込んでくれた。だから阿部は息をつき、微笑む。
💚「それから決めたんだ。もう、二度と同じ過ちは繰り返さないって。そして、電脳のことは誰にも言わない。この秘密は死ぬまで守るって、そう決めた。まあ、今、破ってるわけだけど」
そこでようやく、阿部の空気がいつもの柔らかいものへと変わる。
誰かが、息を吐き出した。
ぎゅうっと、隣のラウールが阿部の体を抱きしめる。後ろの目黒が阿部の頭を撫で、逆隣の宮舘が背中をポンポンと優しく撫でてくれる。
🩷「阿部ちゃん……話してくれて、ありがと」
佐久間が、優しい笑みを向けてくれる。
💛「今まで辛かっただろ。一人で抱えられるもんじゃねえよな」
岩本が、共感してくれる。
💙「言ってくれて良かったのに。水臭いだろ」
渡辺が、少し呆れたような顔をしている。
🧡「せやで。力になれるか分からんけど、話はいくらでも聞いたる」
向井が、太陽のような笑顔を向けてくれる。
💜「阿部ちゃんはさ、話してみてどう思う? やっぱり話さなきゃ良かったって思う?」
深澤が、いつもの調子で訊いてくれる。
だから阿部は、ブンブンと強く頭を振った。
💚「なんか……なんでずっと言わなかったんだろうってくらい、胸がスーッとしてる。みんなが危険だからとかって建前を作ってたけど、違う。ホントは、怖かったんだ。みんながどんな反応するのか、正直、怖かった。ここは俺の大切な場所で、みんなは家族で、それが、なくなるかもって思ったら、怖かった」
🤍「もー、信用ないなー。佐久間くんとか康二くんじゃないんだから、そんな話聞いたって大げさに驚かないよ」
🩷「俺らだってそんな反応しねえよ! な?」
🧡「そうやで! さっくん、俺らも心外よな?」
🩷「なー」
💜「お前らは違う意味で煩いんだよ。大体、今の話、どんだけ理解できた?」
佐久間と向井は顔を見合わせ。
🩷「阿部ちゃん、やっぱすげー」
🧡「阿部ちゃんって何でもできるんやな」
💛「まあ、お前らはそのくらいでいいと思う」
🖤「阿部ちゃんが凄いのなんて、今に始まったことじゃないし」
❤️「そうだね。阿部が異能を応用してるの見すぎてて、他の異能が使えるって言われても、そうなんだね、くらいだよ、俺らは」
💙「こんくらい慣れっこだよな」
🤍「言えてるー」
あははっと笑いながら話しているみんなが、キラキラと輝いて見える。
💚(ああ。だから俺はここが好きで、ここが大事で、みんなが好きで、みんなが大切で、だからこそ守りたいって思うんだ)
だからこそ、伝えたい。
💚「みんな、ありがと……大好きっ!」
阿部の頬を涙が伝う。それでも最高の笑顔をしていて、その笑顔と言葉に、珍しく全員が阿部を抱きしめたのだった。
コメント
6件
最後の💚の言葉に笑顔に皆んなそりゃ抱きしめたくなりますよ😭 本当に素敵な光景が脳内で映像化されました💛💜🤍💙🧡💚🖤❤️🩷 貸し出された案件も最高に気になります🖤💚笑。

ずっと抱えていた物を吐き出して 少し楽になったのかな。 貸し出されたのですね🖤に 番外でそこを読みたいな🥰