テラーノベル
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少し重たいywsynです。
死ネタです。
苦手な方は🔙お願いします。
まあまあシリアス調です。
展開早すぎて場面が飛び飛びな気がするので後日文章をちょこっと変えてるかもしれません…
ごりっ、ぼり。
そんな音が部屋に木霊する。
冷たい光を放つ蛍光灯の台所の下で、毎晩俺は骨を擂り、粉状になったそれを口にする。慈しむように、無駄に、ならないように。
歯に、擂りきれなかった硬いものが当たる度に、俺は君を思い出す。
大口を開けて笑う君に、レモンを少しかけた苺の味をした恋をした。世間一般的な性別の壁を思い出し、火にかけすぎたビターチョコの味をした愛を知った。
そんな愛を、頬を赤らめながら受け取ってくれた君は「俺も、好きやったんよ…じゅうのこ、と…」そう言って、俺の唇に、口を羽のように軽く押し当てて、キスをした。その時の味は、大好きな生チョコに生クリームを少し入れた、溺れるような甘さだった。
そうやって、愛を交換して、味わって、互いに材料を入れて、コクを出して、そんな日々がずっとこれからも続くものだと思っていた。
俺は今、二十七になろうとしている。君に告白したのが、十七の時。君に名前を呼ばれたいと願う度、俺の心は十七の時に戻っている。
去年、君が骨になってしまったから、俺には、これからの余生を共に歩む愛する人がいない。
君は骨になる日まで、アイドルとして俺の隣にいた。
人の笑う姿が好きだからアイドルになった、君はと言った。
「じゅうは、俺に笑てほしいやろ?それと同じ」
ひだまりの中で、そう柔らかに笑う姿が、俺だけに見せてくれるみたいで、今ずっと好きだ。
大きく口を開けて笑う君の姿が俺は好きだった。
その表情を見る度に、心臓が不意に空回りしたように跳ねる。
君のそんな顔が好きなファンは、君がその表情をしなくなったら忽ち、冷めてゆくのだろう。そんな愛で君を推さないでほしい。君に対して、烏滸がましいと思った。
「しゅんは、俺がアイドルやっていなくても愛してた?」
君は少し目を開き、そして口を開けた。
「愛しとるよ、じゅうが俺の運命やから」
そう言って、君は俺の額に唇を落とした。確か、意味は…
「祝福」
「やって、運命の相手に出会えたことに祝福したいんやもん」
少し拗ねたように、そう君は言った。
それにふつふつと煽られた心が理性を抑えきれず、君の首に思い切り喰らいついた。
博識な君ならば分かるだろうこの意味を、わざと、俺は口に出さない。その代わり、口角を少し上げて君を煽り立てる。
そうすると君は、みるみる顔を茹で蛸のように紅くして恥ずかしさからかこの場から逃げ出そうとする。
そんな君の腰に腕を回して、拘束して、戯れあって、二人でくふくふと笑った。
これが幸せの形だと、俺は知った。
幸せな味は、蕩ける濃厚なチーズのような味がした。
これから、二人で幸せを築いてゆくんだと思っていた。
だから、君が隣からいなくなるなんて思わなかった。
事実として君は人の悪意によって命を奪われ、骨として帰ってきた。
目の前で君の輝きが消える瞬間を目にした。
どすりと、深く刺されたナイフが、君から血を流した。
救急車を呼ばなければいけないことは知っている。なのに、俺は呼ばなかった。
その姿がやけに神秘的で、目が離せなかったから。
皆んなが焦っている声が、遠くに聞こえた。
俺を呼ぶ声が聞こえた。
その声だけは、はっきりと聞こえた。
「じゅ、う…なぁ、俺のこ、と…ずーっと愛して、な…?いっしょう、のおねがぃや、から…」
そう言って君は死んだ。家族のことじゃなくて、俺のことをエンディングに選んでくれた君の爪先にそっとキスをした。
その味は、君の好物のラーメンのようなこってりとした味ではなかった。
