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王都から南へ3日。
そこにあるのは、かつて“煌”の始まりと呼ばれた場所――フューネル丘陵地帯。
七百年前。
初めて煌を発した“原初の者たち”が眠る地。
歴代王ですら近づくことを禁じられていた“聖域”。
アリアは、リネア、レイヴン、そして護衛部隊を連れてそこへ向かっていた。
「ここに……すべての始まりがあるの?」
「ええ」アリアは小さく頷く。
「そして、おそらく……この場所で、“全ての終わり”も始まる」
***
夜。
丘を望む仮設の野営地。
リネアは一人で、遠くの空を見ていた。
煌の光が、空気を揺らす。
眠る核が、丘の地下から“呼んで”いる。
「……こわいな」
「でも、アリア様が一緒なら、どこまででも行ける気がする……」
その声に、誰かが応じた。
「“依存”だな。そうやって、守られてるだけの女は、いずれ誰かを殺す」
その声は――ギルだった。
草の上に、いつの間にか座っていた。
「……ッ!!」
リネアが身構える。
「安心しろ。今は手を出さねえ」
「それに、ここで殺すと俺が怒られる」
「怒られる……?」
「“あいつ”にな。クレイズ・アークライト……」
ギルは小さく笑う。
「この場所を開くには、必要なんだよ。
煌王と、“器”。両方揃わなきゃ、扉は開かない」
「……扉?」
「この丘の地下には、封印されてる。“煌の核”の本体がな」
リネアの心臓が、再び脈打つ。
「……あんたたち、何が目的なの?」
ギルの目が、一瞬だけ静かになった。
「世界を壊すことだよ。
煌が“人を選ぶ力”である限り、苦しむ奴は消えねえ。
だったら、煌ごと潰してやる」
***
その夜、ついに“扉”が開いた。
丘の中心。
大地が震え、空が裂ける。
黄金の封印陣が現れ、アリアとリネアが歩み出る。
「これが……煌の根源……」
空間が歪み、異界の門が開いた。
「来るぞ――!」
レイヴンの声とともに、
黒い“何か”が、次々と門から溢れ出す。
それは、煌の光を持たぬ“模造体”――
【反煌兵《シャドール》】たち。
「くっ……数が多すぎる!」
護衛兵たちが次々に倒れていく。
アリアは前へ出た。
「全員、私の背後に!」
七色の煌が天を貫く。
“煌王アリア”、全力解放。
空が割れ、地が燃え、敵の群れが焼かれていく。
「リネア!!今よ!!あなたの煌を門に――!!」
リネアが叫ぶように両手を掲げた。
白い煌が門に流れ込み、封印が揺れる。
だが――
その瞬間。
「――“止めろ”。それを開けば、すべてが壊れる」
声がした。
丘の上に、黒衣の男が立っていた。
「久しいな、アリア」
クレイズ・アークライト。
煌王を補佐していた元天才学者。
だが十年前、突如として“煌の反乱”を起こし、追放された男。
「なぜ……あなたがここに……!」
「お前に問う、アリア・レグリス。
“煌”とは、選ばれし者だけが持つべき力か?
それとも――全てを蝕む呪いか?」
「煌は……希望よ!!」
「違う。
煌とは、“悲しみの結晶”だ」
***
世界が揺れる。
門が今、完全に開こうとしていた。
ギルが立ち上がる。
レイヴンが剣を構える。
そして、リネアが――アリアを見つめた。
「私……信じていいの?
この扉の先に、“未来”があるって……」
アリアは、震える手をリネアの手に重ねた。
「信じて。
あなたの煌は、誰のものでもない。
それは、あなた自身の――“生きる光”よ」
リネアが頷く。
その瞬間、門が――開いた。
👑To be continued…👑