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この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
絶対に本人様や関係者の方に迷惑をかけないでください。
理解できない方、二次創作や架空パロディが苦手な方は、このままページを閉じるかブラウザバックをお願いします。
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○本作は実在のVtuber様のお名前をお借りした個人の妄想(世界観捏造・設定改変パロディ)です。
○スクリーンショット等の無断転載・SNSへの拡散も厳禁です。
ルールを守って、ひっそりとお楽しみください。
苗字は気にしないでいただけると…🙌🙇🙏
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【第三章 白狐は祈り、黒狐は牙を剥く】
山の奥にある神域は、息が白くなるほど静かだった。
ショウはその静けさが少し苦手だった。
あの古びた社には、風の音があった。木々のざわめきがあった。そして、隣でいつも何かに文句を言っている、黒い狐がいた。
「…集中しろ、星導」
目の前の神職に声をかけられ、ショウは慌てて顔を上げた。
「す、すみません、」
「お前は祈るたび、どこか遠くを見ている」
「そんなことは…」
「ある」
ぐうの音も出なかった。
ショウは手のひらを見つめた。
まだ、何もできない。
誰かを守れるほど強くなりたい。もう二度と、大切はものを失いたくない。
そのためにここへ来たのだ。
なのに。
(ロウは今頃何してるんでしょう)
木の実を食べているだろうか。
それとも、誰もいない社で昼寝でもしているだろうか。
…もしかしたら。
自分がいなくなったことなんて、もう忘れているかもしれない。
「星導」
「はい」
「祈りとは、誰かを想うことだ。だが、想う相手に囚われ過ぎれば、お前自身が見えなくなる」
ショウは小さく頷いた。
その言葉の意味を、彼はまだ知らなかった。
ただ、胸元にしまった赤い几帳結び。握りしめる。
「俺は、強くなります」
誰に聞かせるでもなく、そう呟いた。
「今度こそ、ちゃんと守れるように」
その声は、神域の白い霧に溶けていった。
「お前、剣の才能あるよ」
そう言われたのは、ショウが去って半年ほど経った頃だった。
ロウは、山道で出会った旅の剣士の木刀をぼんやりと眺めていた。
「…は?」
「動きに無駄がない。獣の勘もある。鍛えれば化けるぞ」
「別に、強くなりたいわけじゃねえけど」
「なら、なんで俺の攻撃を全部避けた?」
「当たったら痛いだろ」
剣士は笑った。
ロウは笑わなかった。
強くなりたいわけじゃない。
誰かに認められたいわけでもない。
ただ_。
あの日、ショウがいなくなった。
それだけだった。
「…なあ」
ロウは木刀から目を離さずに言った。
「強くなったら、何でも守れんの?」
剣士はすぐには答えなかった。
「守れないものもある」
「じゃあ意味ねえじゃん」
「それでも、守れるものは増える」
ロウは鼻で笑った。
「…くだらねえ」
そう言いながら。
彼から差し出された木刀を受け取った。
理由なんて認めたくなかった。
ショウが強くなって帰ってくるのなら。
自分だって、弱いままではいられない。
あいつが変わることを選んだのなら。
自分は変わらないまま強くなればいい。
誰かの決めた正しさなんか、知ったことではない。
誰かに守られるために、待っているつもりはない。
「…俺は俺のやり方でやる」
ロウは木刀を構えた。
その目はかつてないほど鋭かった。
季節がひとつ巡った。
ショウは初めて小さな祈りを術に変えることができた。
掌に浮かんだ淡い光は、ほんの一瞬で消えてしまったけれど。
「…できた」
声が震えた。
嬉しかった。
嬉しかったはずなのに。
最初に報告したい相手が、ここにはいなかった。
「ロウ…」
名前を呼んでからショウは唇を詰んだ。
帰ると約束したわけではない。
待っていると言われたわけでもない。
それでも、あの社に戻れば。
いつもの顔で、
『遅かったじゃん』
なんて言ってくれる気がした。
一方、山道の小さな野営地では。
ロウが初めて自分の剣を手に入れていた。
黒く、柄には赤い紐が巻かれている。
その赤を見た時、彼は一緒だけ動きを止めた。
「…趣味悪」
誰に言うでもなく呟く。
それでも、赤い紐を外すことはなかった。
ふたりとも、少しずつ強くなっていた。
白狐は祈りを覚え、
黒狐は刃を覚えた。
白狐は誰かを守るために自分を変えた。
黒狐は誰にも自分を決めさせないために、力を手にした。
そして、ふたりの胸元には、
今も同じ赤があった。
ただし。
その赤が繋いでいるものをふたりはもう、同じ意味では見ていなかった。
ある夜。
ショウは、修行の合間に一通の手紙を書いた。
宛先はない。
そもそもあの社に郵便が届くはずもない。
それでも、書かずにはいられなかった。
『ロウへ
こちらは毎日、修行ばかりです。
正直、逃げ出したくなる日もあります。
でも、俺が決めたことだから。
ちゃんと強くなります。
ロウは、元気ですか。
ご飯は食べていますか。
木の実ばかり食べていませんか。
また会えたら、今度は俺が木の実を見つけます。
だからそのときは 』
そこで、筆が止まった。
そのときは。
何を言えばいいのだろう。
『仲良くしましょう』?
『また一緒に暮らしましょう』?
そんな未来を、まだ望んでいいのだろうか。
ショウは長い間、文字を見つめていた。
やがて、最後に一言だけ書き足す。
『元気でいてください』
手紙は封をされなかった。
届ける勇気がなかったから。
同じ頃。
ロウは古びた社の縁側に座っていた。
隣には、誰もいない。
手には、あの日からずっと持ち歩いている小さな木の実。
もう、とっくに食べられるものではない。
「…何やってんだ、俺」
ロウは自嘲するように笑った。
帰ってくる保証なんてない。
帰ってきたとしても、あの頃と同じとは限らない。
それくらい、分かっている。
分かっているのに。
社の入口に足音がするたび、ほんの少しだけ顔を上げてしまう。
そして、誰もいないと分かるたび、何事もなかったように目を逸らす。
「…別に。待ってねえし」
誰も聞いてない言い訳は、夜の静けさに吸い込まれた。
コメント
1件
うわあ…やっぱりこの二人、離れてるのに繋がってる感じが切ないなあ。ショウが祈りの修行で「ロウは元気かな」って思う気持ちと、ロウが社で足音に期待しちゃうところ、泣ける。特にショウが書いた手紙の『元気でいてください』が、一言で全部伝わってきてじんときた。守りたい気持ちが強さに変わるって美しいし、でもそのために離れてるのが苦しい…。続きが気になる💔