テラーノベル
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⚠露中です 地雷の方は戻ることをおすすめします。
朝早くに玄関のチャイムがなった
「こんな朝早くに誰だよ… 」
寝起きの重い体を引きずって中国は玄関のドアを開けた
するとそこには大男が静かに立っていた。
「……はじめm……」
つい本能的にドアを閉めてしまった。
もう一度ドアを開けるとやっぱり、さっきの男が立っていた。
黒いコートを身にまとい、まるで真冬のような男だった。
「啊…どちら様?」
「……隣に引っ越してきた、ロシアだ」
「これ近所の挨拶だ」
そう言うと差し出されたのはイチゴの手作りジャムだった。ジャムを渡されたと思うとすぐ次のところへ挨拶をしに行ってしまった。
時計を見ると家を出るに10分前になっていた
「哎呀!? もうこんな時間!」
急いで部屋に戻り、仕事用のスーツを着る。せめてなにか口にしておこうと思い着替えてる間にパンも焼いた。
「あ、さっきもらったジャム…せっかくだし付けるか」
ささっとジャムを塗って、そのまま口にくわえて家を出た。そのジャムは甘すぎず程よく酸味もあって、とても我好みの味だった。 見かけによらず器用な奴だ。
──午前11時。
無事会社には間に合った。
モニターの数字と睨めっこしながら、指先でマグカップをくるくると回す。
(やる気、出ない……)
腕を伸ばし、資料のフォルダを開き直した。
だが、視線は集中できず、さっきのことが妙に脳裏をかすめる。
──イチゴジャムの大男。無表情。やけに静かで、声が低くて。
朝の玄関先で交わした、数秒の会話。無言の視線。
(……変なヤツだったな)
「引っ越しの挨拶だ」
ただそれだけ。にも関わらず、なぜか印象が強い。
(なんで、あんなのが頭に残るんだよ……)
我ながら不思議だった。別に会話が弾んだわけでも、優しくされたわけでもない。
むしろ無愛想。冷たそう。第一印象だけで言えば「関わりたくない系」。
──けど、なぜか気になる。
そこまで考えたとき、後輩が声をかけてきた。
「中国さん、聞いてます? ここ間違えてて──」
「あー……ああ、悪い。ちょっと考え事」
「えっ、仕事中にですか?珍しいですね」
(……自分でもそう思う)
そう返しながら、マウスを握りなおす。
そのとき、思考のの隅にちらりと映る、イチゴジャムの大男のイメージ。
──いや、いやいや。
(考えるな。仕事に関係ない)
自分に言い聞かせるように、画面に集中し直す。
けれど、頭のどこかがまだその“隣人”を完全には手放していなかった。
翌日の朝のオフィスは、ざわついていた。
新しい期の始まりとともに、今日は新入社員の配属初日。会議室には緊張した空気が漂う。
中国もいつもより少しだけ背筋を伸ばし、資料を確認していた。
そんな中、上司が重々しく口を開く。
「今日から新しい仲間が増える。配属は我々の部署だ。みんな、よろしく頼む」
ざわりとした声が部屋のあちこちから上がる。
そして、扉がゆっくり開いた。
そこに立っていたのは、昨日隣に引っ越してきたあの男だった。
黒いスーツに身を包み、背筋をピンと伸ばしている。
彼の冷たい瞳が部屋を凍らせた
その表情はいつもの無愛想なままだった。
中国の視線が自然と彼に吸い寄せられる。
(あいつ……まさか、同じ会社……?)
上司は続ける。
「彼の名前はロシア。今日から我々のチームで働くことになる。中国、君は彼のフォローを頼む」
中国は咄嗟に、「えっ」と声を漏らす。
心の中で叫んだ。
(なんで我が……!?)
だが、ロシアは黙って微かに頷くだけだった。
彼の存在が部屋の空気を引き締める。
仕事が始まると、二人は自然と隣り合った。
中国は書類を整理しながら、チラリとロシアの様子を窺う。
無言で淡々と仕事を進めるロシアの姿に、周囲は少し戸惑いながらも好奇心を隠せなかった。
「なあ、中国さん、あの人すごく格好いいよな」
「ロシアさんって、どこの出身なんだろう?」
同僚たちの話し声が耳に入るが、中国は無表情を保つ。
ある瞬間、二人の視線が交差した。
ロシアはわずかに眉を緩め、ほんの一瞬だけだが柔らかい表情を浮かべた。
中国の心臓が跳ねた。
(……な、なんだ今のは?)
仕事の合間、ロシアがふと中国に話しかけた。
「……よろしく」
言葉は少なかったが、確かな温度を感じた。
中国は言葉を返そうとしたが、すぐに視線を逸らす。
その日は何事もなく終わったが、帰り際、ロシアは扉の前で立ち止まり、小さな声で言った。
「明日も、頼む」
振り返らずに去っていく背中を、中国はただ見つめていた。
(変なやつ…イチゴジャム男め…でも、なんでこんなに気になるんだろう)
胸のざわつきが止まらなかった。
To Be Continued…
コメント
12件
うぅわ好きすぎる 天才ですか???☆
イチゴジャム男というワードめっちゃ好きになったんだけどありがとう(?)
えこれ絶対テラノーベルに出していいレベルじゃない🤯こんなに文才あるのに無料でこの世にながしてるのおかしいほんとにお金払いたい好きです🥺🥺