テラーノベル
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「あっ、忘れ物したから元貴先帰ってて」
僕の家で開催したクリスマスパーティーが終わってさぁ帰ろうと玄関に向かった若井がそう言った。
「わかった、じゃまた明日ね」
元貴に手を振ってドアが閉まる。
はて、忘れ物なんてあったっけ、と部屋に戻ろうとする僕の手は若井につかまれた。
「忘れ物、これ。渡すの忘れてた」
「···プレゼント?」
そこにはクリスマスデザインの袋があって、けどさっきプレゼント交換はしたけど、と思いながらも受け取る。
「プレゼントはもう貰ったよ···?」
「これは俺からりょうちゃんへのプレゼント。さっきのは皆でどれがあたるかわからない交換だったでしょ」
「ありがとう···けど僕、あれしか用意してなくって···」
「あ、そういうんじゃなくて俺があげたかったから···受け取ってくれると嬉しい」
そんな風に言ってくれるならとありがたくもらって中を開けてみる。
「セーターだ···可愛い」
白のセーターに雪の結晶みたいな柄が入っている。あててみせると若井がうんうんって嬉しそうに頷いた。
「似合うよ、めちゃ可愛い。着てくれると嬉しいな」
「ありがとう、もちろん着るよ!嬉しい〜」
ふわふわしていてあったかそうで嬉しいなぁって思っていると若井の手が僕の頭をポンポンとたたいた。
「本当に可愛い。じゃ、俺帰るね、また明日」
若井はそう言って帰ってしまった。
プレゼントはすごく嬉しい。
けどこのプレゼントはなんの意味があったんだろう。
もしかして元貴にも用意してあったのかな?でもそれなら3人の時に渡せばいいし···?
若井がどうしてそうしてくれたのかはわからなかったけど、なぜかドキドキと鼓動が早くなるのを感じていた。
次の日、僕はさっそく若井に貰ったセーターを着ていった。
元貴と若井は先に来ていて慌てて椅子に座る。
「あれ、新しい服?」
さすが元貴、僕なんかよりオシャレなだけあって気づくのが早い。
若井は僕をみてニコッて笑うだけ···だから僕もなんとなく若井がプレゼントしてくれたこと言わないほうがいいのかなって思って元貴にいいでしょって言っただけで終わった。
僕と若井は先に仕事を終えて帰ることになった。
2人きりのタイミングで僕は改めてお礼を伝える。
「これ、本当に可愛いしあったかいよ!ありがとう」
「さっそく着てくれて嬉しい」
若井の手がそっと腕のあたり、ふわふわの生地を優しく撫でる。
やっぱりドキドキする。
なぜか昨日から若井といるとドキドキしてしまって、少し苦しい。
別に今までもハグとかもするし触られることなんてあるのになんだか触り方がいつもと違うのを感じる。
優しくて大切にされてるような触れ方な気がして。
「あの、お返しっていうか···僕も若井に何かプレゼントしてあげたくて。けど何がいいか悩んじゃって···何か欲しいものとかないかな?」
本当はサプライズで渡すのが一番いいってわかるけど服を選ぶセンスがなくて聞くのが妥当かと思って聞いてみちゃった僕に若井は笑っている。
「涼ちゃんのそういうところが好きかも。ほんとにいいのに、俺があげたかっただけだから」
「けど···なんかない···?」
「あるには、ある。けど、今はたぶんまだ貰えない。来年のクリスマスには···言えるかもしれない」
「···???分かった、じゃあ来年教えてね、その時はプレゼントするから!」
「···ありがとう」
1年かけて貰えるプレゼントってなんだろう?そう思いながらこんな会話をしたのが去年のクリスマスのことで、それからあっと言う間に今年もクリスマスが近づいてきて僕はそろそろ聞いてもいいんじゃないかなって思っていた。
この1年···あっと言う間だったけど、大きく自分の中で変わったのは若井への気持ちだった。
あの日からヘンにドキドキするんだ、若井といると。
