テラーノベル
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この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
絶対に本人様や関係者の方に迷惑をかけないでください。
理解できない方、二次創作や架空パロディが苦手な方は、このままページを閉じるかブラウザバックをお願いします。
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○本作は実在のVtuber様のお名前をお借りした個人の妄想(世界観捏造・設定改変パロディ)です。
○スクリーンショット等の無断転載・SNSへの拡散も厳禁です。
ルールを守って、ひっそりとお楽しみください。
苗字は気にしないでいただけると…🙌🙇🙏
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【第二章 同じ言葉、違う答え】
人間が去ってから、七日が経った。
神社には、いつも通りの朝が訪れていた。
鳥の声。木々のざわめき。石段を照らす、柔らかな日差し。
何一つ変わっていない。
__変わってしまったのは、2人の心だけだった。
「ロウ、俺、決めました」
朝食代わりの木の実を並べながら、ショウが言った。
ロウは、口にくわえていた木の実をかじるのをやめた。
「…何を?」
「ここを出ます」
ぱき、と。
ロウの口の中で、木の実が割れた。
「…は?」
「神に仕える修行をしようと思うんです。もっと力をつけて、困っている人たちを守れるようになりたい」
ショウは笑っていた。
いつもと同じ、少し自信が無さそうで、それでも何かを決めたときの顔。
「ロウも一緒に_」
「行かねえよ」
言葉を遮られ、ショウは口を閉じた。
ロウは木の実を置いた。
「俺は行かない」
「…そっか」
ショウは困ったように笑った。
「じゃあ、ここで待っててください。俺、絶対に強くなって帰ってきますから」
「勝手にしろ」
今度はショウの笑顔が止まった。
「勝手にって…」
「俺は俺の好きにする。お前もそうすればいいだろ」
それは間違った言葉ではなかった。
誰かの選択を、誰かが決めることなんてできない。
ショウだって頭ではわかっていた。
それなのに。
「…俺たち、ずっと一緒にいるんじゃなかったんですか」
こぼれた声は、自分でも驚くほど小さかった。
ロウの耳がわずかに伏せられた。
「…いつそんな約束したんだよ」
ショウは何も言わなかった。
確かに、約束なんてしていない。
ただ、そうなるものだと思っていた。
明日も一緒にいること。
来年も一緒にいること。
ずっと先の未来にも、隣に相手がいること。
それが当たり前なのだと、疑いもしなかった。
「…ごめんなさい」
ショウは目を伏せた。
「困らせるつもりじゃなかったんです」
「別に、困ってねえよ」
ロウはすぐに答えた。
早すぎるくらいに。
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翠蓮
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ぽて
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だからこそ、ショウにはわかってしまった。
__ロウも困っているのだ。
でも、どうしたらいいのかわからないのだ。
ショウは一歩近づいた。
「じゃあ、最後にひとつだけ」
「…何」
「俺が強くなって帰ってきたら、また一緒に暮らしてくれますか? 」
ロウは答えなかった。
長い沈黙が流れた。
やがて、ロウはショウから目を逸らした。
「…さあな」
それが答えだった。
出発の日さ三日後に決まった。
ショウは、その三日間でできる限りのことをした。
境内を掃除した。
崩れかけた石灯籠を直した。
いつも2人で使っていた寝床を整えた。
ロウの好きな木の実を、いつもより多く集めた。
ロウはそれを見ていた。
何も言わずに。
手伝うこともしなかった。
ただ、ショウが目を離した隙に、木の実をひとつだけ懐にしまった。
誰にも気づかれないように。
出発の朝。
空は、ひどく晴れていた。
「…じゃあ、行ってきます」
鳥居の前で、ショウが振り返った。
白い尻尾が朝日に透けている。
ロウは拝殿の軒下に座っていた。
「おう」
「…ちゃんと、ご飯食べてくださいね」
「お前は俺の親かよ」
「心配しているんです」
「はいはい」
いつもどおりの会話。
いつもどおりのやり取り。
なのに、ショウは笑えなかった。
だって。
これが最後になるかもしれないから。
「ロウ」
「…何」
「俺、ロウのことが__」
言葉が止まった。
好きだ。
大切だ。
誰よりも一緒にいたい。
そのどれもが本当だった。
けれど、今ここで口にしたら。
ロウが困ってしまう気がした。
だから、ショウは別の言葉を選んだ。
「…また、会いましょうね」
ロウはしばらくショウを見つめていた。
そして、いつものように笑った。
「お前が帰ってきたらな」
ショウは頷いた。
何度も、何度も頷いた。
それから、鳥居をくぐった。
一度も振り返らなかった。
振り返ったら、帰りたくなってしまうから。
ロウもまた、追いかけなかった。
追いかけたら、行くなと言ってしまいそうだったから。
白い尻尾が木々の向こうへ消えていく。
その姿が見えなくなってから。
ロウはようやく、懐から木の実を取り出した。
ショウが集めたものだった。
「…馬鹿」
小さく呟く。
「そんなに、簡単に帰ってこられるわけねえだろ」
木の実を握る力に、力がこもった。
ロウは顔を伏せた。
誰といない神社で。
誰にも見られないように。
ただ一度だけ、声を震わせた。
その日の夕暮れ。
ショウは、山道の途中で立ち止まった。
遠くに、あの神社が見えた。
小さく、古びていて、今にも消えてしまいそうな場所。
そこにロウがいる。
そう思ったら、胸が苦しくなった。
「…大丈夫」
自分に言い聞かせる。
「強くなればいいんです。強くなれば、また一緒に__」
言葉が途切れた。
強くなれば。
変われば。
そうすれば、本当に元通りになれるのだろうか。
ショウは、まだ答えを知らなかった。
ただ前を向くしかなかった。
白い半狐の姿が、夕闇に溶けていく。
その頃、神社では。
黒い半狐が、1人で月を見上げていた。
月は、いつもと同じ形をしていた。
けれど、その隣に白い影はなかった。
ロウは目を閉じた。
「…帰ってこいよ、ショウ」
誰にも届かない声だった。
それでも彼は言った。
「…ちゃんと、帰ってこい」
風が吹いた。
境内の隅で、赤い彼岸花が揺れた。
白い狐は、変わるために歩き出した。
黒い狐は、変わらないために立ち止まった。
2人は、同じ言葉を聞いた。
そして、違う答えを選んだ。
__この日から、2人の時間は別々に流れ始めた。
コメント
1件
第2話、拝読しました……ロウとショウ、ふたりの「違う答え」がじんわりと胸に沁みますね。ショウが旅立つ朝、いつも通りの会話を交わしながら「これが最後かも」と笑えなかったやりとり、刺さりました。そして「帰ってこいよ」と誰にも届かない声で呟くロウの一線。木の実を握りしめる描写がもう切なくて。変わろうとする者と、変わらずに在ろうとする者。ふたりの距離感が丁寧に描かれていて、続きが本当に気になります……! 素敵な作品をありがとうございます🌷