一人の人狼

一人の人狼

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この世界には、人間と人狼がいる

どちらも見た目は変わらないけど、

人狼は人間を食べてしまう

人狼は剣で刺しても、燃やしても死なない

牢屋に閉じ込めて寿命を待つしかなかった

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まだ小さい頃の記憶、

「みんな？どんなときも信じ合おうね！」

リーダーでしっかり者の🦍さん

「でも人狼には気をつけなくちゃな〜」

面倒くさがりだけど優しい🍆さんと

「こんなかに人狼なんかいないですよ！」

元気で天然な⛄くんと

「俺が人狼だ〜〜！」

いたずら好きな面白い🐷

みんなは楽しくて大好き、

いつまでも 一緒に過ごしたい

だけど、

俺は人狼だから…

「…みんな、約束だよ？」

「もちろん！」

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🐷「あぁ〜勉強めんどくせ〜 」

🦍「でもしょうがないじゃん 」

「これから生きるためにはさ！」

🍆「先生とか厳しすぎ！」

「授業中に友達と話してただけで

怒られたよ！」

⛄「それは🍆さんが悪いですよww」

🐷「そういえば🍌、テストで人狼の問題

全問正解してたなぁ」

「…え、見てたんだ……」

🦍「えっ！すご！」

「そこ難しいよね！？」

「ち、ちゃんと予習したからですよ！」

🍆「やっぱ🍌は違うよな〜」

⛄「僕なんかテスト40点だったんよ…」

🦍「僕はそこそこかなあ…」

🐷「俺は200点！」

🦍「そんなわけ無いでしょw」

「ww」

「ははっw、………」

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やっぱり、自分が人狼だって思うと

みんなから離れたほうがいいとか

早く言った方がいいとか考えるけど

また俺が一人になるんじゃないかって……

ああ、ダメだな俺

みんなを信じられない

あのとき約束したのに

何も信じられない

毎日が、怖い

人が、怖い……

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「号外〜！号外〜！」

「人狼を見つける装置を作り上げたと

王宮の研究所が発表〜！」

え、？

『王宮の研究所、人狼を滅殺できる装置の

開発に成功』

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🦍「みんな！新聞見た！？」

⛄「見ました！人狼を見つける装置！」

🍆「今日学校でやるらしいよ！」

🐷「これでみんな安全になりますね！」

……もうお終いかなあ……？

⛄「🍌？嬉しいよね！」

「…、うんっ」

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🐷「今思ったんだけど…このクラスに、

人狼がいることもあるんだよな…？」

🦍「……そうだね」

🍆「それはやだな…今まで仲良くしてたのに…」

⛄「まだ決まったわけじゃないから！」

「……そうだよ…」

🦍「……🍌？」

もう、無理なんだ

……ごめん、…みんな

騙してて…

「……さようなら、元気でね」

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俺は逃げ出した

そのときのみんなの顔は見てない

見れなかった

でも、みんなはきっと、

俺が人狼だって気付いたと思う

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あれから10年近く経った

俺はすっかり大人になった

深い森の中で暮らしてる

森には危険な動物たちがいて

人間は近寄らないから

のびのびと過ごしてる

……誰かと話したいと思った

だけど森を歩き回っても、誰もいない

他の人狼は全滅してしまったらしい

それで町に出ても

あの装置を通らなければいけない

「…俺は一生このままなのかな？」

そう思ったら、涙が出てきた

「どうして人狼は

こうでなくちゃいけないの？」

「共存できる道はないの？」

泣きながら呟くけど

答えてくれる人はどこにもいないんだ

「みんなが羨ましいよ……」

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その次の日

今日は川で魚釣りでもしようと

川に行った

もう人間のことは忘れよう

殺されないだけいい

動物のみんなも居るし

大丈夫、………

「……🍌？」

「…え？」

聞いたことある、あの声

みんなだ…！

振り返ろうとしたけれど、

…俺は人狼だから

捕まえて牢屋に入れようとするだろう

……俺はみんなを殺したくない

だからすぐに逃げようとした

でも、

🦍「待って！！」

🍆「俺らは、もう一度会いたいと

思ってたんだ！！」

その言葉を聞いて立ち止まってしまった

「……本当？」

⛄「本当やから！

まだ生きてて良かったって思った！」

🐷「🍌！……だから行かないで」

それは嘘だ

早く逃げろ

じゃないと捕まえられる

頭では分かってるのに

体は動こうとしない

「……もう会わないって決めたの、

だから来ないでよ」

せめてもの抵抗

俺は人狼だから

簡単に信じれば、”死”……

「ごめん、みんなを信じられない………！」

その言葉を言ったら、みんなは黙ってしまった

でも、人種は超えられないじゃん

ああ、俺はどうすればいいの……

🦍「…🍌、覚えてる…？あのときの約束…」

どんなときも、信じ合おうね！

約束だよ？

⛄「そう言ってくれたのは、🍌やろ…？」

…そうだった、俺が言ったんだ

🍆「🍌の言ったこと、俺らは信じる」

🐷「もう一度話そうよ、みんなでさ？」

俺が馬鹿だったんだな……

みんなは約束通り信じてくれた

“信じ合う”

次は俺が

俺は振り返って

みんなに言った

「信じるよ」