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「環。そして、その力が本物ならばしっかりと向き合うべきだ」
「向き合う……」
「力は制御してこそ。ただ持っているだけならば、その力に振り回されることもある。俺達はそうは、ならないように環を助力したい。そして言える範囲でいい。環自身が、金色の炎についてわかることがあれば教えて欲しい」
杜若様のその言葉に、そうだ。私はここに自分と向き合う為に来た。
自分の人生をちゃんと歩むと言って家を出たのだ。
ゆっくりと深呼吸してから。背筋を伸ばして、私は初めて、十年前の出来事を喋った。
──ただし前世の九尾のことは伏せた。
それだけは絶対に言えない。
炎は偶々出来てしまったこと。
髪の色がそのときに変わったこと。
普段は蔵で過ごしていたから、能力とか使い方など全くわからない。
怪我の治りは早いなどと、自分のことをちゃんと話した。
話し切って、杜若様達がどう思うか不安でそろりと杜若様を見ると、膝の上で不安で硬くなっていた手を握られた。
「わっ」
「治癒能力……だから下働きを強要されていたのに、手も綺麗だったのか。とは言っても、あまり無理はしないように」
はいとコクコクと頷くが、掴まれた手は離して貰えなかった。
そこから杜若様達が相談するように喋りだした。
「杜若様。強い力を持つ者は往々にして突然、力に目覚めることがあります。それに伴い、前触れもなく体に変異を起こすことも、しばしばある。十年前の出来事は、その一環かと思われます」
石蕗様の言葉に宇津木様達が反応する。
「治癒に浄化以上の力なんて、希少過ぎて前例がなないですね」
「おまけに美人で、可愛いとか。杜若様が羨ましい。でも護衛のしがいがあるなぁ」
そんな会話が聞こえてきて、私は思わずその場に立ち上がりそうになる。
咄嗟に喉から『私はそんな風に思って貰う資格なんてない』『前世が九尾だったからなんです』と迫り上がった言葉を打ち消し。
ごくっと喉を鳴らして、ばっと立ち上がった。
「あのっ、皆様。私は今話した通りに自分の力のことも良く分かっておりません。妖のことにも精通しておりません。今後、色々と迷惑を掛けるかもしれませんが、頑張りますので改めて何卒よろしくお願いしますっ」
部屋に私の声が響き、一瞬しんたあと。
隣で杜若様が優しく笑いながら、ゆっくりと喋った。
「この通り、俺の妻はとても素直だ。今まで私が見合いをした令嬢達と違います。石蕗さん達には環に基礎的な妖、術のことを教えて上げて欲しいのです」
喜んでと御三方は頷く。
それを見てから杜若様は私を見上げた。
「環には重荷になるかも知れないが、力の使い方を学んで欲しい。そして、ハッキリと言っておくがその力が十全に振るえるなら俺に──杜若家にその力を貸して欲しいと思っている」
「私が力を貸す?」
「あくまで、自分の意思で問題なく使えるようになれば、だ。急かしはしない。例え力を扱えるようになっても、嫌なら断ってもいい。今は今後の選択の余地に入れていて欲しい」
はっきりと考えを言ってくれることが、ありがたいと感じた。
そして、ふと疑問が沸いたことをそのまま。舌に乗せた。
「分かりました。しっかりと考えます。あと……私がちゃんと力が使え無かったら……離縁されますか?」
「離縁?」
笑顔から一転。ピクリと不機嫌そうに眉を跳ね上げた、杜若様に弁解する。