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第99話「ウカビルの炎、守るべきもの」
ゴッドエデンの裏手にある修練場。
焼け焦げた大地の中心で、ひとりの男が拳を振るっていた。
ウカビル「……ふぅ。やっぱ、ここは火が恋しいな」
拳から迸る炎は、かつてアレスから託された“戦神の炎”。
だが、あの決戦を経て、その火はただの“力”ではなくなっていた。
ウカビル「……命ってのはよ、案外ちっぽけで、すぐに燃え尽きちまう」
拳を握る。
ウカビル「でも、それでも――燃やす価値がある。誰かを守るためなら、命だって燃やせるんだ」
そう、あの時。
サタンの掌が自分の胸を貫いた時、死を覚悟した。
でも――
アレスの声が、あの深淵から聞こえた気がした。
アレス(……命は、燃やすためにあるんじゃねえ。灯し続けるためにあるんだ)
ウカビル「俺、あんたに救われたんだな……アレス」
そして今、自分が守るべきものが、はっきりと見えている。
それは――リオン、セレナ、ゲズ。そして、かつて失った仲間たちの想い。
ゲズが歩いてくる。
ゲズ「よ。朝から燃えてるな」
ウカビル「おう。……あいつらの分も背負って、生きてくって決めたからな」
ゲズは少し笑って、ウカビルの背中に拳を軽く当てた。
ゲズ「なら、その炎。これからも俺たちと一緒に燃やし続けてくれよ」
ウカビル「任せとけ。俺の炎は……まだ消えちゃいねえ」
太陽が昇りはじめ、赤い光がふたりの姿を染めていく。
ウカビルの拳の奥には、もう“恐れ”はない。
そこにあるのは――守るべき命の炎だった。