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朝、賑やかな声で目が覚める
耳を澄ませて聞けば、あの3人の声
どうやら、自分以外はもう起きているようだ
まだ寝たいと言う気持ちを無視し立ち上がる
お馴染みの猫耳パーカーをかぶり、鏡の前で少し髪型をいじる
今日の朝ごはんはなんだろうか、今日は何をしようか
そんな考え事をしながら部屋を出た
…おかしい
どこを回っても、あの3人がいない
いつもは3人とも談笑室でくだらない話をしている
珍しいな、なんて呑気に考えるが、内心少し焦っている
なんでいないのだろうか
もしかしたら俺が寝ている間に敵襲でも…?
じゃあ最初のあの声はなんだったんだ
時間が経つ度に焦りが酷くなる
心臓の音がうるさいくらいになっていた
………一人は嫌だ
また……また一人ぼっち…?
『あんたなんか産まなきゃよかった』
『あいつ両親浮気してんだって!』
『こわーい、近寄らないでおこー…』
脳で流れる音声
蘇る記憶
止まらない汗
ふと頬に触ると濡れていた
震える体
…………誰か
「…助けて………」
「……クロノアさん!?!?」
自分の名前を呼ぶ声が聞こえる
前を向けば、3色の瞳が心配そうにこちらを見ていた
あれ…なんで……
「大丈夫ですか!?」
「どうしたんですか!?」
「どこか痛いんですか!?」
心配そうな声が耳に入る
「3人とも…なんで…」
いつのまにか震える体も流れる汗も脳内の音声も全て止んでいた
「どうしたんですか…?」
心配そうにこちらを見る黄色い彼
仲間思いの優しい人
「な、泣き止んでください…!」
焦る声色でテンパる紫色の彼
思いやりがある素敵な人
「一回談笑室行きます…?」
落ち着いて対応する緑色の彼
誰にでも優しい憧れる人
ク「…みんな…俺のこと…置いていかない…?」
優しい彼らでも、いつか裏切るのではないかと
少し、怖くなってしまった
「…そんなわけないじゃないですか!!」
返ってきたのは否定の言葉
「クロノアさんはここにいないとダメですよ!!」
「置いていくわけありません!!」
続けて2人の声も聞こえた
……どうやら無駄な心配をしていたようだ
「……ありがとう、3人とも」
「大丈夫ですか?」
「うん、杞憂だったみたい」
「それはよかったです!」
「僕らはずっとクロノアさんのそばにいますからね!」
いつもの賑やかな話し声
ああ、心地いい
俺は、もう一人じゃないんだ
「そうだクロノアさん!こっち来てください」
黄色い彼に招かれ、着いた先は食堂だった
…そういえば…食堂はまだ見ていなかった…
「さぁ、クロノアさん。扉を開けてください」
ドアノブに手をかける
ガチャ
「…わぁ…!」
所々に散らばる風船
壁に張り付く輪っか
机の上には美味しそうなご馳走が置いてあった
「「「クロノアさん!誕生日おめでとうございます!!」」」
耳元でなるクラッカーに少し驚く
そうだ、今日は……俺の……
「世界一幸せな青年の話」