テラーノベル
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休日なだけあって、大勢の人々がこのシブヤ駅の前を行き来している。
辺りは人の声で騒がしいはずなのに、何故か自分の鼓動しか聞こえない
ふと、自分のスマホで時刻を確認する
待ち合わせまであと10分…さすがに早く着き過ぎてしまっただろうか…
「ん?類?」
「司くん?」
顔を上げると司くんが少しだけ困惑した様子で話しかけてくれていた
「もう来ていたのか」
「少し早く家を出たつもりだったのだが…先を越されてしまったな」
彼も少しは楽しみにしてくれていたのだろうか…
「まあ、とにかく。おはよう。類!」
「ああ。おはよう。」
ああ…僕の顔が少しでも赤くなっていたらどうしようか…
緊張であまり言葉が出てこない…
普段のように過ごせば良いと分かっているのだけれど……
恋を自覚してからは、それが難しくなってしまったようだ
「ところで類!今日はおしゃれをしてきたのか!」
「いつもよりかっこよく見えるな…とても似合っているぞ!!」
かっこいい!?
そんなことを司くんに言ってもらえる日が来るなんて…
「み…瑞希に手伝ってもらったんだ…」
「そうか!さすが暁山だな!」
ありがとう、瑞希…
司くんに褒めてもらえたよ…
「類、今日は何から買うつもりなんだ?」
「細かい機械の部品からだよ。花弁などはすぐに買ったら持ち歩くのが大変になってしまうからね」
僕はスマホの地図アプリで専門店までの経路を表示して、司くんに見せる
「なるほど…その店は…ここの通りで…」
「…ふむ、大体の道はわかったぞ!」
「よし、ではさっそく!買い出しに行くとするか!」
「…司くん、そろそろ休憩しないかい?」
「ああ…そうだな…」
類と部品を探し回ってはや2時間。
様々な店に当たってみたが、どうしても、最後の部品だけが見つからない
だから、他の買い出しは先に済ませて、最後の部品を求めて歩き回っている
類いわく、どうしても必要な部品のようで、父親の伝手で手に入れることはできなくはないが、時間が掛かりそうだと言っていた。
だから、なんとしても今、見つけなくてはならない
「すまないね、司くん。こんなに歩かせてしまって」
「このまま見つからなかったら、すぐにでも演出を変えて…」
「それはいかん!!」
「オレは類の演出を楽しみにしているからな!見られなくなるのは残念だ」
「その為なら、何億キロだろうが探し続けてみせる!!」
「ふふっ、地球何周もできそうだねぇ」
「ありがとう、司くん」
とは、言ったものの…
少し疲労が見えてきた気がする
何か気晴らしになるようなものはないのか…?
「そこのお二人さん」
「ん?オレ達のことか?」
「ああ、あそこの店の店主さんが、手招きして僕達を呼んでるみたいだよ」
「なんだ…?」
「わたしゃここのアクセサリーショップの店主さ」
「うちのアクセサリーが似合いそうな人に声をかけているだよ」
「とても素敵なアクセサリー達ですね」
壁やテーブル一面に並んだきらびやかなアクセサリー達。
思わず言葉を失ってしまうような美しさだ…
「そうだろう、そうだろう。みんなわたしの自信作だよ」
そう言って店主は嬉しそうな顔を浮かべる
「ところでね、あなた達におすすめしたいのはこれさ」
そう言って店主が取り出したのは2つのブレスレット
アクセントにガラスでできた宝石のようなものがある
片方は太陽のようなイエロートパーズ
もう片方は夜のようなアメジスト
本物ではないが、とても心惹かれる代物だった
「確かに、僕達らしい色をしているね」
隣を見ると、類もずいぶん気に入っている様子だ
なら…
「このブレスレット、2つとも買います!」
オレはそう言って財布を取り出す
「いいのかい?わたしゃ嬉しいよ」
店主は喜んで代金を受け取り、オレ達にブレスレットを渡してくれた
そして、「自分があなた達に手に入れて欲しかっただけだから」と、おまけまでしてくれた
「類はこっちの紫のブレスレットにするか?」
あのあと、オレ達は店を離れ、公園で軽食を食べて、
ブレスレットを選んでいた
「………ちょっと待ってくれ…」
そう言って類はスマホで何かを調べ始めた
「…パープルサファイアか」
「ん?何のことだ?」
「司くんの誕生日石だよ」
「アメジストに似ている石でね、」
「………」
「精神の安定や、直感力を高めるパワーストーンらしいよ」
「そうなのか!」
なんなんだ、さっきの間は……?
「だから、こっちは司くんが持っていたら良いと思うな」
類は紫のブレスレットをオレの手に乗せる
近くで見るとより一層美しく見えるな…
「こちらの黄色のブレスレットは僕が貰おう」
類がブレスレットを顔の横に持って行く
太陽の光に反射してキラキラ輝いている
まるで、類の瞳のように…綺麗だ
何とか最後の部品を見つけて、駅で司くんと別れた帰り道
僕はとても嬉しくて、口元が緩んでしまっている
司くんの誕生日石…パープルサファイア
石言葉が
「初恋の思い出…か…」
自分で持っていても良かったが、
どうしても司くんに持っていてほしかった
僕も司くんのような色を持っていたかったしね
「司くん…着けてくれるだろうか」
コメント
1件
こっちまでキュンとしてきたんですけdo