そして特別なプレゼントはあれで終わりじゃなくてロケに行ったからとか、バレンタインデーだからとか、もちろん誕生日だからとか色んなタイミングで僕にプレゼントをくれた。
お菓子とかそういったものもあればピアスだったり洋服だったりした。
『このお菓子とっても美味しいからりょうちゃんにも食べてほしくて』
『このピアス似合うね、やっぱりすごく可愛い』
『こんな服もシンプルで綺麗だって思ったから···めちゃくちゃ素敵だよ』
そのプレゼントと一緒に贈られる言葉が更に僕をときめかせ若井がモテる理由がわかった。
好きになっちゃうよ、こんなこと言われたら。
贈り物を受け取るたびに若井が欲しいものを考えたけど結局なんにもわからなくて、好きなブランドのピアスをプレゼントに選んで僕は告白する為にデートに誘った。
選んだのは夜景が見える場所で雰囲気がいいし、カップルばっかりで僕らなんか気にしてないと思ったから。
「ごめん、寒いのに誘って」
「嬉しかった、ここ夜景すごく綺麗だね。キラキラしてる」
こんなところで告白してふられるのを想像するとぎゅぅ、と胸が痛いけどやっぱり雰囲気は大切だし···とプレゼントのピアスを差し出した。
「いつもプレゼントありがとう。欲しいものはやっぱりわからなくて···これはありがとうの気持ち」
「りょうちゃんが喜んでくれるとうれしいから···その服も、プレゼントしたやつだよね?着てくれててうれしい」
本当にそういうところに気づくところがズルいよ。
もっと大好きになっていっちゃうから。
「···僕があげられるものなら何でもあげたい。それは···若井のこと、好きだから。ごめんね、気持ちだけ伝えておきたくて···大好きです」
泣きたいわけじゃないのに胸が苦しくて気持ちがいっぱいいっぱいで声が震えた。
「ほんとに···?りょうちゃんが俺のこと···?」
驚いた声、当然だよね。
ごめんねって思いながら僕が静かにこく、と頷いたその瞬間、若井に抱きしめられていた。
「ほんとのほんとに?こんなことって···!俺もりょうちゃんが好き!大好き!」
「うそだぁ···」
そんなことある?若井がこの僕を?
思わずうそ、っていった僕の頭を若井は優しく撫でながらぎゅーっとしてくれる。
「嘘じゃないよ、大好き···。俺もりょうちゃんが好きだからいっぱいプレゼントを渡した···意識して欲しかったんだよ、俺のこと。りょうちゃんは俺の特別だって···」
「僕が若井の特別なの?うれしいよぉ···」
ようやく僕も若井を抱きしめる。
嬉しい、幸せ···。
じゃあ僕には教えてくれるかな?
若井の顔を覗き込む。
「じゃあ若井の欲しいものって何だったの···?答えがこの1年気になってしかたなかった」
「···今、貰ったよ」
「······?」
「りょうちゃんが、欲しかった」
····ほんとにこういうところが若井って感じ···。
「もうっ、そんなのあげる!若井にあげるから···ちゃんと全部もらってよ?」
こうして僕たちは付き合うことになり次の日は2人で仲良く仕事に行ったわけなんだけど···。
「おはよー」
「おはよう、元貴」
元貴から出る不穏なオーラに僕たちは顔を見合わせる。
「昨日はさぞかしお楽しみで?」
「···えーっと?」
反応困っているとスマホの画面を見せられる。そこには色んな人の投稿で僕と若井に似てる人が夜景スポットでデートしていた、と書き込まれていた。なかにはぼんやりとだけど抱き合ってる写真まで···。
「ネットで書き込まれてるんだけど!これ若井とりょうちゃんでしょ?!公衆の面前でなにやってんの!ったく、もっと話題に上がるようだったら新曲の撮影とかだったことにして2人でいちゃつくシーンありの映像撮影するからなっ!」
「「すみませんでした···」」
怒りながらもなんか少し嬉しそうにしてる元貴が怖いひと言を呟くものだから僕たちはさらに震えて顔を見合わせた。
「もうだいたいできてるんだ。さぁギターとピアノ頑張ってね♡」
コメント
5件
最後のセリフがこえーわ!!
💙の💛ちゃんへ1年かけて好きになってもらう作戦が可愛い🤭💗