テラーノベル
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高橋が廊下へ踏み出した瞬間、背後の扉が猛烈な勢いで閉まった。
「───え?」
僕たちが声を上げる間もなかった。
完全に密閉されたエレベーターの中で
僕、鈴木、伊藤の3人は、ただ閉ざされた扉を呆然と見つめる。
すぐに、扉の向こうから高橋の叫び声が聞こえてきた。
「おい、開けろ! こっちは罪を告白したんだぞ! なあ、約束が違うだろ!」
ガン、ガン、と扉を蹴る音が響く。
しかし、その音はすぐに「ズブ……」という
生々しく濡れた肉をかき乱すような音に取って代わられた。
「やめろ……何だお前、離せ!」
「ぎゃあああああああああ!」
絶叫。
それは今まで聞いたこともないような、喉が裂けるほどの悲鳴だった。
やがて、何かが重たいものを引きずる音──
「ズズッ、ズズッ」という音が遠ざかっていき、廊下は再び、耳が痛くなるほどの静寂に包まれた。
「高橋さん……?」
鈴木が震える声で呼びかけるが、返事はない。
その時、エレベーターの表示パネルに変化が起きた。
『13』の下に、赤い文字で新たな数字が浮かび上がる。
【 残り 3人 】
「……これ、降ろしてやるって言ったのは、『一階に降ろす』って意味じゃないんじゃ……」
僕の口から、最悪の予想が漏れ出た。
『高橋正志、受理。……次は、鈴木香織。汝の罪を。』
スピーカーから流れる声は、高橋の安否など微塵も気にしていない様子で、淡々と次のターゲットを指名した。
「私……? 嫌、嫌よ! 出たくない!」
鈴木は狂ったように壁のボタンを連打する。
しかし、いくら「閉」ボタンを押しても、エレベーターの扉は無慈悲にゆっくりと開いていった。
「……っ!」
扉の向こう、高橋が座っていた椅子は、粉々に破壊されていた。
そして床には、彼がさっきまで握りしめていたはずの、血に濡れた社員証だけが転がっている。
「鈴木、言えよ……!」
伊藤が彼女の肩を掴んで揺さぶった。
その目は、恐怖のあまり血走っている。
「何か言わないと、俺たちまで巻き添えだ!なにか罪があるならさっさと白状しろよ!」
「やめて! 離して!」
鈴木は伊藤を突き飛ばし、狂乱状態で叫んだ。
「なんなのよこれ! 悪いのはあいつよ!私は罪なんておかしてない!!私を捨てて、他の女と結婚しようとしたあいつが!」
彼女の告白は、あまりにも唐突に始まった。
清楚で上品だと思われていた彼女の口から、どす黒い憎悪が溢れ出す。
「だから、少しずつ混ぜてあげたの。あいつのサプリメントに……心臓に負担がかかる薬を。死なない程度に、でも一生、まともに歩けないように……!」