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酒を口に含んだ。僕は酒をあまり好まないが、君が好きだったから。
君は僕をおいて先に逝ってしまった。
任務中にデカイ妖魔に一口で殺られたらしい。骨も残らなかった。戻ってきたのは君が嬉しそうに話していたネックレスに通された指輪と中身の入っていない棺桶。
あの任務がもし、多数参加任務だったのなら。それがもし、僕も参加出来ていたなら。もし、僕が別の任務をしていなければ。もし、僕がその任務を放棄して君のところへ向かっていたなら。そんなことを言ったらきっと君は怒るんだろう?知ってるよ。でも、そう思わずにはいられないくらい僕にとって君は大切だったんだ。もちろん、代わりなんてない。
だから僕は君に囚われたまま。
きっと昨日ここに来た君の恋人も君の代わりなんて見つけられずに、この世を彷徨うのだろうね。
君は酒が好きだったね。飲み屋に行った時も、いつも僕が呑む3倍は呑んでいたよね。「ビールやチューハイよりも日本酒ばかり好んで呑んでいたから、日本酒を持ってきたよ。」そう言って君の痕跡のない新しい花の飾られた墓に酒を浴びせた。