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俺達は移動し整列してすぐに、二人三脚は紅組の勝ちだとアナウンスが入る。紅組が歓喜にわいた。
そんな声援を聞きながら、借り物競走なんてどうして三年にもなってやるんだよと今さら文句をたれる。
大翔が一番最初の組になって、俺は第四走者の組になる。借り物競走は平均台渡り、それから網をくぐった先にあるお題の書かれた紙を拾って、お題通りの者と一緒にゴールする。噂では好きな人とか、告白したい相手とかってお題があるとか言われているけど、いまどきの中高生じゃないんだからよ……。
三年生が校庭の中央に集められて、競技が開始される。一番最初の走者が、位置について合図と共に駈け出した。大翔はトラップを難なくこなして、お題の紙をとって中をみた。しばらく立ち止まったが、すぐに走りだして何故か教師陣たちが座っているキャンプの方に走りだす。そこで、手をとったのは……立川。
そのまま一着でゴールして立川とお題の審査員に、持っていた紙の内容を見せる。遠目からでも嬉しそうに笑っているのがわかった。なにが書かれてたんだ?
後で聞いてみようと地面に悪戯書きをしている間、俺の番が来た。右足を後ろに引いて、ピストルの音で駈け出した。平均台をふらふらしながら渡って網を抜ける。絡まりながらなんとか通り抜けて、並んでいたお題を掴んで中をみた。そこには、
≪好きな人≫
思考が一秒だけ停止して、動きも止まる。冗談じゃなかったのかよと呟いて、もう一度お題を読んだ。やはり、変わらない。「好きな人」なんて、これは女子の拾うもんだろうがよ!
紙を他のものと交換しようとしたが、背後から来ていた他の選手達が紙を取り上げて一枚も残っていない。つまり、手に握っているお題をクリアするしかない状況となった。
好きな人。その言葉をみたとき真っ先に浮かんだのが、もちろん渉の姿。しかし今行ったところで、先ほどの冷たい視線に押し流されきっと付いてきてくれないだろう。
「大好きな笹本君のところへいけば?」
無表情で怒っているあいつの顔が思い浮かんで消えた。どうせ断られて泣きそうになるくらいならと、早々に諦めゴール付近に座っている大翔のところへ急いだ。「大翔!」と名前を呼んで手を差し出す。
「親友って書いてあったか?」
「それより、もっといいもんだよ」
彼の手を引いて、一番にゴール。係の者が近づいてくるので、俺は迷うことなく紙を渡した。しかし渡した相手を見てから青ざめて紙を取り戻そうとしたが、相手の方が察して俺の右手をいなしてくる。
審査係をしているのは、渉だった。相手はうろたえている俺の前で、お題となっている紙を見てから二人に視線を向けてきた。
「渉、これは……」
言い訳よりも先に、相手が小さく嫌味を漏らす。
「俺じゃないんだ」
「違う、これは!!」
しかし言葉にかぶって、他の係員が他走者の確認をするよう注意してきた。渉が「一位よかったね」と言って、一位の場所を指差して去っていく。引き止めるにしても、競技は続行中なので仕事の邪魔をすることはできない。
大翔が口元を押さえて笑っている。それに中指を立てた。
「傷ついてたなぁ~」
「だって、あいつのことだから来てくれねぇと思ったんだよ!」
「俺も同じの引いたぜ、お題」
「え?」
「好きな人っていったら、そっちしかねぇだろう?親友なら、いくらでも呼ばれてやるけどな。お前だって、意味わかってただろう……」
それじゃといって、自分の並んでいた列へ戻って行く。その場に残された俺は、仕方なく落ち込むしかなかった。
コメント
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みぅ🤍🥀です。読ませてもらいました…。 ああ、もう、ここ切ないですね…。好きな人のお題引いちゃって、大翔を呼ぶしかなかった心情、すごくわかります。渉くんが審査員で「俺じゃないんだ」のすれ違い、胸がギュッと締め付けられました。大翔も同じお題でちゃんと好きな人を呼べたってオチ、めっちゃ好きです…重くて苦しいけど、この空気感、柚木さんにしか出せないですよ🤍