テラーノベル
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大森side
若井の手から持っていた携帯がスルリと落ちた
新しくしたばっかりの携帯なのに大丈夫かよと思いつつ、若井が動かない為、俺が拾った。
大森「画面割れて……ないですね、良かったですね『ヒロくん』」
画面の割れを確認して、携帯を差し出した
が、差し出した携帯を取ろうとしない若井
若井「も、とき……な、ん、で」
大森「ん?誰ですか?俺『ダイちゃん』ですよ」
若井「いや、元」
大森「とりあえず『ヒロくん』、ここじゃあ目立つから移動しよっか」
若井の言葉を遮り、携帯をジャケットのポケットに無理やり突っ込んで若井の手を引いてホテル街方面へと歩きだした。
若井「ちょ、え、マジでどういうこと?なんで?」
大森「……さぁ?俺は『ダイちゃん』だから今『ヒロくん』が言ってる事よく分かんないや…………あ、ヒロくん、ここでいい?」
適当に目に付いたホテルの前でどうするかと若井に問えば、俺の手を振り払い、少し怒りの入った瞳で俺を睨んできた。
若井「いや、意味わかるだろっ。お前の言ってることの方が意味わかんないってっ!!」
大森「……ここで帰るかどうするかは『若井』が好きにしなよ」
若井「ーっ!!」
突然の「ヒロくん」から「若井」呼びにびっくりし、目が泳ぎ動揺している若井
俺が今、「若井」と呼んで、問いた意味を理解したのだろう
大森「……じゃあ入るね」
もう一度若井の手を取り、中へと歩を進める。
大人しく着いてきた若井は、今ここで言い合いも、逃げてもムダだと悟ったのだろう。
適当に部屋を選び、決めた部屋と向かう。
その間、若井は無言で少し俯いていた。
今、若井は頭をフル回転させて色々と考えてるんだろうか
どうして俺が現れたのか、どうやってアプリのことを知ったのか、とか……
そんなことを部屋に着くまでの数分で、若井にわかるわけもない
そうじゃない
もっと違う
違う理由を考えてほしい…………
なんて願う俺は、自分で引くほど女々しい男だ
やめよう
今そんなこと考えたって、所詮タラレバだ
目的の階にエレベーターが到着し、扉が開き、1歩踏み出すど同時に頭をリセットする
チカチカと扉の上で光るランプを目指し、若井の手を引いて歩く
目的の部屋の前でルームキーを鍵穴に差し込み回せば、ガチャっと施錠が解除される
扉を開け先に入れば、そのまま大人しく俺に引かれるまま部屋に入ってきた若井
バタン……
扉が閉まる音の後に
カチャンっと自動で施錠される音
もう、ここから簡単に出られない音
それを背中に聞きながら、メインの部屋への扉に手をかけた。
部屋の中は、ソファとベッド
至ってシンプルな作り……と思いきや、ソファの前は硝子張りの風呂
今どきのラブホテルはこんな感じなのか、と思いつつ、持っていた荷物をソファに置き、その上にマスクと帽子、上着を投げる。
若井「あ、あのさ……も」
何かを言いかけた若井を無視し、俺は振り向きざまに、ベッドへと倒れるように若井の肩を強く押した。
若井が勢いのままベッドに倒れると、漫画であるような「ぱふっ」とかそんなかわいい音じゃなく、それなりのバウンド音と、スプリングが軋む音が部屋に響いた。
若井「お、おいっ、急に危ないだろっ」
倒れた若井が上半身を起こしながら、俺に向かって悪態をついてきたけど、それも無視して若井の上に跨り、後頭部に手を添えて顔を近付けた
若井「なっ」
大森「……ねえ、さっきから元貴ってだれ?ここまで来て、そんな別の人の名前呼びとかやけちゃうな」
若井「ほ、ほんとにまって、なん、で……」
大森「なんでも何も……俺がヒロくんとマッチングした相手ってだけだけど?優しく抱いて欲しいヒロくんと優しく抱きたいダイちゃんが」
若井「なんで……アプリ……知って……」
大森「ヒロくんはなんでばっかりだなぁ……」
若井「な、んで……元貴が……どうやって……」
大森「……さぁ?普通にマッチングしただけ……なんだけどな……」
ダイちゃんを演じたまま、若井にニコリと笑えば、何故か若井の肩がビクンと跳ねた。
その仕草に俺は更に笑みがこぼれる
だって若井の顔が怯えた猫みたいな顔してんだもん。そんなの見せられたら俺だってゾクゾクして興奮するじゃん
大森「……ねえ……キスしてもいい?」
若井「え……」
俺は若井の返事を待たずに口端に唇を落とした。
若井「も、元貴っ!」
目を見開いて、びっくりする若井
そんな反応をするのも無理はない。
だって俺たちは今まで身体は重ねても、キスは一度もした事がなかった
大森「あ、ごめんね、ヒロくんの反応が可愛くてつい……そういえばヒロくん、キスNGって書いてたもんね、セフレとはキスしないってことか……でも口端だから、ギリギリ唇へのキスじゃないから許してよ、ね?……それと…………俺は元貴って名前じゃない」
最後のひと言に若井の顔が歪んだ
恐怖
その言葉が1番しっくりとくる顔
大森「ヒロくんがあんまりにも可愛いから……優しくを望んでたの忘れちゃいそうになるよ……ここからは優しくするね」
若井「ン……、はぁ……も、元貴、……もう、やめ」
大森「やめないよ、それに何度も言うけど、俺は元貴じゃないよ……ヒロくん…………」
#🍏
コメント
22件

若井さん受け大好きです!これからも楽しみにしてます😊
敢えて狂気を演出していて でも、頭の中は妙に冷静で 心情的にはザワついている 大森さんがこれでもかと描写されていて それにただ困惑し、怯え、考えが纏まらない 若井さんの描写 この二人の感情が自分の中で行ったり来たり行ったり来たり…… 心臓が通常時より1000回くらい多く鳴りましたぁ!
びゃあああああああっっっ!!! ファーストキスううううううっっっ!!!!! うわ、もう……..最高…….. なんて栄養たっぷりのお食事でしょう…….(気持ち悪すぎ) ありがとうございましたっっっ