ネタをとった酢飯のような、酷く、あっさりとした味だった。
だから、君との愛の味を忘れたくなくて俺は君の骨を食べることにした。そうすれば、君も、君との日常も色褪せないと思ったから。
この淋しさが紛れると思ったから。
そうして、骨を食べることが毎日の日課となった。
期待とは裏腹に、君の骨だけが少なくなるだけで、俺の淋しさは増えてゆくばかりだった。
メンバーも、事務所の先輩後輩も、話してくれる学生時代の友人もいる。
なのに、隣を見ても、どこを探しても、君はいなくて俺は、成す術がないほど孤独だった。
君を火葬した日、君の家族は遺骨を受け取らなかった。「舜太が一番愛しているのは、悔しいけれどきっと貴方だから」と俺の手に君が乗っていた。
それから帰って、君の骨で自慰をした。残るものは無いもなくて、虚しい自慰だった。君とのセックスがただただ、恋しかった。
それほどまでに、孤独だった。
そんな生活をのらりくらりしているある日、はやちゃんと二人で俺の部屋で酒を呑もうという話になった。
その時、流石は最年長というべきか、はやちゃんに「お前、舜太のことはわかるけど…最近ずっと上の空だよな、別に活動に支障はないから一先ずはいい、けど、な…」と指摘された。
「すまん、考え事をしてた」
「へぇ、何を?」
これはきっと、彼なりに俺の気を楽にさせようとしている、そう思った。
だから、俺は軽い口調で返した。
「いや?考えてもしょーがないこと」
「そうか。それにしても…なぁ、部屋綺麗すぎない??」
「はやちゃんが適当すぎるだけだろ」
そう、くつくつ笑い合って次の話題を話し始める…筈だった。
どうしてか、涙が溢れて喉がつかえた。
「…大丈夫だ。今は思いっきり泣け。俺しか見てない」
はやちゃんは、俺の背中をさすり続けた。
それから、俺の心が落ち着き、部屋を見回していたふと彼は思ったらしい。舜太の骨はどこに安置されているのだろう、と。
俺は彼には正直に話そうと思い、口に出した。
「食べている」
彼は少し目を見開き、それから「それなら舜太は最高の見送られ方をされてるんだな」と肯定した。その時に、「骨ってどんな味なんだろ…」と聞こえたから、俺は答えた。
「愛の味」
はやちゃんは聞こえてると思われていなかったらしく、ごめんと謝った。
でも、今度は聞こえる声で、「愛は不味いんだな」と彼は言った。
そう言われて、「そうだな」と返した。
はやちゃんを見送って独りで考えてみる。俺が立ち直るのが遅いのだろうかと。
いや、でも皆んなが早すぎるのかもしれない。メンバーも、彼のファンも、全体のファンも。
相対的に見たら遅いかもしれないけれど、それほどまでに君を愛していたんだから仕方ない、と思う。きっとそうだ。愛した人を亡くした時に生まれる心の穴は、もう修復不可能なのだ。彼でしか埋められないのだ。彼とぴったりと合うように俺の穴は作られていた。
そう、それだけの話。
俺は、骨を口にするたびに、告白した時のはにかむ十六の君を思い出す。
今日も俺は、君を愛した物語を感傷に浸りながら、君を喰む。
コメント
4件
初めまして、 表現方法がほんっとうにものすごく好きで😭 物語の内容も重くて……それでいて🤍なりの激重な愛が感じられてめちゃくちゃ良すぎます‼️‼️ フォロー失礼します🙇♀️🙇♀️
初 💬 失礼します 🦢♡ 『 レモンを少しかけた苺の味 』『 火にかけすぎたビターチョコの味 』 序盤でこれを見てなんでこの表現なのだろうと疑問を持ったんですけど 🤍さん が発した『 愛の味 』でなるほどなって思いました ❕💗 凄く愛が重くて 、 けど目は離せなくて 、 とっても素敵な作品でした 🫶🏻💘 フォロー失礼します 🫰🏻
るる
267
#M!LK
はる☻
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