テラーノベル
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期間はなんとなく解っていても、実際の体感時間と比例することはなくて、寧ろもう永遠に会えないのでは、とふと思う度にじんわりと心が締め付けられる。
お互いが長く育ってきた国を離れたタイミングで、全世界への配信をきっかけに声を交わして、胸の締め付けは更に強くなって、遂には声帯にまで影響してしまった。
「…めめ、」
もう会いたいんよ。軽くでもええから───背中ぽんぽんだけでもええからハグして欲しいんよ。地球の真反対に居ることが、今でも信じられへん。
そう連ねた言葉を配信中に発することなんて出来ることはなくて、ぎゅっと感情を抑えながら【アイドル】を徹することにした。
そんな気持ちも露知らず、彼に《あははっ、その寂しそうな「めめ」の声》なんて言われてしまったからには、恐らくもうファンの子にも俺の感情は筒抜けであって。
───いや、察しのええ子達はさっきの俺の声でもしかしたら解ったかも。知らんけど。
タイの気候は本当に気紛れなもので、予報も無視してスコールが訪れてきたりする。
そう思うと最近の天気予報アプリは本当に精度が上がっているなぁ、なんて思いながらイベント後の自由時間。
案の定何も準備しない内にスコールに見舞われて1人、適当な店頭で雨宿りしている俺であった。
「…傘、忘れた…」
はぁ、と重たい溜息を混ぜて独り言を吐く。
遠くの空は爽快な程に青い。間もなくこの滝のような雨もあがるのだろう。
何もすることがない俺は、スマホを取り出してふと通話履歴を開いて眺める。
さっきのこともあって、1番上に上がっている【めめ】の2文字が尚更たまらなく愛おしい。
今、彼がこの国に一緒にいてくれたなら。開いた傘とはまた別にもう1本別の傘を携えて、
『康二、天気予報見てなかったの?』
『何してんの?こっち入る?』
『康二?』
『康二。』
「っ…めめ…めめぇ…」
あかん。泣いてまう。ちゃうやん。向こうも仕事なんやって。めめが一歩踏み出そうとしてるやんか。解れって。…そもそも、そもそもな?
めめはこっちの【好き】の規模なんて知らんやん。